【実走燃費15.1km/L】その加速、放たれた矢の如く。 カワサキZX-10Rのパフォーマンスは尋常ではなかった。

レーサーレプリカ系の1000ccマシンと言うだけで、凄まじいハイパフォーマンスが想像できる。ZX-10Rはスーパーバイク世界選手権4連覇と言う偉業を成し遂げたカワサキを象徴する一台である。2019シーズンの世界耐久選手権第二戦ル・マン24時間耐久で、最後までスプリントレースの様なつばぜり合いを制し、SRCカワサキ・フランスが優勝!輝かしい栄冠はZX-10Rの魅力と価値をさらに高めたのである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

※2019年05月07日に掲載した記事を再編集したものです。
価格や諸元、カラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

先行する前車に睨みをきかせるかの様な、鋭く精悍なフロントマスクが印象的。ノーズは低く、スクリーンも小さめ。センターに開けられたエアダクトは、容量10LのエアクリーナーBOXへ、空気の積極導入に貢献する。ウインカーランプはカウルマウントのバックミラー内蔵型だ。
ショーワ製の倒立式フロントフォークはφ43mm。トップキャップにプリロード調節。ボトムに設けられたダンピングフォースチャンバー部で伸び圧両方のダンピング調節ができる。ブレーキはブレンボ製、φ330mm5mm厚のセミフローティングロータとラジアルマウント4ポット対向ピストンキャリパーをマッチ。キャリパーはモノブロック構造のアルミ鋳造部品だ。
鋳造品等、7つの部材から成るアルミニウムツインスパーフレームはエンジンを吊り下げてリジッドマウントし高剛性を追求。搭載エンジンはチタンバルブ採用のDOHC16バルブ4気筒。レース用チューニング対応も考慮されている。
クランクケース真下に触媒、後輪直前にプリチャンバーを備え、右出しのアップマフラーへと続く排気系。深いバンク角確保も考慮されたレイアウトとデザインがなされている。
ショーワ製のホリゾンタルバックリンク式リヤサスペンションを採用。ショックユニットは若干左側にオフセットされている。ショックのボトム側に伸び圧両方個別のダンピング調節機構が備えられている。
トップブリッジの下側でフロントフォークにクリップオンされたセパレートハンドル。
長押し等の使い分けで多彩なモードやメーター表示の切り替えを担うセレクタースイッチがある。ストップウォッチで計測している時のラップタイムスイッチもこの左側で操作。
右側のスイッチボックスは赤いキルスイッチと黒いスタータースイッチ。真ん中の黒いスイッチは横方向に押してストップウォッチのスタート・ストップに使う。
トップブリッジと平行にセットされているのはオーリンズ製のステアリングダンパー。スタビリティーを確保する安心感は大きい。ハイパフォーマンスを楽しめる裏付けとして必需品と言えるだろう。
照度を自動調光してくれるデジタル表示式メーターパネル。LEDの明るさは100、75、50%から任意設定も可能だ。
左サイドでキーロックを解除すれば、リヤのシートクッションが単独で脱着できる。シート下スペースは僅かだが、ETCを納めることは可能。ちなみに標準装備はされていない。
左サイドでキーロックを解除すれば、リヤのシートクッションが単独で脱着できる。シート下スペースは僅かだが、ETCを納めることは可能。ちなみに標準装備はされていない。

主要諸元

車名(通称名) Ninja ZX-10R KRT EDITION
型式 2BL-ZXT02E
全長×全幅×全高 2,085mm×740mm×1,145mm
軸間距離 1,440mm
最低地上高 145mm
シート高 835mm
キャスター/トレール 25.0°/ 107mm
エンジン種類/弁方式 水冷4ストローク並列4気筒/DOHC4バルブ
総排気量 998cm³
内径×行程/圧縮比 76.0mm×55.0mm/ 13.0:1
最高出力149kW(203PS)/13,500rpm
 ラムエア加圧時:156kW(212PS)/13,500rpm
最大トルク114N・m(11.6kgf・m)/11,200rpm
始動方式 セルフスターター
点火方式 バッテリ&コイル(トランジスタ点火)
潤滑方式 ウェットサンプ
エンジンオイル容量 3.7L
燃料供給方式 フューエルインジェクション
トランスミッション形式 常噛6段リターン
クラッチ形式 湿式多板
ギヤ・レシオ
 1速 2.600 (39/15)
 2速 2.222 (40/18)
 3速 1.944 (35/18)
 4速 1.722 (31/18)
 5速 1.550 (31/20)
 6速 1.391 (32/23)
一次減速比/二次減速比 1.681 (79/47)/2.294(39/17)
フレーム形式 ダイヤモンド
懸架方式
 前 テレスコピック(倒立・インナーチューブ径43mm)
 後 スイングアーム(ホリゾンタルバックリンク)
ホイールトラベル
 前 120mm
 後 114mm
タイヤサイズ
 前 120/70ZR17M/C (58W)
 後 190/55ZR17M/C (75W)
ホイールサイズ
 前 17M/C×MT3.50
 後 17M/C×MT6.00
ブレーキ形式
 前 デュアルディスク 330mm (外径)
 後 シングルディスク 220mm (外径)
ステアリングアングル (左/右) 27°/ 27°
車両重量 206kg
使用燃料 無鉛プレミアムガソリン
燃料タンク容量 17L
乗車定員 2名
燃料消費率(km/L)
 21.0km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時)
 16.8㎞/L(WMTCモード値 クラス3-2、1名乗車時)

ライダープロフィール

元モト・ライダー誌の創刊スタッフ編集部員を経てフリーランスに。約36年の時を経てモーターファンjpのライターへ。常にオーナー気分になって、じっくりと乗り込んだ上での記事作成に努めている。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…