目次
スズキ・アドレスV50……174,960円
今回の試乗車は2018年12月21日にレッツと共にブルー系の追加色を発表。新色はマットステラブルーメタリック。他にトリトンブルーメタリック、グラスシャインブラック、そして試乗車のスプラッシュホワイト、以上4色が揃う。
このアドレスV50はレッツの兄弟車だ。エンジンやフレーム、足周り等の基本部分は共通。しかしボディパーツは全てオリジナルデザインである。スラントしたノーズに始まり、ヒップアップでフィニッシュするボディサイドのキャラクターラインは綺麗なV字を描く。フロントフェンダーもカウル一体型のフレームマウント式。その第一印象はスタイリッシュで若々しい。スズキの広告展開でもスマート&スポーティをアピールしており若い人がメインターゲットだろう。
搭載エンジンはSEP(スズキ・エコ・パフォーマンス)と命名された同社独自の先進技術投入を誇る。燃焼効率と、ムービングパーツの抵抗削減を徹底追求したのが特徴。長いコンロッドの採用はピストンがシリンダーの中で往復運動する時の摺動抵抗が軽減できる。ボア・ストロークは39×41.8mmのロングストロークタイプ。強制空冷式SOHC2バルブの単気筒だ。ホンダやヤマハのライバルと比較するとパワー/トルクは控えめなデータだが車両重量は装備で74kgとそれほど重くないのが特徴。ボディサイズもコンパクトで親しみやすいのである。
性能はレッツと同じだけど気分はスポーティ
取り扱いは実に軽快。ライディングポジションにつくとハンドルグリップが若干手前に絞られた印象で、気持ち脇が閉まる感じ。フットボードはフラット面が前下がり傾斜でステップスルータイプだが、センター部分は前後長が狭い。しかし両足を置く左右部分は前方の上り斜面まで含めると前後長が長く、足の置き場に自由度がある。
両足を前方に突っ張ると、急制動時でも上体を支えやすくなる点が見逃せない。ニーグリップの利かないスクーターではこれが重要なポイントだ。
足を突っ張る事と腹筋と背筋のバランスでハンドルから力を抜く正しい操縦操作が可能となる。これが叶わないと、いざという時に上体を支えるにはハンドルにしがみついてしまい自由な操舵が阻害される。
その意味でアドレスV50はライダーが積極的にスクーターをコントロールしようという意志に応えてくれるだけの素養が備わっている。早い話スポーティな走りを楽しみたい気分になるし、それを許容してくれるだけの操縦性が備わっているわけだ。
決して推奨するわけではないが、チョットばかりハードなコーナリングやブレーキングも危なげなくこなすことができるのである。これはライダーとスクーターとの一体感を高めることを可能としたライディングポジションの成せる技。スポーティスクーターとしてのキャラクターを保ってきたアドレスV50らしいポイント。
市街地走行のどんな場面でも扱いは軽快そのもの。動力性能的にはごく普通のレベルながら、走っている時が単なる移動時間ではなく、スクーターの操縦を楽しむ時間に変えてくれたのが印象的だった。改めてゼロハンスクーターに乗るワクワクを再認識させられた想いがしたのである。
ディテール解説
足つき性チェック(ライダー身長170cm/52kg)
主要諸元
型式 2BH-CA4BA 全長 / 全幅 / 全高 1,670 mm / 620 mm / 1,005 mm 軸間距離 / 最低地上高 1,150 mm / 105 mm シート高 710 mm 装備重量 74 kg 燃料消費率 国土交通省届出値:定地燃費値 66.0 km/L (30km/h) 1名乗車時 WMTCモード値 53.4 km/L (クラス1) 1名乗車時 最小回転半径 1.8 m エンジン型式 / 弁方式 A409 ・ 強制空冷 ・ 4サイクル ・ 単気筒 / SOHC ・ 2バルブ 総排気量 49 cm3 最高出力 2.7 kW 〈3.7 PS〉 / 8,500 rpm 最大トルク 3.4 N・m 〈0.35 kgf・m〉 / 7,000 rpm 燃料供給装置 フューエルインジェクションシステム 始動方式 キック ・ セルフ併用式 潤滑油容量 0.8 L 燃料タンク容量 4.8 L クラッチ形式 乾式自動遠心シュータイプ 変速機形式 Vベルト無段変速 フレーム形式 アンダーボーン ブレーキ形式(前 / 後) 機械式リーディングトレーリング タイヤサイズ(前 / 後) 80/90-10 35J 乗車定員 1 名 排出ガス基準 平成28年国内排出ガス規制に対応