ドイツ本国のBMW MOTORRADは2月20日、1800ccの水平対向2気筒エンジンを搭載するクルーザーモデルR18をベースにしたカスタムモデル「R18 IRON ANNIE」を発表した。
このカスタムモデルは、BMWディーラーでもあるスイス・シュメリコンにあるカスタムバイクショップ「VTR Motorrad AG&VTR Custom」が顧客の要望によって製作したもので、1930年代に活躍した航空機「ユンカースJu52」に触発されたことから制作がスタートした。このユーザーはすでに数年前からR nineTをベースとして航空機の要素を取り込んだカスタムマシンを製作しており、今回はBMW史上最大の排気量を持つR18をベースに製作された。
ユンカースJu52は1930年に初飛行に成功した航空機。当初は非力な一機のエンジンが搭載されていたが、1932年にBMW製の132A-1エンジンを3機搭載し、ルフトハンザの主力旅客機として活躍。グレーと黒の配色で航空機登録D-AQUIと名付けられたJu52は世界中で有名となった。大戦中には輸送機や爆撃機としても使用され、戦後には再び旅客機として親しまれ1960年代までヨーロッパの定期航路を飛び続けた。1970年から1984年まで、アメリカでの航空機番号N52JU呼ばれていた頃、当時の所有者であったマーティン・ケイディンによって「IRON ANNIE」と名付けられた。
このIRON ANNIEをモチーフにしたR18は、グレーと黒のルフトハンザカラーを纏い、タンクには速度計を配して古い航空機のコクピットをイメージ。Ju52の特徴でもある波型のアルミニウムパネルを装着し、シートは革製の乗馬用サドルを連想する形状としている。エンジンをはじめ、全てのクロームパーツはブラックに塗装され、フォークのインナーチューブはDLC(Diamond Like carbon)で黒くコーティングされている。
コクピットのトリムは流線型を強調するために限りなくフラットに、フォークは70mm短縮され、ローダウンしている。ブレーキとクラッチのマスターシリンダーはMaguraのレーシングタイプHC3に変更され、スピードメーターの文字盤は時計メーカーであるツァイツォーネ・チューリッヒが特別に製作した針が用いられている。リヤ付近の冷却フィンや燃料タンク、サイドパネル、コクピットなど多くにパーツは手作業によるアルミ板金で製作され、多くの制作時間が費やされている。R18 IRON ANNIEは唯一無二のモデルであり続けるだろう。
- ■BMW R18 IRON ANNIE by VTR Custom仕様
- ベース車両:BMW R18ファーストモデル
- フォーク:ショート化&DLCコーティング
- サスペンション:WILBERS
- ホイール:Kineo (F)3.5J×21”、(R)6J×18”
- タイヤ:AVON Cobra (F)120/70、(R)200/55
- ハンドルバー:ABM バリオクリップ
- スピードメーター:Zeitzone Zürichによるカスタム
- ブレーキ/クラッチ:Magura HC3
- シート:VTR Customs & Yves Knobel Saddlery
- マフラー:Walzwerk
- ナンバープレートホルダー:Berham Customs
- テールライト&ウインカー:Kellermann Atto
- ヘッドライト:HIGHSIDER
- ペイントワーク:VTR Customs & Freuler AG, Benken