PCXと同じエンジンのタイホンダ・クリック160の実力は? 【動画・モトチャンプTV】

タイで生産され日本国内では未発売のモデルは意外に多い。ホンダ・クリック160iもそんな1台だが、気になるのはPCXと同じエンジンを積みながら別のスタイルを採用すること。ではその実力がどうなのか、ケニー佐川が試乗インプレッション!

タイホンダで生産されアジア地域で長らくベーシックモデルとしての役割を担ってきたのがクリック。従来は125ccモデルが中心だったが2012年にフルモデルチェンジしてスタイルを大幅に変更。スリムでシャープなスタイルは爽快な走りとともに、新たな価値観を生み出した。さらに150ccモデルが追加され、ベーシックモデルから脱却。アジアにおけるプレミアムスクーターとしての地位を確立した。さらにエンジンをPCXと同じ160ccに変更したのが今回紹介するクリック160i ABSだ。実はこのクリック160、インドネシアではVARIO160として発売されているのと同じモデル。アジア地域での戦略的モデルでもあるのだ。ただ、いずれも日本国内では未発売。クリック160を国内で輸入販売しているシルバーバックという会社から借りて、今回は試乗インプレッションをしている。一体どのようなモデルなのか、早速見てみよう。

ホンダ・クリック160i ABSの外観

ホンダ・クリック160i ABSのフロントスタイル。
ホンダ・クリック160i ABSのリヤスタイル。

最近のホンダ車らしい精悍なスタイルを纏ったクリック160。マットなボディカラーとゴールドのキャストホイールの組み合わせから、スポーティさと豪華さを兼ね備えている。PCXと同じ160ccエンジンを搭載しながら、大きく違うのがセンタートンネルのないフラットフロアを実現していること。スクーターに求められる親近感を生み出しているのが特徴だ。

ホンダ・クリック160i ABSの特徴

ケニー佐川と編集部の二人がリポート。

今回の動画は久しぶりの登場となるジャーナリストのケニー佐川が試乗ライダーを担当している。編集部のチャボとサンタサンが司会進行役を務め、いつものモトチャンプTVが帰ってきたような構成になっている。今回の動画は「HONDAクリック160i PCXに迫る実力派がタイから登場!」という回で、まずどのようなモデルであるのか概要から説明している。PCXと同じエンジンを採用しながら車両重量が118kgしかなく、PCXより約14kgも軽い。これは大きな武器になるはずだ。

PCXと同じ160cc単気筒4バルブエンジンを採用。

PCXと同じesp+と呼ばれるエンジンは156.93cc水冷単気筒OHC4バルブで、ショートストローク型。最高出力などは未発表ながらパワーと燃費性能を両立された、トータル性能に優れるエンジンだ。同じエンジンながら車両重量が軽いということは、PCXより加速性能が良さそうだと想像できる。

前後14インチホイールを採用。

ホイールは前後14インチでフロント100/80、リヤ120/70サイズのタイヤを履いている。PCXはリヤが13インチで前後ともひと回り太いタイヤサイズなので、クリック160はヒラリヒラリと軽快感あるハンドリングと直進安定性に優れることが想像できる。またブレーキは前後ディスクでフロントにのみABSが作用する。もちろん前後連動なので、リヤを強めにかけてロックさせても唐突さがないのが特徴だ。

フラットフロアなので乗り降りしやすい。

クリック160最大の特徴がフラットなフロアであること。スクーターらしいスタイリングだけでなく、乗り降りのしやすさはPCXよりはるかに上。荷物を載せることもできるから、日常的な使い方で最適なはずだ。

シート下スペースは広くない。

フラットフロアを採用したことでシート下のスペースは若干犠牲になっている。シンプルなジェットヘルメットなら収納できるが、フラップがついたモデルだと厳しいかもしれない。容量は18リットル。PCXは30リットル容量もあるので比較すると負けてしまうが、スマートキーを採用しているためキー持参でそばに寄ればボタンを押すだけででロックが解除されるなど使い勝手は良好だ。

デジタルメーターは小型ながら視認性良好。

メーターは単色のシンプルなデジタルメーター。大きさや豪華さではPCXが上だが、視認性は良好で単色だから目が疲れにくいという特徴もある。スピードメーターには時計やトリップが表示され、その上には各種警告灯が並ぶ。

ケニー佐川が試乗インプレッション!

一般道でストレスなく走ることができる。
高速道路では軽快な加速感と安定感が味わえる。

通常のスクーター試乗は一般道のみで行われるが、クリック160は160ccモデルのため高速道路を走ることができる。そこで今回は一般道と高速道路の両方を使って試乗が行われた。ライダーはもちろんケニー佐川で的確なインプレッションを語っている。まず走り出しから原付2種とは別格の加速力を見せつける。改めて160ccという排気量のアドバンテージを感じるところだ。また前後14インチホイールを採用したことでハンドリングが軽快かつ素直。この日は雨あがりの濡れた路面だったため小径ホイールだと不安に感じる場面が多かったが、しっとりとしたハンドリングのため不安感はあまりない。ヒラリと車線変更したり路面の継ぎ目でグリップを失うような感覚がまるでないのだ。

サーキットを攻めても楽しいモデル。

一般道・高速道路だけでなくサーキットでの全開走行も行っている。フラットフロアを実現するためアンダーボーンフレームを採用する車体構成だから、センタートンネルのあるPCXなどと比べて剛性面では不利。ところがエンジン出力に対して十分なフレーム剛性を確保していて、アクセル全開からフルブレーキング、さらにはコーナリングでの安定性まで文句なし。125ccの車格に160ccのパワーなのだから、当然ながら速さは文句なし。PCXと同じエンジンなのでスムーズなマナーを備えているが、軽量ボディのためスポーティさが際立ったいる。

乗って良し、見て良しなクリック160だが、気になるのはお値段。発売先のシルバーバックによる新車価格は円安ということもあって取材時に40万4800円(税込)。対するPCX160の新車価格は40万7000円(税込)で、その差はわずかに2200円ということになる。ボディがスリムで軽量だから街乗りメインで時々高速道路も使う、なんて人にはピッタリなクリック160。人と違うバイクに乗りたいという人にも受けることだろう。対して大柄でラグジュアリー感漂うスタイルが好きで、ツーリングがメインな使い道だったらPCXといったところだろうか。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…