発売直後の大注目スクランブラー、ホンダCL250実車解説! 【動画・モトチャンプTV】

2023年3月に開催された東京モーターサイクルショーで正式に発売がアナウンスされた注目のスクランブラーモデル、ホンダCL250。懐かしく思う人も、初めて聞くCLという車名に興味を抱いた人もいることだろう。どのようなモデルなのか、発表前に報道陣向けにお披露目されたプロトタイプから実車に迫ってみよう。

2023年の東京モーターサイクルショーで話題をさらったニューモデルがホンダCL250。近年盛り上がりつつあるオンオフ両用のスクランブラーモデルとして発売された。車体を見ればレブル250がベースになっていることは明らかだが、新型車を開発する場合に共通のコンポーネンツを用いることでコストを抑え専用設計する部分に特化できるというメリットがある。そのため新型CL250はレブル250より1万1000円だけ高い62万1500円(税込)という販売価格を実現している。その作り込みを見れば、いかに安いかがわかるだろう。

編集部サンタサン(左)とジャーナリストのケニー佐川が解説。

今回はユーチューブで無料配信しているモトチャンプTVで公開している「復刻&爆売れ間違いなし!? ホンダ・CL250の実車解説」という動画から実車の構成を紹介してみたい。なお、この動画は2022年に報道陣向けに開催された発表説明会で収録されたもの。発売前のプロトタイプであるため、発売後の仕様と若干異なる点がある場合もある。

196年に発売された初代CL250。

ところでスクランブラーモデルとはどのようなバイクのことなのだろう。その歴史は古く1960年代まで遡る。以前はオフロードに特化したモデルがなく、オンロードバイクでオフロードも走っていた。そこで’60年代のアメリカでオフロード向けに車体をモディファイすることが流行する。これを受けてホンダはロード向けスポーツバイクの装備や仕様を変更したスクランブラーモデルを発売する。それがCLなのだ。だからホンダはCLと名のつくモデルを連綿と作り続けてきた。古くは1962年に発売されたCL72に始まり、1968年にはCL250へ生まれ変わっている。

レブル250をベースにしていることがわかる。

以前のモデルもロード向けだったCBなどをベースにスクランブラーであるCLとしていた。だから今回発売された新型CL250も過去と同じことをしたと受け取れる。過去と違うのはCBをベースにしたのではなく、アメリカンの人気モデルであるレブル250をベースにしたこと。それは両車を見比べれば誰でも気がつくことで、メインフレームやエンジンなどは基本的に同じ。大きく異なるのはメインフレームから伸びるシートフレームの位置と形状で、シート高を上げつつ最低地上高もレブルの134mmから165mmへと高くされている。

エンジンのルーツはCBR250Rだ。

レブル250のエンジンは水冷単気筒DOHC4バルブ。実はこのエンジンは2011年に発売された第二世代CBR250であるCBR250R用として開発されたもの。高回転までスムーズに回るパワフルさが特徴だった。このエンジンを熟成させて転用しているのだから、新型CL250の走りが悪いわけないのだ。

前19インチ、後17インチタイヤを採用。
レブルと異なるデザインのマフラーは音質もレブルより元気!

レブル250をベースとしながらスクランブラーモデルとしての走りを支える部分は大きく異なる。まず第一にタイヤサイズが大きく変更された。レブル250は前後16インチのタイヤ&ホイールを装備するが、新型CL250ではフロントに110/80R19、リヤに150/70R17と異径サイズを装備する。フロントに大きな19インチタイヤを装備するのは、オフロードでの走破性を向上させるためで、110と比較的細めのタイヤサイズにしたことも同様。リヤにはレブルより大径な17インチを与えて、オンロードでの快適性とオフロードでの走破性を両立させているのだ。

レブルと同じ4LED式ヘッドライト。
灯火類はフルLEDを採用。

ただしヘッドライトやメーターなどコストを抑制させることができる部分はレブル250と共通の部品が与えられている。専用設計した足回りやマフラーなどにより新車価格が上昇してしまうことを抑制させるためだ。新開発されたアップマフラーはレブル250より元気な排気音を奏で、パルス感溢れるサウンドとなっている。またフルLEDの灯火類が与られたCL250にはハザードが標準装備され、テールランプはCL250専用とされた。視認性が高く安全性にも優れている。

純正アクセサリー装着車。
左リヤにゼッケンプレートが装着されている。

注目なのが純正アクセサリーを装備したカスタム仕様が存在することだろう。Cross Stlye(クロススタイル)をコンセプトに開発された、スクランブラーらしさをさらに追求した外装や装備も発売されている。ヘッドライトバイザーやナックルガードは走行時の快適性を向上させるだけでなく快適性も高まるアイテム。前後フェンダーはオフロードバイクらしさを演出してくれ、落ち着いた色調のフラットシートはラリーステップとともにオフロードライディング時に威力を発揮。写真にはないが積載性を向上させるリヤキャリアやトップボックス、サドルバッグなども用意されている。今、最も注目した250ccクラスの1台と言えるだろう。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…