乗りやすさを重視した純正風カスタム
1967年に市販版モンキーが誕生してから3代目(多摩テックの遊具からだと4代目)となるのが、1974年に登場したモンキーZ50Jだ。燃料タンクやシートの形状はその後に登場するZ50Jz-1とは異なるものの、アップマフラーのデザインやリヤ2本ショックなど、今に続くモンキーの原型ともいえるディテールを各所に備えている。また、それまでのモンキーがクルマに積むことを前提にして開発されていたのに対し、はじめてバイク単独での快適なツーリングが可能になったモンキーとして、今なお高い人気を誇るモデルである。
そんなZ50Jのフルカスタムモデルに乗るのはPLL racingさん。なんと年齢は19歳ということで、Z50Jより断然若い!! しかも、このマシンを手に入れたのは2年前、高校2年生の頃だそうだ。
手に入れた時はほとんど純正に近かったというが、そこからコツコツと、時には仲間の力も借りつつ、このスタイルに仕上げたという。そんなカスタムのきっかけになったのが「乗りやすさ」だとPLL racingさんは言う。
「純正フロントフォークと8インチホイールが頼りなくて(笑)。そこでホイールを10インチにしたのが、カスタムのスタートでした」
ホイールのインチアップで安定性をアップさせ、ブレーキはフロントをドラムブレーキからディスクへ変更し、ブレンボ製4ポットキャリパーを装着。安全性も大きく向上させている。
スイングアームも今では貴重なレガスピードの10cmロングを装着。フロントフォークはNSR50純正を突き出すことで、リヤとのバランスを取っている。
しかし「スタイリングはあくまでも、純正風にこだわっています」と、PLL racingさん。
前後フェンダーやテールランプなどは純正のまま。さらに燃料タンクには友人によるリペイントを施し、違和感のない仕上がりを見せている。
ライトステーとメーターステーも鉄板を溶接したワンオフパーツ。NSR50のフロントフォークとZ50Jのルックスが違和感なく溶け込んでいる。
他にも、メーターステーを鉄板から作り上げ、結晶塗装を施すなど、随所にこだわりが詰まっている。
そしてエンジンは、SP武川製パーツによって排気量を106ccにアップ。トランスミッションは5速化されている。
2年前に購入したマシンだが、カスタムが完成したのはつい最近とのこと。本格的にカスタムをスタートしてから、この1年ほどはほとんど乗っていなかったそうだ。
その反動なのか、「今ではほぼ毎週末、ツーリングに出掛けています」とPLL racingさんは笑顔で話す。安定感や安全性、そしてパフォーマンスをバランスよくアップさせたおかげで、1日200kmのツーリングも難なくこなすと満足げだ。
昭和を代表する4miniマシンだが、古臭さをまったく感じさせない……オーナーの若いセンスを存分に発揮した1台といえるだろう。