カワサキNinja ZX-4Rの対抗馬!? 中国のKOVEが並列4気筒マルチ443cc・70馬力の「450RR」を欧州で発表【EICMA2023】

写真左)KOVE 450RR 写真右)カワサキNinja ZX-4RR 40th Anniversary Edition
2023年11月8日~11月13日にイタリア・ミラノで開催された世界最大のモーターサイクルショー「EICMA(エイクマ)」で、中国のバイクメーカー「KOVE MOTO(コーベモト)/以下KOVE」はカワサキNinja ZX-4R SE/RRの対抗馬ともいえる「450RR」を発表。水冷4ストローク並列4気筒DOHC 4バルブ443ccの70馬力エンジンを搭載した同車は、現在中国で発売中。車両重量はNinja ZX-4RRの189kgよりも24kg軽量な165kgを実現。欧州での発表を機に、世界進出の可能性もある450RR。ライバル車であるカワサキNinja ZX-4R SE/RRとのスペックを比較してみた。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
KOVE MOTO https://www.kovemoto.com/
※KOVE 450RRはすべて欧州発表車

KOVE 450RR……ハイエンドモデル:39,800元(日本円で82万円)/スタンダードモデル:35,800元(日本円で74万円) ※1元=20.64円で換算

写真はハイエンドモデル。フロントフォークにセッティング機構がなく、フロントにアキシャルマウント式2POTディスクキャリパー(ハイエンドモデルはラジアルマウント式4POTディスクキャリパー)を採用した廉価版のスタンダードモデルもラインナップ。
SATISFY YOUR LUST FOR SPEED丨KOVE 450RR

中国で発売されたのは399cc版ではなく、443cc版だった

中国のバイクメーカー「KOVE MOTO(コーベモト)/以下KOVE(コーベ)」は2017年、中国の重慶市にて設立された新進気鋭のバイクメーカー。IAFT16949品質システムに基づき、開発、設計、製造、生産、販売を一貫して推進している。

同社は大排気量車を中心に、パフォーマンスを重視したラインナップで急成長。2021年には年間生産台数2万台を突破し、300cc以上の大型モデル販売数は中国で4位を獲得。“日本車に追いつけ・追い越せ!”の勢いで、様々な高性能モデルをリリース中だ。

ちなみに社名の「コーベ」という発音は、1970年代から北米や欧州などでも大排気量車を発売し、全世界で“Ninjaシリーズ”のブランドを確立した「カワサキ」の本社がある兵庫県明石市の隣にある港町「神戸(こうべ)」と同じ。

KOVE 450RR(ハイエンドモデル)

KOVEがEICMA2023で発表した「450RR」は、水冷4ストローク並列4気筒DOHC 4バルブ443ccの70馬力エンジンを搭載したミドルスポーツモデル。KOVEは2022年11月に開催された中国・重慶モーターサイクルショーにて、水冷4ストローク並列4気筒DOHC 4バルブ399ccの「400RR」を発表。

399ccの「400RR」は2021年に発表。まだ発売前だったライバル車・カワサキNinja ZX-4R SE/RRを意識し、75馬力を発揮すると発表された(Ninja ZX-4R SE/RRは77馬力/ラムエア加圧時は80馬力)。しかし2022年の重慶モーターサイクルショー発表時は68馬力と発表。ただし車両車重は160kgの超軽量を実現した。

軽量化を実現したものの、最高出力でカワサキNinja ZX-4R SE/RRに大差をつけられた400RR。これが理由なのかは不明だが、KOVEは中国で2023年6月、400RRではなく450RRを発売した。2023年11月現在、450RRは中国のみで発売中。

カワサキNinja ZX-4R SE/RRは国内を始め、欧州、北米、インドネシアなどのアセアン諸国でも発売中。450RRは欧州での発表を機に、欧州、北米、アセアン諸国、そして日本でも発売の可能性がある。

水冷4ストローク並列4気筒DOHC 4バルブエンジンを搭載した高性能ミドルスポーツモデル、450RRとNinja ZX-4RRの両車を比較してみよう。

It starts from the deep love and is always passionate丨KOVE 450RR

外観・価格編

KOVE 450RR(ハイエンドモデル)
カワサキ Ninja ZX-4RR 40th Anniversary Edition 国内での発売価格は117万7000円(税込)。RR KRT EDITIONは115万5000円(税込)。R SEは112万2000円(税込)。

【KOVE 450RR】

全長×全幅×全高:2,015mm×740mm×1,090mm
ホイールベース:1,385mm
シート高:780mm/785mm/795mm
車重:165kg
燃料タンク容量:14L
中国での発売価格:ハイエンドモデル:39,800元(82万円)/スタンダードモデル:35,800元(74万円) ※1元=20.64円で換算

【カワサキ Ninja ZX-4RR】

全長×全幅×全高:1,990mm×765mm×1,110mm
ホイールベース:1,380mm
シート高:800mm
車重:189kg
燃料タンク容量:15L
中国での発売価格:7万6800元(158万円)/ZX-4R SEは6万9800元(144万円) ※1元=20.64円で換算

輸入関税なども影響してか、450RRに比べ、中国国内でのNinja ZX-4R SE/RRの価格は非常に高額。一方450RRは、Ninja ZX-4R SE/RRのほぼ半額で購入可能。中国において450RRは、極めてコストパフォーマンスの高い1台であるといえる。

両車のホイールベースは5mm違いで、車体サイズはほぼ同じ。ただし450RRはNinja ZX-4RRよりも、24kgもの軽量化を実現。軽量なボディ=スポーツ性能を向上させる。これはスポーツモデルのセオリー。下記の通り、パワーウエイトレシオにも大きな影響を与えている。

450RRにはフロントフォークにセッティング機構がなく、フロントにアキシャルマウント式2POTディスクキャリパーを採用した廉価版のスタンダードモデル(35,800元)もラインナップ。

エンジン編

KOVE 450RR(ハイエンドモデル)
カワサキ Ninja ZX-4RR 40th Anniversary Edition

【KOVE 450RR】

種類:水冷4ストローク並列4気筒DOHC 4バルブ
排気量:443cc
ボア径×ストローク長:59mm×40.5mm
最高出力:52kW(70.7ps)/13000rpm
※パワーウエイトレシオ:2.33kg/ps
最大トルク:39Nm/10500rpm
最高速度:220km/h

【カワサキ Ninja ZX-4RR】

種類:水冷4ストローク並列4気筒DOHC 4バルブ
排気量:399cc
ボア径×ストローク長:57.0mm×39.1mm
最高出力:①57kW(77ps)/14500rpm ②ラムエア加圧時:59kW(80ps)/14,500rpm
※パワーウエイトレシオ:①2.45kg/ps ②2.36kg/ps
最大トルク:39Nm/13000rpm
最高速度:非公表

両車のエンジンはボア径よりストローク長の短い、スポーティーなショートストローク型に設計。ただし最高出力&最大トルクの回転数で見た場合、450RRは44ccという排気量の優位を活かしたトルクフル型。一方、Ninja ZX-4RRは超高回転型。

Ninja ZX-4RRは399ccながら、最高出力は大幅にリード。ただしパワーウエイトレシオにおいて、重量189kgのNinja ZX-4RRは、165kgという軽量化を実現した450RRに及ばず。

※パワーウェイトレシオとは
加速力の目安として用いられる数値で、車体重量に対して馬力の大きさを示したもの。1馬力あたりどれくらいの重量を負担するのかを表すことができ、「車両重量÷最高出力」で算出。一般的に算出された数値が小さければ小さいほど、加速力に優れているといえる。

足周り編

KOVE 450RR(ハイエンドモデル)
カワサキ Ninja ZX-4RR 40th Anniversary Edition

【KOVE 450RR】

フロントフォーク:倒立型
リアショック:モノショック型
ブレーキ:前 ラジアルマウント型4POTダブルディスク、後 ディスク
タイヤ:前 120/70-17、後 160/60-17

【カワサキ Ninja ZX-4RR】

フロントフォーク:倒立型
リアショック:モノショック型
ブレーキ:前 ラジアルマウント型4POTダブルディスク、後 ディスク
タイヤ:前 120/70-17、後 160/60-17

両車とも基本的にスーパースポーツに相応しい、本格的な足周りに設定。前後ホイールは両車とも17インチにを採用。前後タイヤは同サイズをセレクト。

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