名門「ブレンボ」がNEWキャリパーを発表|一気に3アイテムも!?【EICMA2023】

左右非対称の特徴的デザインを採用した「HYPURE」は、同じ用途の従来品と比べて10%の軽量化を見事実現。
イタリアのディスクブレーキシステムメーカー「ブレンボ」は2023年11月8日~11月13日にイタリア・ミラノで開催された世界最大のモーターサイクルショー「EICMA(エイクマ)」において、革新的キャリパー「HYPURE」、GP4シリーズの最新モデル「GP4-MotoGPキャリパー」、クラッチマスターシリンダー「16RCSコルサコルタRR」、新しいSSV向けキャリパーとディスクを初公開した。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
ブレンボ https://www.brembo.com/jp/

革新的キャリパー「HYPURE

左右非対称の特徴的なデザインを採用したディスクブレーキ用キャリパー「HYPURE」は、同じ用途の従来品と比べて10%の軽量化を実現した、クラス最軽量コンポーネント。軽量化したからといって、剛性に影響なし。優れた剛性はそのままに、性能と操作性を強化し、ライダーの競争力を高める。

HYPUREの高度な熱伝導性は、安定した制動性能を可能にし、ライダーに自信を持って限界の壁を越える力を寄与。特許取得設計に基づく独自のスプリング・パッド・ピンシステムと、キャリパーとパッド間の特別な工夫を施した軸受面によって、残留トルクを最小限に抑制。そのためHYPUREは、従来品より高性能で環境にも優しいのが特徴。

「HYPER(超)」と「PURE(純粋)」の掛け合わせから生まれた「HYPUREの名は、ブレンボの革新精神を表している。この想像力を刺激するネーミングには、現代の精神およびアドレナリンを放出させる走りの本質が込められている。他と一線を画す性能が、いぶし銀のすっきりと合理的なフォルムを特徴とする無駄のない設計と一体化。

ブレンボの最新設計理念に則したHYPUREは、これまでの常識を打ち破る非対称デザインも魅力の一つで、機能性と美しさをさりげなく両立。HYPUREは研究とイノベーションにたゆみなく挑戦するブレンボの姿勢そのものであり、当社独自のブランドアイデンティティを伝える真のアンバサダーでもある。

HYPUREの性能は別格の領域に達し、サーキットでも公道でも、ライダーに心躍る走りを約束。確かなダイナミズムとエネルギーを持つこのキャリパーは、熱きライダーにとって欠かせないもの。デザイン、性能からサステナビリティに至るまで、走りに関わる要素がすべてハイクラス。ライダーの期待を裏切らない逸品に仕上がっている。

MotoGPの技術を駆使した究極のロード向けブレーキキャリパー「GP4-MotoGP

パワフルなオンロードバイク向けに設計・開発されたGP4-MotoGPは、サーキット発想の公道仕様ブレーキキャリパー。現代のモーターサイクルのニーズと、要求の厳しいサーキット走行愛好家の期待に応え、性能と公道でのスポーツ感覚を新次元へと押し上げてくれる。

優れた性能を誇るディスクブレーキ用キャリパー「GP4-MotoGP(取付ピッチ100mm)」の決め手は、斜めのパッドスライド。これはMotoGPマシン用キャリパーでは標準的なもので、レバーにかかる力が同等であっても、よりシャープな制動力がかかることを可能にした。さらにアンチドラッグシステムと瞬時のパッドリリースコントロールを強化し、パッド摩耗の軽減を図ってる。

特に注目したいのは、ボディの外側と新しいレーシングピストンに取り付けられたベンチレーション用のフィンで、ブレーキシステムの熱交換を促して冷却効率をアップ。これは走行による空気循環はもちろん、さらに重要な要素として、ブレーキディスクとホイールの回転が引き起こす空気の動きによってなせるもの。よりシャープで大胆なデザインに仕上げられているのもポイントだ。

MotoGP(ロードレース世界選手権)やSBK(スーパーバイク世界選手権)でプロライダーが用いるブレンボ製キャリパーと同様、このモノブロック設計キャリパーもアルミビレットから生まれたもの。鋳造によるブレーキ部品と比べると、アルミビレットを機械切削加工することによって素材の機械的特性を活かすことができ、過酷な走行環境でも高い安定性を発揮。その結果、耐久性を損なうことなくブレーキシステム全体の性能を高めることができる。

フロント部の補強リブは4本のアルミ製ピストンを取り囲み、システム剛性を最大限に高めているため、ライダーはバイクの安全性と信頼性を獲得。明るくなめらかな外観を生み出すニッケルコーティングによる表面処理により、高温環境でも本来の強さと性能を発揮。それでいて走りの満足感を犠牲にしないために、耐久性、耐摩耗性、ロードでの最適性能を確保している。

MotoGPの技術を盛り込んだバイク用クラッチマスターシリンダー「16RCSコルサコルタRR」

MotoGPですでに採用されている技術ソリューションを盛り込んだ画期的なバイク用クラッチマスターシリンダー「16RCSコルサコルタRR」は、RCSコルサコルタRRシリーズのオリジナルスタイル特性をすべて継承。同シリーズのブレーキマスターシリンダーが2023年、権威あるレッド・ドット・デザイン賞を受賞した理由はここにある。

デザインに統一感があるので、ブレーキ製品をシリーズで揃えると、見てそれと分かるダイナミックでスポーティー、スタイリッシュなブレーキ製品から、意図した共通のスタイル性がバイクを通して伝わるのがポイント。

クラッチのメインボディはビレットを機械加工し、表面仕上げにはブラックの硬質アルマイトコーティングを実施。これによりボディの優れた耐摩耗性とコンポーネントのスムーズな動きを実現。フローティングピストンとシールもMotoGPと同一仕様。

高性能バイクに特化して開発した、新しいRCS コルサコルタRRクラッチマスターシリンダーには、16mm径フローティングピストンを採用。大排気量エンジンでの走りのフィーリングとパフォーマンスを高めている。なお、クラッチマスターシリンダーは取り付け用付属品がセットになったキット販売(2024年3月発売予定)。

SSV向けキャリパーとディスク

新しいSSV向けキャリパーとディスクは、この市場セグメントでは初となるカスタムメイドの高性能ブレーキシステム。ブレンボは60年以上に渡り、F1マシンからスーパーカーまで幅広いカテゴリーのブレーキ設計とブレーキ部品製造を手掛け、その実績を活かしたブレーキ製品はバハ1000での数々の勝利に貢献。

SSVキャリパーは既製のブレーキシステムと比較して制動性能が大幅に高く、ドライバーに自信を与えると同時に、メンテナンスも簡単。アルミキャストを使用し、ブレンボ独自の負荷最適化ソフトウェアを用いた設計によって、オフロード走行時の過酷な環境にも耐える堅牢な構造に仕上げている。

ブレンボが設計した4ピストンアルミブレーキキャリパーが、クロスドリルドスチールブレーキディスクをしっかりと捉え、わずか1.55 kgの軽量化を実現しつつも優れた制動力を発揮。ディスク表面に施されたブレンボロゴにも個性が光る。

ブレンボSSVキャリパーはすべての重要測定基準を踏まえ、このカテゴリーに特化して設計された最良ブレーキソリューション。ブレンボ独自のステンレススチールディスクと焼結パッドを、このアルミ固定キャリパーと組み合わせることで、4コーナー仕様の従来品と比べた軽量化を実現。静かで自信の持てるブレーキペダルフィーリングが体感できる。

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