【WEC】カタールで開幕する2024シーズンWECの見どころ解説

今週末開幕するWEC(世界耐久選手権)2024シーズンの見どころをドイツ在住ジャーナリストが解説

アルピーヌ
アルピーヌ
3月1~2日、カタール1812㎞で開幕戦を迎えるFIA WEC(世界耐久選手権)。それを控えて、カタール ルイサル・インターナショナルサーキットで公式テストが2月24~25日に開催される予定だったが、紅海での情勢不安によって輸送が遅れ、2月26~27日に延期されている。波乱含みの今年のWECの直前リポートをお届けする。

2024 WEC

モータースポーツ新時代の幕開け

開幕を待ちわびる多くのファンの期待が高まるFIA WEC(世界耐久シリーズ)。今季は中東カタールを皮切りに4大陸、8ヶ国を転戦し、熱戦を繰り広げる。カタール ルイサル・インターナショナルサーキットで3月1~2日に開催される開幕戦は1812㎞の耐久戦となるのだが、それを控えた2月24~25日には、同サーキットでプロローグ(公式テスト)が開催される。

LMP1クラスの終了により、FIA WEC(世界耐久シリーズ)/ル・マン24時間レースにあらたにハイパーカークラスが誕生した2021年。その元年から参戦し続け、ル・マン最高峰クラスでキャリアも実績も十分に備え持つトヨタGazooレーシング。しかし、レースという勝負は何が起こるか分からない。昨年はデビューイヤーながら、ル・マン24時間レースで強豪トヨタを打ち破ったフェラーリ499Pのセンセーショナルな総合優勝に沸いた100周年記念の大会が記憶に深く刻まれている。

昨シーズンはフェラーリの他にプジョー、ポルシェ、フェラーリ、キャディラックが加わり、ほぼトヨタの独占だったハイパーカークラスが一気に華やいだ。今シーズンは更にBMW、アルピーヌ、ランボルギーニ、イソッタ・フラスキーニの4ブランドが参入し、全19台というビッグフィールドとなり、近年のモータースポーツ史上においてもまれに見る、新時代の幕開けとなり、熱く激しい戦いが予想される。

プロとアマチュアがタッグを組むLMGT3クラス

アストンマーティン ヴァンテージ AMR GT3
アストンマーティン ヴァンテージ AMR GT3

LMGTEクラスとLMP2(ル・マン24時間のみ参戦可能)が廃止となり、もはや世界基準となったGT3マシンがLMGT3クラスとして新規に加わるのだが、今季は特にフォード マスタングGTとコルベットZ06 GT3.Rのアメリカ勢が欧州デビュー。先日ワールドプレミアとなったばかりのアストンマーティン ヴァンテージ AMR GT3も新型デビューとなり、ハイパーカーのみならずLMGT3クラスも新車ラッシュに沸き、9ブランド、計18台が2024年のシーズンが競う。

プロとアマチュアがタッグを組むこのクラスには、ベルギーのWRTからはBMW M4 GT3を駆り、7度のMotoGP世界チャンピオンを誇るヴァレンティ―ノ・ロッシがシリーズ参戦する。ロッシは2021年のMotoGP引退後GTドライバーへ転向し、2023年からはBMWのワークスドライバーとして活動の幅を拡げている。

メルセデスAMGから移籍した#82のコルベットを駆るのはダニエル・ユンカデラ、#60のアイアンリンクスにはランボルギーニのフランク・ペレーラ、#31のWRTにはBMWのアウグスト、ファーフスなど、各自動車メーカーの名手が揃う中、#87のレクサスにはトヨタGazooレーシング所属のホセ・マリア・ロペスはハイパーカーからGT3へスイッチ。この他にも数多くのトップドライバーがジェントルマンドライバーとタッグを組んで2024年のシーズンを戦う。

合計5名の日本人ドライバーが挑む

小林可夢偉が乗車するGR010 HYBRID 7号車。
小林可夢偉が乗車するGR010 HYBRID 7号車。

ハイパーカークラスで戦う日本人ドライバーは、トヨタGazooレーシングの#7にベテラン小林可夢偉、#8には今季F1のマクラーレンのリザーブドライバーと兼任する平川亮がトヨタGR010ハイブリッドのステアリングを担う。一方でLMGT3クラスには#95のユナイテッドスポーツのマクラーレン720S GT3 Evoを佐藤万璃音、#82のTFスポーツのコルベットへは小泉洋史、#87のレクサスRC-Fは木村武史の3名、合計5名の日本人ドライバーが世界の頂点へと挑む。

2024年のWECは、この開幕戦のカタールを皮切りに、イタリアのイモラ、ベルギーのスパ・フランコルシャン、フランスのル・マン24時間レース、ブラジルのサンパウロ、アメリカのサーキット オブ ジ アメリカンズを経て、日本在住ファン待望の富士スピードウェイでは9月13~15日に開催予定。11月にバーレーンで最終戦を迎える。

9メーカーが参戦するWECハイパーカー・クラスに、ポルシェは5台の「ポルシェ 963」をエントリーした。

19台が参戦するハイパーカークラスに5台の「ポルシェ 963」がエントリー「2024年WEC必勝体制」

2月24~25日にかけてカタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで行われる公式プロローグテストで幕を上げる、2024年シーズンのFIA 世界耐久選手権(WEC)。ポルシェはハイパーカークラスにワークス格のポルシェ・ペンスキー・モータースポーツが2台と、サテライトチームのハーツ・チーム・ジョタ2台、プロトン・コンペティション1台で計5台の963を投入する。

ル・マン24時間レースのLMGT3クラス初制覇を狙い、フェラーリは5台の296 LMGT3をエントリーさせた。

フェラーリがル・マン24時間の完全制覇を狙って「296 LMGT3」5台を「499P」と共に投入

2024年6月15〜16日にかけてフランスのサルト・サーキットを舞台に開催される、世界耐久選手権(WEC)第4戦ル・マン24時間レース。世界屈指の過酷さを誇るクラシックレースのLMGT3クラスに、フェラーリは5台のフェラーリ 296 LMGT3を投入する。

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著者プロフィール

池ノ内 みどり 近影

池ノ内 みどり

ミュンヘン大学在学中にアルバイトをしていたドイツの広告代理店での仕事がきっかけで、モータースポーツ…