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2024 WEC
モータースポーツ新時代の幕開け
開幕を待ちわびる多くのファンの期待が高まるFIA WEC(世界耐久シリーズ)。今季は中東カタールを皮切りに4大陸、8ヶ国を転戦し、熱戦を繰り広げる。カタール ルイサル・インターナショナルサーキットで3月1~2日に開催される開幕戦は1812㎞の耐久戦となるのだが、それを控えた2月24~25日には、同サーキットでプロローグ(公式テスト)が開催される。
LMP1クラスの終了により、FIA WEC(世界耐久シリーズ)/ル・マン24時間レースにあらたにハイパーカークラスが誕生した2021年。その元年から参戦し続け、ル・マン最高峰クラスでキャリアも実績も十分に備え持つトヨタGazooレーシング。しかし、レースという勝負は何が起こるか分からない。昨年はデビューイヤーながら、ル・マン24時間レースで強豪トヨタを打ち破ったフェラーリ499Pのセンセーショナルな総合優勝に沸いた100周年記念の大会が記憶に深く刻まれている。
昨シーズンはフェラーリの他にプジョー、ポルシェ、フェラーリ、キャディラックが加わり、ほぼトヨタの独占だったハイパーカークラスが一気に華やいだ。今シーズンは更にBMW、アルピーヌ、ランボルギーニ、イソッタ・フラスキーニの4ブランドが参入し、全19台というビッグフィールドとなり、近年のモータースポーツ史上においてもまれに見る、新時代の幕開けとなり、熱く激しい戦いが予想される。
プロとアマチュアがタッグを組むLMGT3クラス
LMGTEクラスとLMP2(ル・マン24時間のみ参戦可能)が廃止となり、もはや世界基準となったGT3マシンがLMGT3クラスとして新規に加わるのだが、今季は特にフォード マスタングGTとコルベットZ06 GT3.Rのアメリカ勢が欧州デビュー。先日ワールドプレミアとなったばかりのアストンマーティン ヴァンテージ AMR GT3も新型デビューとなり、ハイパーカーのみならずLMGT3クラスも新車ラッシュに沸き、9ブランド、計18台が2024年のシーズンが競う。
プロとアマチュアがタッグを組むこのクラスには、ベルギーのWRTからはBMW M4 GT3を駆り、7度のMotoGP世界チャンピオンを誇るヴァレンティ―ノ・ロッシがシリーズ参戦する。ロッシは2021年のMotoGP引退後GTドライバーへ転向し、2023年からはBMWのワークスドライバーとして活動の幅を拡げている。
メルセデスAMGから移籍した#82のコルベットを駆るのはダニエル・ユンカデラ、#60のアイアンリンクスにはランボルギーニのフランク・ペレーラ、#31のWRTにはBMWのアウグスト、ファーフスなど、各自動車メーカーの名手が揃う中、#87のレクサスにはトヨタGazooレーシング所属のホセ・マリア・ロペスはハイパーカーからGT3へスイッチ。この他にも数多くのトップドライバーがジェントルマンドライバーとタッグを組んで2024年のシーズンを戦う。
合計5名の日本人ドライバーが挑む
ハイパーカークラスで戦う日本人ドライバーは、トヨタGazooレーシングの#7にベテラン小林可夢偉、#8には今季F1のマクラーレンのリザーブドライバーと兼任する平川亮がトヨタGR010ハイブリッドのステアリングを担う。一方でLMGT3クラスには#95のユナイテッドスポーツのマクラーレン720S GT3 Evoを佐藤万璃音、#82のTFスポーツのコルベットへは小泉洋史、#87のレクサスRC-Fは木村武史の3名、合計5名の日本人ドライバーが世界の頂点へと挑む。
2024年のWECは、この開幕戦のカタールを皮切りに、イタリアのイモラ、ベルギーのスパ・フランコルシャン、フランスのル・マン24時間レース、ブラジルのサンパウロ、アメリカのサーキット オブ ジ アメリカンズを経て、日本在住ファン待望の富士スピードウェイでは9月13~15日に開催予定。11月にバーレーンで最終戦を迎える。