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1952 Porsche 356 America Roadster
北米からのリクエストに応えた「356」
ポルシェの北米市場での販売がスタートしたのは、シュトゥットガルトでの生産がスタートして間もない1950年のこと。それ以降、北米はポルシェを支える重要な市場へと存在感を増すようになる。
そのキーマンとなったのが、ニューヨークでディーラーシップを展開していたマックス・ホフマンだ。戦後大量に北米市場に上陸し成功を収めた英国製スポーツカーの様子を見たホフマンは、早くからポルシェにカブリオレとは異なる安価でスパルタンなロードスターをリクエストしていた。
356のワンオフモデルを参考に
そこでポルシェが目をつけたのが、シュトゥットガルトのハインリッヒ・ザウターが1951年に製作した356カブリオレ・ベースのワンオフ・スペシャルだった。レース参戦をするにあたり、356の動力性能に不満を持っていたザウターは、低い2シーターのスチールボディへと換装。1951年から52年にかけ6回のクラス優勝を飾るなど非凡な速さをみせたのである。
ザウターからこのロードスターを買い取り研究したポルシェが1952年に製作したのが、その名も「356 アメリカ ロードスター」だ。
600kgの車重に70hp!
シャシーは356カブリオレがベースで、コーチビルダーのクレイザーに委託しザウターによく似た2シーターのアルミ・ボディを製作。わずか600kgという軽量な車体に、70hpを発揮する最新の356 1500S用1488cc空冷水平対向4気筒OHVエンジンを搭載。最高速度は177m/hを誇った。
無論、性能的には十分に満足できるものだったが、アルミ・ボディは生産性も悪いうえにコストも高く、わずか16台の生産(ほとんどが北米に輸出された)に終わっている。しかしながら、走りにターゲットを絞ったスペシャル・ポルシェの元祖という意味において、その存在意義は大きいといえる。
【SPECIFICATIONS】
ポルシェ 356 アメリカ ロードスター
年式:1952年
エンジン形式:空冷水平対向4気筒OHV
排気量:1488cc
最高出力:70hp
最高速度:177km/h
TEXT/藤原よしお(Yoshio FUJIWARA)
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