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Pagani Huayra Epitome
クライアントとの密接な共同作業
パガーニ・アウトモビリは、グランディ・コンプリカーツィオーニ部門によるユニークなワンオフモデル「ウアイラ エピトーメ」を発表した。ウアイラ エピトーメは、パガーニ製ハイパーカーが持つプレステージや革新性に加えて、従来のカスタマイズレベルを大きく引き上げた1台である。
今回のプロジェクトが「クライアントとの最高レベルのクリエイティブなコラボレーションとなった」と明かすのは、グランディ・コンプリカツィオーニ部門の責任者を務めるロレンツォ・ケルコック。彼はウアイラ エピトーメについて次のように説明を加えた。
「今回、クライアントは明確なアイデアを持って私たちのもとを訪れました。彼は最高の表現へと導く、唯一無二のウアイラを作り上げたかったのです。コンセプト、アイデア、価値を表現するのであれば、そのネーミングは『Epitome(典型・縮図を意味するイタリア語)』しかありませんでした。クライアントは、生来のエレガンスを保ちながら、ウアイラのパフォーマンスをさらに高めた特別な1台を夢見たのです」
「グランディ・コンプリカツィオーニ部門における開発作業は、クライアントとの緊密なコラボレーションが必要とされます。クライアントは、彼が夢見る1台の共同創造者なのです。最初のミーティングから、クライアントはオラチオ・パガーニとビジョンを共有し、アイデアを具体的な形へと変えるため、積極的な意見を交わすことになりました」
「このミーティング作業は9ヵ月にも及び、最終的なコンセプトの決定に至りました。その後、様々な分野の専門家チームによる10ヵ月もの開発作業が行われました。たとえワンオフモデルでも専用コンポーネントを開発するには、量産車と同じ時間が必要なため、長く複雑なプロセスとなります。それでも明確なビジョンを持つクライアントと仕事をすることで、情熱と熱意を持って新たな課題に立ち向かうことができました」
Xトラック製7速マニュアルミッションを搭載
ウアイラ エピトーメの心臓部には、最高出力875PS(635kW)、最大トルク1100Nmを発揮する、パガーニ製6.0リッターV型12気筒ツインターボエンジンを搭載。AMGがパガーニの仕様に合わせて製造した排気量5980ccのツインターボエンジンは、リミッターを6700rpmまで引き上げる分配システムを備えており、爽快でダイナミックなパフォーマンスを提供する。
メカニカルなドライビング体験を求めるクライアントの希望に合わせ、Xトラック社製7速MTをウアイラとしては初めて搭載。電子制御式ディファレンシャル、モータースポーツ由来のトライポッド・ドライブシャフトが組み合わせられたことで、強大なパワーユニットが放つすべてのパワーを、ダイレクトに路面へと伝えることが可能になった。
サスペンションは、加速時のダイブ、ブレーキング時のピッチ、そしてコーナーリング中のロールを低減する専用ジオメトリを導入。これにより、ドライバーは特にサーキットにおいて抜群の応答性を持ってコーナーへと挑むことが可能になり、さらに車両のコントロール性と安全性が大幅に向上した。
キャビン内のセンタートンネルに「スーパーソフト(Super Soft)」ボタンが設置された。悪路走行時など、このボタンを押すことで、アクティブサスペンション・システムのセッティングが変更され、乗り心地をよりソフトに変更。また、速度が150km/hを超えると、選択した走行モードに応じてショックアブソーバーの設定が通常モードへと戻される。
鍛造アルミニウム合金モノリシック・ホイールは、クライアントが所有する「ウアイラ イモラ」からインスパイアされたデザインを採用。フロント7本、リヤ9本のシャープなスポークが特徴となり、アイコニックなスタイルを維持しながら、大幅な軽量化を実現した。
専用エクステリアを数多く採用
エクステリアは、新デザインの前後バンパー、専用ライトクラスター、新形状のエアエクストラクションシステムを備えたフロントフード、サイドコンベア一体化型大型ウイングを備えたリヤフードなどが採用された。
クライアントの要望に応じて設計されたスプリッター一体型フロントバンパーは、ダウンフォースを増大させ、あらゆる走行条件下で車両のバランスを向上。さらに、インナーラジエターダクトへと効率的にフレッシュエアを導入する。開口部が拡大されたことでフロントラジエーターの効率も向上し、クーリング性能が改善されただけでなく、エアロダイナミクスも最適化された。
パガーニのワンオフモデルとしては唯一、フロントフードに4基のライトユニット、バンパーに2基のデイタイムランニングライト・エレメントを装備。ウイング一体型リヤフードは、クライアントのリクエストに合わせて完全に再設計された。サイドフェンダーに配置されたウイングステーは、リヤセクションにエレガントで彫刻的なエッセンスを加えている。
今回、導入された新たな空力プロファイルは、ウアイラ Rの研究・開発からフィードバックされており、どのような走行状態においても車両バランスを最適化することを目的としている。テールライトに装着されたエアロダイナミックカバーも空気抵抗を減らすように設計。ボンネット上の層流境界層を拡大するだけでなく、リヤセクションにアグレッシブでユニークな印象を加えている。