【モントレー・カーウィーク】ウラカン後継モデル「ランボルギーニ テメラリオ」を初公開

「ランボルギーニ テメラリオ」がデビュー「最高出力920PSの新開発4.0リッターV8+3モーターPHEVパワートレイン搭載」

ハイブリッドパワートレインを搭載する「ランボルギーニ テメラリオ」のエクステリア。
ウラカンの後継モデルとなる、プラグインハイブリッド・スーパースポーツ「ランボルギーニ テメラリオ」が、モントレー・カーウィークでワールドプレミアされた。
アウトモビリ・ランボルギーニは、モントレー・カーウィークにおいて「ウラカン」の後継モデル、V8ツインターボ・ハイブリッドパワートレインを搭載する「テメラリオ」をワールドプレミアした。テメラリオは、レヴエルトに続くハイパフォーマンス・エレクトリファイド・ビークル(HPEV)第2弾モデルとして開発されている。

Lamborghini Temerario

電動化戦略最後の1ピースが完成

ハイブリッドパワートレインを搭載する「ランボルギーニ テメラリオ」のエクステリア。
モントレー・カーウィークで公開された「テメラリオ」は、ベストセラー「ウラカン」の後継モデルとして開発。レヴエルト、ウルス SEに続く、ランボルギーニの新世代ハイブリッドラインナップを完成させる1台となる。

2024年のモントレー・カーウィークの主役に躍り出た「ランボルギーニ テメラリオ」は、4.0リッターV型8気筒ツインターボに3基の電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドパワートレインを搭載。新開発V8ツインターボは1万回転に達することができる唯一の市販エンジンとなり、最高システム出力は最高出力920PSを発揮し、0-100km/h加速が2.7秒、最高速度は343km/hに達する。

アウトモビリ・ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマン会長兼CEOは、テメラリオのワールドプレミアを受けて次のようにコメントした。

「テメラリオは、従来のクルマとは一線を画し、 技術的にもスタイル的にも、真の意味で革新者と言える存在です。ランボルギーニが手がけるニューモデルは性能面でライバルを凌駕し、同時に持続可能性も備えていなければなりません。テメラリオによって、電動化戦略『コウ・タウリ(Cor Tauri)』のひとつの章が完成したと言えるでしょう。ランボルギーニは、完全にハイブリッド化されたラインナップを提供する、最初の高級車ブランドとなったのです」

エアロダイナミクスを追求したエクステリアは効率を追求しつつ、流麗なディテールやラインが徹底され、ランボルギーニのデザインランゲージを新たな段階へと引き上げた。最先端の高強度軽量マテリアルの採用により、ねじれ剛性は大幅に向上。特にサーキットにおいて優れたドライビングダイナミクスを実現した。また、セグメント最大の室内空間とラゲッジスペースも確保されている。

コクピットには、ランボルギーニ・ビジョン・ユニット・システム(Lamborghini Vision Unit system)を導入。ランボルギーニ史上最も先進的なマルチメディア体験が提供される。

新開発4.0リッターV8ツインターボを導入

ハイブリッドパワートレインを搭載する「ランボルギーニ テメラリオ」のエクステリア。
ウラカンに搭載されていた5.2リッターV型10気筒自然吸気エンジンに代わり、ランボルギーニは、4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジンを新たに開発。エンジン単体で最高出力800PSを発揮する。

テメラリオは、数年にわたる開発期間を要した高回転型のV8ツインターボエンジンに、3基の電気モーターを組み合わせた、プラグインハイブリッドパワートレインを搭載。ランボルギーニのチーフテクニカル・オフィサーと務める、ルーベン・モールは、その開発意図を次のように説明する。

「私たちはV8ツインターボというエモーショナルな内燃エンジンと、パフォーマンス志向の電気モーターという、2つの長所を組み合わせた、高性能スポーツエンジンを開発しようと考えました。3基の電気モーターを内燃機関に組み込んだハイブリッドパワートレインは、瞬間的な加速と高効率なエネルギー回生を同時に実現します。テメラリオは、その技術とパフォーマンスにおいて、他の追随を許しません」

ハイパフォーマンス・エレクトリファイド・ビークル(HPEV)第2弾として投入されたテメラリオは、可能な限り高いパワーとトルク、古典的な高回転自然吸気エンジンが持つレスポンスの実現が開発目標に掲げられた。新開発4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジンは、リッターあたり200PSの出力を持ち、V8エンジンのハウジングに統合された油冷式軸流型電気モーターと連動。さらにフロントアクスルにも2基の軸流型電気モーターが搭載される。

社内コードネーム「L411」エンジンは最高出力800PS/9000~9750rpm、最大トルク730Nm/4000~7000rpmを発揮。2基の大口径ターボチャージャーは最大ブースト圧は2.5バール、最高速域における効率とパフォーマンスの大幅な向上を果たした。さらにエンジンとギヤボックス間に配置された電気モーターが低回転域から即座にパワーとトルクを供給する。

DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)で覆われたフィンガーフォロワーにより、これまでモータースポーツ用エンジンに限られていた毎分1万1000rpmというエンジン回転数、そして920PS(676kW)という驚愕のシステム最高出力を発揮。ツインターボ+電気モーターの組み合わせながら、従来の自然吸気V型10気筒エンジンが持つ爽快なサウンドと、リニアなドライバビリティを実現した。

3基の油冷式軸流電気モーターを搭載

ハイブリッドパワートレインを搭載する「ランボルギーニ テメラリオ」のエクステリア。
テメラリオのハイブリッドパワートレインは、フロントアクスルに2基、エンジンとギヤボックス間に1基の油冷式軸流電気モーターを搭載。モーター単体で約300PSを発揮する。

テメラリオのハイブリッドパワートレインは、メインエンジンに1基、フロントアクスルに2基の油冷式軸流電気モーターを搭載。それぞれが110kWの出力を持ち、モーターのみの合計出力は220kW(約300PS)、最大トルクは2150Nmを発揮する。フロントアクスルのモーターは、必要に合わせてフロントを駆動し、電動フロントアクスルの重量はわずか73kg、各電動モーターの重量はわずか15.5kgに抑えられた。さらにウラカンと比較し、CO2排出量を最大50%も削減している。

開発時、最も大きな課題となったのが、モーターを追加したパワートレインの小型化だった。これを実現するため、エンジニアたちは1基の電気モーターをV8ツインターボとトランスミッション間に、中間クラッチを介さず直接組み込んだ。これにより、300Nmものトルクをあらゆる速度域で発揮し、どんなに小さなターボラグでも補完することが可能になったという。この電気モーターはスターターモーターや発電機としても機能する。

4500W/kgの高出力を持つリチウムイオンバッテリーパックは、センタートンネル内にレイアウト。これにより車両の重心を可能な限り低く保ち、最適な重量配分を実現した。バッテリーはシャシーの下部構造層によって厳重に保護されている。バッテリーパックは長さ1550mm、高さ301mm、幅240mmで、総容量3.8kWhのパウチセルを内蔵。通常の家庭用交流電流や急速充電器を介して充電が可能となっており、急速充電を使うことで約30分で0%から80%まで充電することができる。また、走行中はフロントアクスルの回生ブレーキやV8エンジンからも、電力がバッテリーへと充電される。

電動トルクベクタリング「ランボルギーニ・ダイナミカ・ヴェイコロ(LDV)2.0」システムは、各ホイールに最適なトルク配分を行い、低速コーナでの俊敏性と、高速コーナにおける安定性を向上させる。従来のシステムとは異なり、必要な場合のみブレーキに介入し、効率を最大化。これにより自然なドライビングと、高パフォーマンスが保証された。ブレーキング時には、e-アクスルとリヤ電気モーターが減速に寄与し、バッテリーを充電しながらブレーキへの負担も軽減する。

ランボルギーニを象徴する六角形のモチーフ

ハイブリッドパワートレインを搭載する「ランボルギーニ テメラリオ」のエクステリア。
フロントバンパー左右に配置された「デイタイム・ランニング・ライト」をはじめ、ボディ各部にはランボルギーニを象徴する「ヘキサゴナル(六角形)」モチーフが導入された。

ランボルギーニのデザイン部門チェントロ・スティーレは、テメラリオから、新世代デザインランゲージを導入。デザインディレクターを務めるミティア・ボルケルトは、そのコンセプトを次のように説明する。

「テメラリオは、コンパクトで俊敏なプロポーション、新しい六角形型ライトシグネチャー、航空機を思わせるコクピット、そしてハイブリッドパワートレイン導入を強調するシャープなボディラインなど、ランボルギーニのデザインランゲージにおける、新たなマイルストーンとなる存在です」

「そして、先代モデルとのつながりを持ちながら、まったく新しい個性を讃えています。デザインとダイナミズムを、そのコンパクトなプロポーションに融合させるため、デザインは完全なゼロベースからスタートしました。日常のドライビングの喜び、そしてサーキット走行も楽しめる、真の意味でスーパースポーツとして完成しています」

テメラリオはランボルギーニのDNAを、その典型的なシルエットからも見ることができる。クリアでピュアなライン、短くコンパクトなオーバーハング、美しく統合されたエアロダイナミクス、そして大胆なシャークノーズなどが、歴代ミッドシップスーパースポーツから継承された。

フロントバンパーの左右に配置された、ヘキサゴナル(六角形)・デイタイム・ランニング・ライトは、離れた場所からもランボルギーニ製スーパースポーツであることを強くアピール。六角形のコンセプトは、メインボディ、サイドエアインテーク、テールライト、エキゾーストパイプなど、車両全体のメインデザインテーマとして採用された。幾何学的な六角形モチーフは、1960年代以来ランボルギーニを象徴するシンボルのひとつとなっている。

フロントセクションを起点とした筋肉質なフォルムは、均整のとれたサーフェイスや、リヤのテールパイプに向けて絞り込まれたキャビンなど、空力を追求した航空機のデザイン要素が組み込まれた。ボンネット先端は力強く印象的なシャークノーズデザインを採用し、シャープでエレガントなヘッドライトはスポーツモーターサイクルからインスピレーションを得ている。

ドア後方のエアインテークは、V8ツインターボエンジンのパフォーマンスに必要なエアフローを確保するだけでなく、ダウンフォースレベルを強化。コンパクトでテクニカルなリヤセクションは、ワイド感を強調する固定式リヤスポイラー、ディフューザーと一体化されたエキゾーストテールパイプなど、モータースポーツのディテールが採り入れられた。六角形デザインが採用されたテールライトは、エンジン冷却のためのエアアウトレットとしても機能する。

パイロットになれるコクピット空間

ハイブリッドパワートレインを搭載する「ランボルギーニ テメラリオ」のコクピット。
デジタルディスプレイがインテリジェントに組み込まれたコクピットは、「Feel like a pilot(パイロットになった気分で)」というコンセプトを導入。すべての操作機能が、ドライバーからアクセスできるよう、レイアウトされている。

コクピットは、低く抑えられたシートポジション、大胆にレイアウトされたデジタルスクリーン、スリムで軽量なダッシュボード、レーシングカーをイメージしたステアリングホイールなど、シートに収まった瞬間にランボルギーニの世界観へと浸ることができる。

エクステリアデザインが反映されたインテリアは、デジタルとフィジカルな体験を高次元でバランス。カーボンファイバー、レザー、ディナミカ・スエードなどの最高品質素材を組み合わせることで、特別感のある上質な室内空間を実現した。

航空からインスピレーションを得たスタート/ストップ・パワーボタン、eギヤレバー、ステアリングホイールのレッド・ラインナップインジケーターなど、ランボルギーニ伝統のデザイン要素を継承。センターコンソール、エアベント、ドアパネル、ダッシュボード、ステアリングホイール、ステアリングコラムなど、多くのインテリアエレメントは、オプションのカーボンファイバートリムをオーダーできる。

ダッシュボードは「Feel like a pilot(パイロットになった気分で)」というコンセプトを導入。直感的な操作が可能となっており、ドライバーは航空機のパイロットのように、最適なシートポジションからすべてのコントロールへとアクセスすることができる。六角形型ベンチレーションはエレガントにダッシュボードへと組み込まれ、センターコンソール奥にはスマートフォンと財布を置くスペースも用意された。

新開発のステアリングホイールは、モータースポーツからインスピレーションを得ており、ドライバーは主な運転機能を、ステアリングから手を離さずに操作することが可能。左サイドには、ドライビングモードを選択するクラウンローター、その下には車両を上昇させるリフト機能ボタンや、レーススタート(ローンチコントロール)ボタンが配置されている。

新開発のスペースフレームシャシーの導入により、ウラカンと比較してヘッドルームが34mm、レッグルームが46mm拡大。視界は4.8度広げられており、ヘルメットを被った状態でも、身長2mまでのパッセンジャーに対応する。フロントのロードコンパートメントには112L収納スペースが用意され、その他の日用品はシート後方のスペースに収納することができる。

SPECIFICATIONS

ランボルギーニ テメラリオ
ボディサイズ:全長4706 全幅2246 全高1201mm
ホイールベース:2658mm
車両重量:1690kg
パワートレイン:V型8気筒ツインターボ+3モーター
総排気量:3995.2cc
エンジン単体出力:800PS/9000-9750rpm
エンジン単体トルク:730Nm/4000-7000rpm
最高システム出力:920PS
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:AWD
バッテリー:リチウムイオンバッテリー
電気モーター:P1 eモーター
ブレーキ:カーボンセラミック・ブレーキ・プラス(CCB Plus)
タイヤサイズ:前255/35ZR20 後325/30ZR21
最高速度:343km/h
0-100km/h加速:2.7秒
100-0km/h:32m

ランボルギーニ テメラリオを動画でチェック!

V10に代わって登場するV8ツインターボPHVパワートレイン。排気量は4.0リッターだ。

「ランボルギーニ ウラカン」の後継車が搭載するV8ツインターボは10000rpm級超高回転ユニット

「ランボルギーニ ウラカン」の生産終了と同時に、珠玉のV10自然吸気ユニットはその役割を終える。そして後継モデルにはどんなエンジンが搭載されるのか。その概要がついに明らかになった。

ランボルギーニの新フラッグシップ・スーパースポーツカーとして登場したレヴエルト。

最高出力1015PSの「ランボルギーニ レヴエルト」は雨の富士スピードウェイで何km/h出たのか?

ランボルギーニの新フラッグシップ・スーパースポーツカーとして登場したレヴエルト。6.5リッターV12自然吸気エンジンをミッドに搭載するAWDというのはこれまで同様だが、フロントを駆動するのはモーター、つまりハイブリッドである。その実力をサーキットで探った。(GENROQ 2024年9月号より転載・再構成)

キーワードで検索する

著者プロフィール

GENROQweb編集部 近影

GENROQweb編集部