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今年始まったLMGT3クラスにタイヤを供給
今日、富士スピードウェイで第7戦「富士6時間レース」が開催されるWECには、プロトタイプレーシングカーのハイパーカーと市販車ベースのLMGT3という2種類のカテゴリーのマシンが参戦している。昨年までその中間カテゴリーとして小排気量プロトタイプレーシングカーのLMP2があったのだが、今シーズンからはシンプルにプロトタイプとプロダクションカーの2カテゴリーによるレースとなった。
タイヤは各カテゴリーで1メーカーが独占供給する。ハイパーカーはミシュランが独占供給をする一方、今年始まったLMGT3クラスにタイヤを供給しているのは、昨年までLMP2カテゴリーにワンメイクタイヤを供給していたグッドイヤーである。今回の富士6時間におけるレーシングタイヤ供給のために富士スピードウェイを訪れた、耐久レース部門でテスティングマネージャーを務めるジョアオ・コエルホ氏に話を聞いた。
市販車にフィードバックしやすいLMGT3用タイヤ
まずこれまでプロトタイプレーシングカーのLMP2用のタイヤを供給していたが、今年のLMGT3マシン用のタイヤはどのような違いがあるのだろうか? 大幅にレース用の改造が施されているとはいえ、LMGT3はプロダクションカーベースのマシンである。
「確かにLMGT3マシンは、LMP2クラスと比べて車重が重く、ダウンフォースも小さいためスライドをしやすいです。それらの条件に合わせるためタイヤの仕様変更を行いました。コンパウンドはもちろん、構造も異なります」
「エアロダイナミクスが重視されるLMP2で重要なのは、安定したライドハイト(車高)です。一方でLMGT3で重要なのはメカニカルグリップです。例えばLMP2と比べるとサイドウォールなどはGT3の方が若干硬くなります」
LMGT3の方が、プロトタイプレーシングカーよりも当然市販車に近い。その分フィードバックできる技術が増えるのだろう。さらに、その市販車をベースとしているが故の開発のポイントも教えてくれた。
「LMP2では単一マシン(ギブソン)でしたが、LMGT3にはさまざまな車種があります。それらの全マシンに提供しなければならないので、汎用性を高めることを重視しました」
実際こうした技術は市販車にフィードバックされているという。その最新の例がフェラーリが今年発表した新しいV12フロントエンジンフラッグシップの「12チリンドリ」だ。これらの印象は今後掲載される試乗リポートで読むことができるだろう。