目次
Alpine A110
今や最下級グレードでも1000万円超
「アルピーヌ A110」の中古車が俄然、気になっている。600万円以上と、まだまだお買い得とはいえない相場とはいえ、ひょっとすると底堅く、これ以上に大きく下がることは期待薄なんじゃないか。そう思える状況になってきたからだ。
そもそも復活したミドシップ・リヤ駆動のA110は、将来の絶版人気車候補だ。なぜならアルピーヌはすでに電動ブランドへと舵を切っているから。すでにコンセプトが発表済みの「A290」、さらにはもう少し大きな「A390」といった90系ライフスタイルモデルと、「A110」後継や「A310」といった10スポーツモデルの両面作戦で電動ラグジュアリーマーケットを狙っていく。
何せ旧ルノースポーツの血統滲むブランドなのだから、それはそれで期待大だとしても、今のA110の積む4気筒エンジンの秀逸さを知っている我々としては、電動モデルへの代替わりには一抹の寂しさが残る。
さらに、だ。モデル末期にも関わらず人気を保っているうえ、新車価格が改訂されて今や最下級グレードでも1000万円を超えるモデルになった。新車価格の上昇はいつだって中古の相場を押し上げる大きな要因になる。
このマーケットでほぼ独占的な人気モデル
加えて。超弩級モデルが現れた。わずかに110台の限定モデルとはいえ、欧州マーケットで車両価格4000万円以上という「A110 R ウルティム」だ。“最終”でも“究極”でもなんでも良いけれど、とにかくA110にスーパースポーツ級のプライスタグが掛けられた。これがA110のこれからの相場動向に少なからず影響を与えることになる。
要するに、日本におけるA110の中古車相場が大きく崩れる要素は今のところ全くない。否むしろ、上がる要素しかないのだ。現行モデルの中古車相場というものは新車の流通量に左右されるわけだが、そもそも新車の価格が上がってしまった以上、これから中古車マーケットに供給されるタマの価格は上昇せざるを得ない。しかも不人気モデルならいざ知らず、このマーケットではほぼ独占的な人気を保つモデルなわけだから、高値安定を崩す要因が見当たらない。
もちろん、価格の上がった新車を誰も買わなくなった、というなら話は別だ。それなら新車が値引き販売されて、中古車相場も崩れていく。ところが、A110の新車販売が振るわないという話は聞こえてこない。価格の上方改訂幅も絶妙で、物価高相当であると買う側にも納得できる値上げであった。
というわけで、冒頭にも述べたように、絶対額で見ればまだまだ安いとはいえない、しかも現行モデルのA110は、今から“買い”だと思う。
デビュー当初から完成度の高いスポーツカー
そうだ書き忘れたけど、もうひとつ、今買うべきだという理由があった。それは、A110のパフォーマンスは、基本的に初期モデルであっても上等だったということ。デビュー以降、いろんな仕様が誕生し、中には高性能を謳うグレードもあったけれど、A110の魅力の根本は、そのパッケージとシャシーとデザインこそにある。デビュー当初から非常に完成度の高いスポーツカーであり、たとえスタンダードなグレードであってもそのドライビングファンはまるで変わらない。否、むしろピュアなモデルであればあるほど、A110としての味わいは深くなる。要するに何を買ってもドライビングファンなスポーツカーであることは間違いなし、という稀有なモデルなのだ。
中古車を探すにあたって、こだわりたいポイントは、せいぜい距離とボディカラーくらいだろう。アルピーヌらしいブルーがモデルのテーマカラーだが、あえてそれを長く乗ってみるというのも手だし、渋い色味を選んでも面白い。変わったカラーが予算内(800万円までくらいが美味しいか)で見つかれば、ラッキーというものだろう。
A110の底値は500万円、それも距離が伸びた個体だろうと思う。ならばまだ色も種類も選べる今のうちに、探してみることが得策とはいえないだろうか?