目次
選べるカラーバリエーションは160色以上
今回発表された追加カラーには、長年にわたって愛されてきたポルシェのクラシックカラーが数多く用意された。また、個別の要望に応じてカスタマーの仕様に合わせたオーダーメイドの色合いに調整することもできる。
ポルシェのインディビジュアライゼーションとクラシック担当責任者を務めるアレクサンダー・ファビグは、今回の新色追加について次のようにコメントした。
「ユニークなペイント仕上げは、ポルシェ・ブランドの歴史において親しまれてきました。それは愛車を特別な1台にするための重要なポイントになっています。今回、カルト的な人気を誇ってきたカラーを復活させ、全モデルシリーズの標準色と特別色の幅広いラインナップを実現しました。選べるカラーは160色以上に拡大しています」
新たなカラーミキシング・ベンチを導入
近年、カスタムペイントされたポルシェの需要が急増。ポルシェ・エクスクルーシブ・マニュファクトゥールは新たなオプションを導入することで、この分野の選択肢を大幅に拡大し生産体制にも改良を加えた。ツッフェンハウゼンのポルシェ本社工場には新たなカラーミキシング・ベンチを導入し、ボディペイントのスペシャリストが数十種類の塗料をミリグラム単位でブレンド、希望の色合いを実現している。
塗装工程はボディワーク用とアドオンパーツ用の、ふたつの塗装ポットに分けられている。ボディの塗装工程は主にアルミニウム、プラスチック、カーボン/ガラス繊維複合材で構成。様々な素材が混在しており、それぞれ塗布方法や乾燥温度が異なるため、パーツに応じて微妙に異なる塗料組成が必要になるという。実際の作業では比較用塗装されたプレートを用意し、車両の最終検査時にカラーリファレンス・サンプルとして使用する。
タイプ964時代に人気を誇ったビビッドなボディカラーが復活
今回ポルシェは、カラーレンジの拡大だけでなく再編も行った。従来の「カスタムカラー」は「ペイント・トゥ・サンプル」に名称を変更。このカテゴリーにはポルシェのペイントスペシャリストによって技術的に承認された、認定済みカラーが含まれている。
例えば、マリタイムブルー、ルビースター、ミントグリーンなど、以前の911(タイプ964)に採用されていたカラフルなボディカラーは、ポルシェ・ファンの間でカルト的な人気を誇っている。個性化戦略の一環として、この伝説的なボディカラーが復活を遂げた形だ。
モデルシリーズや生産地によってカラー展開は異なっている。911と718は、100色以上の追加ペイントカラーを選択できるようになった。パナメーラ、マカン、カイエンは50色以上、タイカンは65色もの追加カラーバリエーションが用意されている。
「ペイント・トゥ・サンプル」は、ポルシェセンターにおいて新車のオーダー時に注文することが可能。受注生産となるため、標準色と比較すると納期は約3ヵ月延長される。このサービスは2022年初頭から、ポルシェ・カーコンフィギュレーターに統合される予定だ。
無限に広がるカラーバリエーション
「ペイント・トゥ・サンプル・プラス」では、塗装仕上げをほぼ自由に選択することが可能。このオプションは911、718、タイカンに導入されている。
このサービスを利用するカスタマーは、希望する色のサンプルをポルシェセンターに提出。お気に入りのシャツやスカーフ、マニキュアの色など、カラーはあらゆる物に対応している。カラーサンプルはポルシェAGへと送られ、それぞれのリクエストに対して個別にフィージビリティ(実現可能性)チェックが行われる。作業内容によっては数ヵ月を要することもあるという。
ポルシェのカラーリストから塗料の配合を作成した後、ペイントスペシャリストたちは利用可能な塗料成分をベースに色相を開発。その後、自然光や人工光などの異なる光源のもとでも対応できるように、何度も繰り返し色合いを調整する。
続いて実際に調合された色が車両で実現可能かをボディや付属パーツを使って生産条件でテスト。また、安定性、再現性、エラーのない塗装を可能にするためには、層の厚さを定義することも不可欠となる。実際にカスタマーの車両を塗装する前にテストボディに塗料を塗布し、希望の色が通常の品質基準では実現できないと判断された場合でも、ポルシェがフィージビリティ・テスト費用を負担するという。
【関連リンク】
・ペイント・トゥ・サンプル公式サイト
https://media.porsche.com/paint-to-sample/911/peridotmetallic