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Audi S1 e-tron quattro Hoonitron
グループBマシンを現代的に解釈
アウディ S1 e-tron クワトロ フーニトロンは、かつてパイクスピーク・ヒルクライムに挑戦した「アウディ スポーツクワトロ S1」を現代流に再解釈。スポーツ用品メーカー「DCシューズ」の創業者であり、ラリーやジムカーナで活躍するケン・ブロックがステアリングを握ることになった。
ブロック自身、若い頃にWRCやヒルクライムレースで活躍したアウディ クワトロに熱狂したひとりだったという。
「このS1 e-tron クワトロ フーニトロンは、1980年代に活躍したアウディが持っていた多くの特徴を備えています。例えば、当時のクールなエアロダイナミクスは、完全に現代的なフォルムへと生まれ変わりました。アウディのデザイナーが自分たちの歴史的な遺産からインスピレーションを得て、このクルマの技術や外観を独自に現代に蘇らせたことは、最高にクールだと思います」
150km/hで“ドーナツ=定常円旋回”が可能なモンスター
ワンオフモデルとして開発されたS1 e-tron クワトロ フーニトロンは、2基の電気モーターから発生する強大なパワーで4輪を駆動。カーボンファイバー製超軽量シャシーにより、強烈な加速力を実現した。さらにFIA(国際自動車連盟)が定める安全基準もクリア。ブロックは2021年11月に初めて、この“モンスター”と対面したという。
「アウディがドイツで数日間テストする機会を与えてくれたんです。内燃機関を搭載したさまざまなクルマに慣れ親しんできた私ですが、このEVハイパーカーのドライブでは新しい発見がたくさんありました」
「停止状態から右足だけで150km/hの“ドーナツ”ができてしまうんですよ! あれはまさにまったく新しい経験でした。テストではクルマに慣れることに集中しました。あらためて、アウディ・スポーツの素晴らしいチームワークに感謝します」
ケン・ブロックと共同開発したデザイン
アウディ S1 e-tron クワトロ フーニトロンの開発は、アウディ RS e-tron GTの生産拠点でもあるネッカーズルムにおいて、アウディスポーツによって行われた。スタイリングはインゴルシュタットのアウディデザインが担当。デザイン統括責任者のマーク・リヒテは、通常と異なる仕事に大きな刺激を受けたようだ。
「このプロジェクトの話を最初に聞いたとき、チーム全体がすぐに大興奮しました(笑)。これはブランドのアイコンと未来を融合させたクルマを開発するチャンスだと考えたのです。スポーツクワトロ S1 パイクスピークを現代的に解釈し、フルEVとして開発するんですから! そして、通常であれば1年~1年半かかるデザインを、4週間という短期間で完成させました。その過程ではケン・ブロックと彼のチームとは常に連絡を取り合い、集中的な意見交換を行いました」
最新ジムカーナ動画『Elektrikhana』を近日公開
ケン・ブロックと彼の動画制作チームは、近々『Elektrikhana』というタイトルで、アウディ S1 e-tron クワトロ フーニトロンを使用した、ジムカーナシリーズの最新作を発表する予定となっている。
「アウディとのコラボレーションは、私にとっても特別なパートナーシップとなりました。アウディのモータースポーツへの情熱が、私をラリーへの道に向かわせたのですから・・・。そして、アウディが私のためにこのクルマを開発し、次のプロジェクトに参加してくれたことは、夢のような出来事です。このS1 フーニトロンは、我々を次の舞台へと導き、我々のジムカーナストーリーを未来へと導いてくれるでしょう」