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Marc Philipp Gemballa Marsien
2022末に量産1号車をデリバリー予定
マーク・フィリップ・ゲンバラGmbHは、伝説的なポルシェ・チューナーであるウーヴェ・ゲンバラの息子、マーク・フィリップによって2021年に設立。マーク・フィリップはアストンマーティン、メルセデス・ベンツ、ポルシェなどに在籍経験を持ち、父親が亡くなった10年後に、かつてのゲンバラとは一切関係のない自身の会社を設立した。
マーク・フィリップ・ゲンバラGmbH初の市販モデルとして、ポルシェ 911 ターボS(タイプ992)をベースに開発された「マルシャン」は、2021年夏にペブルビーチ・コンクール・デレガンスで初公開。マルシャンはわずか40台の限定生産が予定されており、すでに生産予定枠はすべてソールドアウト済み。現在、1号車の生産が進められており、デリバリーは2022年末にも開始される予定だ。
パリ・ダカール・ラリーで活躍したポルシェ 959からインスパイアされたマルシャンは、アラブ首長国連邦(UAE)のアル・ファヤ砂漠でプロトタイプによるテストを敢行。このテストはカーエンスージアストとして知られる、UAEのシャルジャ首長国のシェイク・スルタン・ビン・アーメド・アル・カシミ副首相のアテンドで実現したという。
KWと共同開発したサスペンションシステム
マーク・フィリップ・ゲンバラGmbHは、オンロードとオフロードの完璧なバランスを実現するため、サスペンションのパイオニアであるドイツの「KWオートモーティブ」と技術提携を締結。舗装路と未舗装路を自由に行き来するのに最適な車高調整システムを備えたサスペンションシステムを開発した。
車高調整システムは、コクピットのスイッチを押すことで電子制御油圧リフトが作動し、ポルシェ 911 ターボSの標準的な車高から、オフロード走行に適した250mmのリフトアップが可能。さらにKWが開発したアクティブダンパーコントロールシステムにより、減衰力をリアルタイムで最適化して路面に合わせた足まわりのセッティングが提供される。
ドライバーは、ステアリングホイール・コントロールを介して、複数のドライブモードを選択可能。ダンパー、トランスミッション、エンジンマッピング、さらに各モードに対応した車高が自動的に調整される。ドライブモードは舗装用の「シティ」「レース」、オフロード用の「砂丘」「スノー/アイス」「ラリー」という5つが用意された。
コモ湖開催のイベントで欧州初公開を予定
パワーユニットは「RUF」と共同で開発し、3.0リッター水平対向6気筒エンジンは最高出力750ps以上・最大トルク930Nmを発揮する。さらなるパワーを求めるカスタマーには、RUFによるセカンドステージプログラムも用意されており、強化されたVTGターボチャージャー、ECUマッピング、トランスミッションの設定を変更することで、最高出力を830psまで引き上げることも可能だ。
UAEの砂漠に続き、世界屈指の大都会ニューヨークに上陸したマルシャンを撮影したスウェーデン出身のオスカー・バッケは、その美しいフォルムを大絶賛した。
「アル・ファヤ砂漠の砂丘を駆け抜ける姿から、交通量の多いニューヨークの路肩をすり抜ける姿まで、マルシャンのマルチプレイヤーぶりには本当に感動しました。このクルマはどんな場所を走っても、ドライバーと見る者を驚かせるでしょう。特に、過激でありながらも繊細なデザインには感銘を受けました。マーク・フィリップと一緒に、このプロジェクトをさらにハードなシチュエーションで試すのが楽しみです」
マルシャンは、イタリア・コモ湖で5月20日から22日にかけて開催される「2022 コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ(2022 Concorso d’Eleganza Villa d’Este)」への参加が決定。ヨーロッパにおいて、初公開されることになった。