プライベーター向け4WD「ルノー クリオ ラリー3」デビュー

クリオ初の4WDラリーカー「ルノー クリオ ラリー3」は2023年4月実戦デビュー予定

現行クリオとしては、3台目となるプライベーター向け4輪駆動ラリーカー「クリオ ラリー3」。
ルノー クリオ ラリー3の発表会は雪深いアルプスの小国アンドラで行われた。すでにプライベーター向けのオーダーもスタートしている。
ルノーのラリー部門、アルピーヌ・レーシング、英国のアルピーヌF1チームが共同で設計・開発した、新型ラリーカー「ルノー クリオ ラリー3」が公開された。ラリー3規程に則り、クリオ(日本市場=ルーテシア)のラリーカーとして初めて4輪駆動が採用されている。

Renault Clio Rally3

クリオで4WDまでステップアップが可能に

エントリー向けラリーカー「クリオ ラリー5」、よりハイレベルな「クリオ ラリー4」に続き、4輪駆動の「クリオ ラリー3」が登場したことで、同一モデルによるステップアップが可能になった。
エントリー向けラリーカー「クリオ ラリー5(左)」、よりハイレベルな「クリオ ラリー4(右)」に続き、4輪駆動の「クリオ ラリー3(中央)」が登場したことで、同一モデルによるステップアップが可能になった。

2019年、FIA(国際自動車連盟)は、ラリー用マシン規定を変更。それまでのR規程から、ラリー1を頂点とする新レギュレーションを導入した。ルノーはエントリーラリーカーとして2輪駆動の「クリオ ラリー5」を2020 年に投入。2021年には、従来のR3規程に準じたよりハイレベルな2輪駆動ラリーカー「クリオ ラリー4」を開発している。

どちらのモデルも、ヨーロッパを中心に多くのプライベーターに販売され、WRC(世界ラリー選手権)やERC(ヨーロッパ・ラリー選手権)だけでなく、世界中の国内選手権でも使用されている。今回、WRC2などで使用されている高度なラリー2と、2輪駆動のラリー4の間を埋めるべく、2021年から導入された「ラリー3」規程に向けて、ルノーはクリオとしては初となる4輪駆動ラリーカー「クリオ ラリー3」を開発した。

開発を担当したアルピーヌ・レーシングの技術陣は実績のあるクリオ ラリー4をベースに、4輪駆動化。これにより、エントリーレベルのラリー5で競技を始めたクルーが、同じメーカーの車両を使ってステップアップできるようになった。

F1やWECでの知見を活かした空力パーツ

現行クリオとしては、3台目となるプライベーター向け4輪駆動ラリーカー「クリオ ラリー3」。
クリオ ラリー3には、専用設計された大型リヤウイングを装着。あらゆる路面やコンディション下において効果を発揮できるよう、アルピーヌF1チームの知見が活かされている。

パワーユニットは実績のある1.3リッター直列4気筒TCe16バルブ直噴ターボを搭載。エンジンマッピングの最適化により、最高出力263PS、最大トルク415Nmにまでチューンされた。ギヤボックスはサデフ製5速シーケンシャルが組み合わせられ、リミテッド・スリップ・ディファレンシャル(LSD)、調整式BOS製ダンパーも標準装備される。

プライベーター向けラリーカーとなるため、パフォーマンスだけでなく、各コンポーネントの信頼性にも特別な注意が払われた。特にエンジンと駆動系に関してはオイルパートナーのカストロールと協力したことでライフサイクルを大幅に延長、これによりランニングコストの低減が可能になったという。

エアロダイナミクスに関してはアルピーヌF1チームの専門知識と施設を活用。ルーフに装着されるリヤウイングのデザインは、あらゆる路面やコンディションに対応できるよう、F1やWECにおけるノウハウが活かされている。

4500kmを超えるテストプログラムを敢行

スノー路を疾走する、ルノー クリオ ラリー3。
多くのプライベーターにより使用されるラリーカーのため、テストは多くのドライバー/コ・ドライバーが参加し、スペインを舞台に22日間も行われた。このてテストではトータル4500km以上を走破している。

クリオ ラリー3の開発プログラムは2022年5月24日にスタート。半年後の11月にはマシンが完成し、スペインにおいて幅広い経験を持つ8名のドライバーと11名のコ・ドライバーによる、22日間におよぶ長期テストが行われた。このテストではターマックとグラベル合わせて、4500kmを超えるマイレージを稼いでいる。

このテストでは異なるクルーからの様々なフィードバックを得つつ、当初からのターゲットをすべてクリア。続いて11月下旬に行われたテストでは、WRCで活躍するドライバーもステアリングを握り、クリオ ラリー3のパフォーマンス、汎用性、信頼性に太鼓判を押している。

今回の発表は、フランスとスペインの国境にあるアルプスの小国アンドラで実施。価格は12万2000ユーロからで、すでにオーダー受付もスタートしている。同時にFIAのホモロゲーション取得に向けた作業も進められており、スケジュールどおりに進めば、2023年4月1日から実戦デビューが可能になる。直後のフランス国内選手権、ERCなどでデビューする可能性が高く、WRCには早ければ第4戦クロアチアから登場することになりそうだ。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…