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CHEVROLET Corvette E-Ray
自然吸気エンジンを搭載するミッドシップAWDスポーツカー
シボレー・コルベットE-レイは、スタンダードモデルのクーペ/コンバーチブルと同様、ミッドに搭載するLT2型6.2リッターV8OHV自然吸気エンジンと8速DCTを組み合わせ、さらにフロントアクスルにモーターを組み合わせることで高い運動性能を発揮するハイブリッドスポーツカーである。
大排気量NAエンジンを搭載するミッドシップAWDというと、6.5リッターV12を搭載するアヴェンタドールや、5.2リッターV10を搭載するウラカンといった(兄弟車にアウディR8もある)ランボルギーニの独擅場だったが、そこにモーターの力を借りて参入してきたのがコルベットである。
ちなみにフェラーリSF90ストラダーレやホンダNSXも、フロントをモーターで駆動するミッドシップAWDスポーツカーだが、これらは過給機付きである。古くはポルシェ918スパイダーが自然吸気エンジンを搭載するミッドシップAWDスポーツカーの元祖であるが、4.6リッターで6.2リッターのコルベットよりも小さい。
それになんといっても価格面だ。それらの競合車と較べるとリーズナブルな価格で提供される最新のハイブリッド・ミッドシップAWDスポーツカーがコルベットE-レイということになる。
Z06に匹敵する高出力を発揮
フロントに搭載されるシングルモーターは120kW(163PS)、165Nmを発揮し、V8エンジンの最高出力369kW(502PS)、最大トルク637Nmと併せて、システム出力481kW(654PS)を誇るという。エンジンのスペックはスタンダードのクーペ/コンバーチブルに搭載されるものと同値で、モーター分の性能が上乗せされた。最強グレードのZ06が最高出力679PSを誇るのでわずかに及ばないものの、0-60mph2.5秒という驚異的なトラクション性能は、eAWDを採用するE-レイにとって大きなアドバンテージだろう。
車両中央の左右シート間に搭載されるリチウムイオンバッテリーの電力量は1.9kWhと少ない。ステルスモードと呼ばれるEVモードでの最高速は45mph(72km/h)。コルベットE-レイはプラグインハイブリッド(PHEV)ではないため走行可能距離は短い。ちなみにフェラーリ296GTBやマクラーレン・アルトゥーラなど最新PHEVスポーツカーが搭載する電力量は、ともに約7.4kWhでEV走行可能距離は30km程度となる。
Z06と同等のワイドボディ
ボディはスタンダードよりも3.6インチ(約91mm)ワイドで、全幅はZ06と同等の2025mmという。タイヤはフロント20インチ、リヤ21インチで、これもZ06と同等のフロント275/30ZR20、リヤ345/25ZR21となる。標準装備はミシュラン・パイロットスポーツ オールシーズンだが、オプションのパフォーマンス パッケージを選択すればパイロットスポーツ4Sが装着される。
装着されるブレーキはブレンボ製で、フロント6ポット、リヤ4ポットキャリパーが採用される。ローター径はフロント398mm、リヤ391mmでこれはZ06に匹敵するサイズで、しかもZ06同様にカーボンセラミック製となる。
コルベットE-レイは近年珍しい大排気量ミッドシップスポーツカーの、しかもハイブリッドモデルであり、さらに珍しいAWDモデルである。eAWDということで、モーターによるきめ細かなフロント駆動制御が、高い直進安定性やハンドリングをもたらすだろう。価格はエントリーグレードの1LZが11万1295ドルで、Z06の1LZ(10万6695ドル)よりも約5000ドル高いが、似たような予算でどちらを選ぶかは実に悩ましい選択になりそうだ。