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Lamborghini Revuelto
レヴエルトに合わせて導入された新生産システム
ランボルギーニは、同社初となるV12プラグインハイブリッド・ハイパースポーツ「レヴエルト」を2023年3月に公開。ローンチからわずか数ヵ月を経て、重要なマイルストーンとなる本格生産が開始された。現時点でレヴエルトの受注台数は、2年分以上のバックオーダーを得ているという。
レヴエルトは、パフォーマンスや搭載されている最新テクノロジーだけでなく、生産工程においてもランボルギーニに革新をもたらすことになった。アウトモビリ・ランボルギーニの最高製造責任者を務めるラニエリ・ニッコリは、次のように説明する。
「高度なハイブリッドパワートレインを搭載するレヴエルトの製造には、新たな挑戦が求められています。もちろん、ランボルギーニ伝統の職人による手作業の製造工程は変わりませんが、このクルマを作るためには、これまでにない高いハードルを越える必要があったのです。レヴエルトの導入により、本社施設の面積を17万2000㎡に拡大し、地元に1億5000万ユーロの投資を実施しています」
「私たちは新たな生産システム『マニファットゥーラ・ランボルギーニ・ネクストレベル(Manifattura Lamborghini Next Level)』を導入しました。『人』を中核に据えながらも、より複雑な製品を提供し、これまで使用していなかったプロセスを活用するためには、生産システムに手を加える必要があったのです」
製造工程において人とロボットが協業
新たな生産システムは、サンタアガタの製造現場に革新的な変化をもたらすことになった。レヴエルトのモノコックの製造から仕上げの段階まで、全ての製造工程において、ロボットを含む最新の工作機器を導入。ただ、これまでのランボルギーニがそうであったように、重要な作業は人が担当する。
工作機器や技術面の管理は、新たに導入されたシステム「MES(マニュファクチャリング・エグゼクティブ・システム)」が担当。オペレーターは各工程において、工作機器のサポートを受けつつ、特定の動作を変更したり、作業を停止して手動で介入することもできる。オペレーターには個人用のリストバンドが提供され、これを介してシステムにアクセスし、タッチスクリーンモニターやタブレットを使って作業を行う。
MESは最先端かつ未来的な技術ツール「コボット(cobots)」も管理。コボットは、エンジン製造、アセンブリ、フロントガラスの組み付け、インテリアなど、反復動作が必要なすべてのラインに導入されている協働ロボットだ。コボットの導入により、不正確な作業やエラーの割合を大幅に排除することが可能になった。
また、新たに「自動搬送車(AGV)」がファクトリー内に導入された。 AGVは、製造工程において使用される特定のパーツを自動搬送する。ハンドメイドと革新的テクノロジーの融合により、理想的な生産プロセスが実現。生産スピードの向上だけでなく、車両の品質が大幅に向上したという。
2028年に初のフル電動モデルの発売も予定
すでにレヴエルトの生産はフル稼働に達しており、間もなくデリバリーも開始される。
現在、ランボルギーニは持続可能な自動車メーカーを目指す経営指針「コル・タウリ(Cor Tauri)」を掲げている。レヴエルトの本格生産開始を受けて、総投資額19億ユーロというランボルギーニ史上最大規模を誇る野心的なプロジェクト「コル・タウリ」は第2段階に入った。
ランボルギーニは2024年までに全モデルをハイブリッド化。2028年には、同社初のフル電動パワートレインを搭載した「2+2」のグランドツアラーがデビューする予定だ。