【フェラーリ名鑑:35】単なるマイナーチェンジ版ではない「ポルトフィーノM」

日常使えるフェラーリとなった2+2クーペ・カブリオレ「ポルトフィーノM」【フェラーリ名鑑:35】

搭載されるエンジンは3.9リッターV型8気筒ツインターボ。最高出力はポルトフィーノから20PS向上し620PSとなり、トランスミッションが7速から8速DCTに変更された。
搭載されるエンジンは3.9リッターV型8気筒ツインターボ。最高出力はポルトフィーノから20PS向上し620PSとなり、トランスミッションが7速から8速DCTに変更された。
2009年に登場したV8エンジン搭載の2+2モデル「カリフォルニア」シリーズ。2017年、その流れをくみつつ、さらに洗練されたデザインとなった「ポルトフィーノ」が登場し、それからわずか3年後の2020年に登場した、マイナーチェンジ版が「ポルトフィーノM」である。

Ferrari Portofino M

「カリフォルニア」からのコンセプトを継承

2020年にオフィシャルデビューを飾った「ポルトフィーノM」は、2017年のフランクフルト・ショーで発表されたV型8気筒FR2+2のクーペ・カブリオレ、「ポルトフィーノ」のマイナーチェンジ版だ。車名の最後に添えられるMの文字は、イタリア語でモディフィカートを意味するもので、これは英語ではモディファイと同義の言葉。

そもそもポルトフィーノは「カリフォルニア」「カリフォルニア30」「カリフォルニアT」のコンセプトを継承したモデルであったから、このコンパクトなフェラーリの2+2GTが、いかにマーケットで高い評価を得ていたのかも、この一連の進化からも容易に想像できる。

オープン状態でもクローズ状態でも美しいライン

実際に見るポルトフィーノMのデザインは、前作のポルトフィーノと同様に、じつに魅力的なものだ。フェラーリのデザイン・センターによって生み出されたそれは、ワイド・アンド・ローな造形をさらに強調することで、ラグジュアリーな中にもスポーティな印象をより高め、リトラクタブル・ハードトップをオープンした状態でも、クローズした状態でも、魅力的なボディラインを見る者に印象づけてくれる。

そのオープン&クローズのためのプロセスは、もちろんオール・オートマチック。その始祖ともいえるカリフォルニアまで遡って、実用性は非常に高いオープンモデルと評してもよいだろう。

日常的に使えるフェラーリ

その車名に由来する港町がよく似合う。ポルトフィーノ「M」は、英語ではモディファイを意味するイタリア語の「モディフィカート」から来る。

フロントに搭載されるエンジンは、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーの常連ともいえる、3.9リッターV型8気筒ツインターボ。最高出力は従来のポルトフィーノと比較してさらに20PS向上して620PSとなり、最大トルクの760Nmには変化はないが、組み合わせられるトランスミッションが7速DCTから、さらにコンパクトな8速DCTへと変更されたことで、加速時のシームレスな感覚はより魅力的に感じられるようになった。参考までにこのポルトフィーノMの0-100km/h加速は3.45秒、最高速は320km/hと発表されている。

ドライブモードをステアリングホイール上のスイッチで変更できるマネッティーノには、新たにレースモードを追加。また快適装備ではフロントシートにネックウォーマーを設定したほか、ACC(アダプティブクルーズコントロール)や前方衝突警報機能付きの自動緊急ブレーキなどの安全装備も搭載。もはやフェラーリも、日常的に使えるクルマになったという印象を受けた一台だった。

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2+2のフロントV8フェラーリの魅力「カリフォルニア」そして「ポルトフィーノ」(2008-2017)【フェラーリ名鑑:24】

スーパースポーツカーブランドとして展開するフェラーリだが、利便性の高い2+2シーターモデルも市場の求めに応じて生産してきた。ここではモンディアールシリーズの後継としてデビューした「カリフォルニア」から「ポルトフィーノ」を解説する。

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著者プロフィール

山崎元裕 近影

山崎元裕

中学生の時にスーパーカーブームの洗礼を受け、青山学院大学在学中から独自の取材活動を開始。その後、フ…