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Ferrari 812 Superfast
2017年「812 スーパーファスト」発表
![フェラーリ_812_スーパーファスト_スタイリング_02](https://motor-fan.jp/genroq/wp-content/uploads/sites/2/2021/12/GQW_Ferrari_343-car_812Superfast-min-1024x724.jpg)
![](https://motor-fan.jp/genroq/wp-content/uploads/sites/2/2023/04/GQW_Ferrari_165-car-812Superfast-1024x682.jpg?v=1682494763)
今回紹介する12気筒2シーターモデルは、2017年のジュネーブ・ショーで発表された「812 スーパーファスト」。スーパーファストとは、かつてフェラーリが生産した高性能なGTに与えていた伝統的な車名だが、それが今回はプロダクションモデル・ラインナップのトップに位置する12気筒2シーターに与えられることになった。
そのデザインは、近年のフェラーリの流儀に則って縦長の変型ヘッドランプをフロントのアイキャッチとするもの。サイドには彫刻のようにシャープなラインが刻まれ、テールのデザインと相まってニューモデルとしての斬新さを生み出している。フェラーリによれば、前作のF12 ベルリネッタと比較して、フロントのダウンフォースは30%、リヤは12%増という結果を得たというから、この過激な造形は確かな機能をもつものと結論づけることができる。
フロントミッドに搭載されるエンジンは、レブリミットが8900rpmの6496ccの自然吸気V型12気筒。13.6という圧縮比から得られる最高出力は800PSと驚異的なもので、すなわち車名の812とは、800PSの12気筒モデルであることを示している。
組み合わせられるトランスミッションは7速のF1デュアルクラッチで、デファレンシャルはもちろんE-Diff。F12 tdfで初採用された後輪操舵システムも、この812 スーパーファストには受け継がれている。ステアリング上には5つの中から路面状況や好みに応じてベストなモードを選択できるマネッティーノが備わり、コンフォートモードを選べば、日頃の足として使えるほどの快適さを味わうこともできる。
「F8 トリブート」に込められた近未来の方向性
![フェラーリ_F8_トリブート_07](https://motor-fan.jp/genroq/wp-content/uploads/sites/2/2021/12/GQW_Ferrari_09-car-f8-tributo-geneva-motorshow-2019-min-1024x769.jpg)
一方、8気筒2シーターの最新作として2019年に発表されたのが「F8 トリブート」だ。トリブートとは「感謝や尊敬の気持ちを表す」という意味をもつ言葉であるから、フェラーリはこのモデルを最後にV型8気筒エンジン搭載車の生産を終了するのではないかという噂さえ、フェラリスタの間では流れている。
仮にフェラーリが現在のV型8気筒ツインターボエンジンから、さらに環境性能を高めるとするならば、考えられるのはハイブリッドやPHEVというシステムを搭載するモデルだろう。フェラーリの販売はいまだ世界的に好調であり、仮に年産1万台を超えると、排出ガス規制の新しい枠組みを加わえなければならない。そうなればパワーユニットのエレクトロニック化も不可避なものになってくる。
![フェラーリ_F8_トリブート_08](https://motor-fan.jp/genroq/wp-content/uploads/sites/2/2021/12/GQW_Ferrari_10-car-f8-tributo-geneva-motorshow-2019-min-1024x770.jpg)
F8 トリブートのデザインには、あのF40にインスピレーションを得たディテールがいくつも採用されているという。さらにフロントのSダクトを始め、サーキットで培われたエンジニアリングが加わる。ミッドのエンジンは、720PSの最高出力を誇る3902ccのV型8気筒ツインターボ。これは488GTBに対して50PSの強化を得た計算になる。車重はドライウェイトで1330kg。0-100km/hを2.9秒でこなし、最高速度は340km/hに達する。
限られたカスタマーにのみ販売する新戦略
![フェラーリ_SP1_SP2_09](https://motor-fan.jp/genroq/wp-content/uploads/sites/2/2021/12/GQW_Ferrari_959-car-monza-sp1-sp2-min-1024x479.jpg)
そして2018年、フェラーリから発表された「ICONA」は、少量生産を前提に選ばれたカスタマーのために限定車を販売するというニュービジネスだ。ファーストモデルとなった「SP1 モンツァ」と「SP2 モンツァ」は、合わせて500台を生産するモデル。
前者はシングルシーター、後者は2シーターとされ、フェラーリのコンペティツィオーネ・バルケッタの始まりとなる1950年代を想起させるデザインが採用されている。ベースは812 スーパーファストで、エンジンは810PSにまで強化。これを購入できるカスタマーになるには、かなりの時間と資金が必要となるのは言うまでもないだろう。
SPECIFICATIONS
フェラーリ 812 スーパーファスト
年式:2017年
エンジン:65度V型12気筒DOHC(4バルブ)
排気量:6496cc
最高出力:588kW(800PS)/8500rpm
最大トルク:718Nm/7000rpm
乾燥重量:1525kg
最高速度:340km/h
フェラーリ F8 トリブート
年式:2019年
エンジン:90度V型8気筒DOHC(4バルブ)
排気量:3902cc
最高出力:530kW(720PS)/7000rpm
最大トルク:770Nm/3250rpm
乾燥重量:1330kg
最高速度:340km/h
フェラーリ SP1 / SP2 モンツァ
年式:2018年
エンジン:65度V型12気筒DOHC(4バルブ)
排気量:6496cc
最高出力:596kW(810PS)/8500rpm
最大トルク:719Nm/7000rpm
乾燥重量:1500kg(SP1) 1520kg(SP2)
最高速度:300km/h
※すべてメーカー公表値
解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)