フォード マスタング GTDに搭載された高度なアクティブエアロとは

「ニュルブルクリンク7分切り」を目標としてフォード マスタング GTDが採用した装備とは?【動画】

公道走行可能なGT3レーシングカーとして開発されたフォード マスタング GTD。高い目標性能を達成するため、高度なアクディブ・エアロダイナミクスが採用された。
公道走行可能なGT3レーシングカーとして開発されたフォード マスタング GTD。高い目標性能を達成するため、高度なアクディブ・エアロダイナミクスが採用された。
フォードが2024年以降に販売を予定している、マスタング GT3からインスパイアされたハイパフォーマンス仕様「マスタング GTD」。その迫力のフォルムには、最先端の空力デバイス「ドラッグ・リダクション・システム(DRS)」が導入されている。

Ford Mustang GTD

可動するエアロダイナミクスを採用

フォード マスタング GTDは、GT3レギュレーションでは禁止されている、可動する空力デバイスが採用された。
フォード マスタング GTDは、GT3レギュレーションでは禁止されている、可動型空力デバイスが採用された。

フォード マスタング GTDは、公道走行可能なフォード製モデルの中で、最も先進的なエアロダイナミクスが採用された。スピードに合わせて形状が変化する大型アクティブ・リヤウイング、アンダーボディに装着された開閉式フラップなど、専用開発された「ドラッグ・リダクション・システム(Drag Reduction System)」を搭載する。

アグレッシブな形状のフロントセクションから、ルーフやフロアに至るまで、マスタング GTDのボディは、あらゆる路面環境において最高のスピード性能を発揮させるべく設計。様々な領域において、究極の空力性能を発揮し、世界最高峰のスーパースポーツに対抗できるよう設計されたという。

マスタング GTDのチーフプログラム・エンジニアを務めるグレッグ・グドールは、マスタング GTDの過激なボディ形状について次のように説明を加えた。

「マスタング GTDのボディの表面、開口部、エアインテークにはすべて機能が備わっています。あるエアインテークは冷却のため、それ以外は空力とダウンフォースのために設けられました。そのすべてが、GTDがどんなコンディションでも速く走れるよう、あるいは強力なグリップを得るために採用されたのです」

エアフローとダウンフォースをバランス

フォード マスタング GTDが採用された「ドラッグ・リダクション・システム」のコーナーリング時。
マスタング GTDは、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェで7分を切るタイムをターゲットに掲げており、高速のためのエアフローと、コーナーリング時のダウンフォースをバランスさせるため、「ドラッグ・リダクション・システム(DRS)」が搭載された。

マスタング GTDは、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでのタイムアタックを予定。この世界屈指の難コースにおいて7分を切るため、FIA GT3レギュレーションでは禁止されている可動式ボディパーツを含む、アクティブエアロダイナミクスの導入が決定された。

マスタング GTDのエアロダイナミクスの核となるのが「ドラッグ・リダクション・システム(DRS)」。F1でも採用されているこの空力デバイスは、油圧システムによってリヤウイングの角度を変える。さらに、マスタング GTDでは、マシンのフロント下部に装着されたフラップも同時に作動。パフォーマンスの状況に応じて、スピードのためのエアフローと、グリップのためのダウンフォースを的確にバランスさせる。

コーナーリング時にグリップを増加

フォード マスタング GTDが採用された「ドラッグ・リダクション・システム」のコーナーリング時。
マスタング GTDは、F1マシンでも採用されているDRSが搭載されており、コーナーリング時にはリヤウイングのメインエレメントとフラップを閉じることで、ダウンフォースを増加させる。写真はハイダウンフォース時の空気の流れ。

マスタング GTDがコーナーに進入し、スピードよりもグリップが重要になると、リヤウイングのメインエレメントとフラップを閉じることで、一体化したエアフォイルを作り出す。これにより、リヤセクションに追加のダウンフォースを発生させ、グリップを失うことなくハイスピードでコーナーをクリアすることが可能になる。

フロントアンダーボディは、船舶のキール(竜骨)のような形状をしており、フロントホイールとフェンダールーバーを介して入ってきたエアフローを排出。低圧エリアを作ることで路面に吸着、コーナーリング時における、フロントセクションの安定した挙動をサポートする。

「フロントとリヤの空力バランスが保たれるよう、ボディ全体で積極的にマネージメントしています。GT3規程のレースではルール上、エアフローを積極的に活用することは認められていないのです。マスタング GTDは、市販モデルだからこそDRSの搭載が可能になりました」と、グドールは説明を加えた。

フォード マスタング GTDを動画でチェック!

公道走行可能なGT3マシンとして開発された「フォード マスタング GTD」のエクステリア。

最高出力800PS超の「フォード マスタング GTD」は公道走行可能なGT3レーシングカー【動画】

フォードは、レーシングカーのマスタング GT3と同時開発されたハイパフォーマンス仕様「マスタング GTD」を発表した。マスタング GTDは、フォード・フラットロック組立工場で製造後、カナダ・マーカムのマルチマティックへと送られ、ハンドメイドで専用装備を装着。予定価格は30万ドルとなっており、2024年後半から2025年前半にかけて販売される予定だ。

「フォード マスタング マッハ-E ラリー」の走行シーン。

非公開: ラリー専用チューンや装備を採用した「フォード マスタング マッハ-E ラリー」販売開始【動画】

フォードは、2023年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでワールドプレミアした、オフロード仕様「マスタング マッハ-E ラリー」の販売をスタートした。米国での価格は6万5000ドルから、2024年初頭にデリバリーが開始される。

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著者プロフィール

ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…