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Alfa Romeo Alfa Brera
スーパーカーラリーでひと目惚れ
もうかれこれ20年以上も前のことだ。友人が自身のランボルギーニ ディアブロをヨーロッパへ送って、パリ〜モナコを走るスーパーカーラリーに出場するというので応援に行った。バンドーム広場を出発するそのラリーにはフェラーリやランボルギーニはもちろん、今をときめくパガーニやケーニグセグまでいて、そのラインナップの凄さに心底感動したものだった。
もうひとつ、このラリーがすごかったのはメーカーのコンセプトカーも参加できたことだ。ショーカーであっても、ヨーロッパブランドは実際にちゃんと走るモデルを作っているということをその時初めて知ったし、フランスの大メーカーや、イタリアのカロッツェリアもこぞって参加することに驚いた。
そこに“今回の主役”の元となったモデルがいた! 「アルファ ブレラ」のコンセプトカーで、スタイリングはもちろんジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタルデザイン(当時)。息子のファブリツィオがラリーに持ち込んできた。
2002年にデビューしたそのコンセプトカー、中身はマセラティ クーペで4.0リッターのV8を積んでいた。乾いたサウンドを響かせて、我々の駆るルノー アヴァンタイム(レンタカーだったがスーパーカーと間違われて知らないうちに参加車両と同じ待遇を受けていた!)に並ぶと、跳ね上げ式のドアをすーっと開けてくれた。その瞬間、惚れた。
ブサかっこいいの典型
市販モデルのデビューは2005年のジュネーブだ。中身はアルファ159と共有だった。V8はのちに8Cに積まれる。それでもコンセプトカーの個性的なデザインをほとんど継承するスタイルに、再び惚れた。
心待ちにした国際試乗会の場所はイタリア・バロッコ。周回路を並走するビデオを撮って悦に入っていた。2006年に日本導入されたけれど、結局、買えなかった。当時はちょっとしたマイセダンブームで、クライスラー300CやシトロエンC6といった(いずれにしても変わり種の)サルーンに乗るのが忙しかったからかもしれない。
それはさておき、ブレラのスタイルはブサかっこいいの典型だ。シューティングブレークスタイルとかっこよく言ってもいいけれど、多くの人にとってはずんぐりむっくりの妙な形にしか見えないだろう。でも、だからこそ今なお新鮮味があって、時折モーレツに欲しくなる。
カーセンサーで検索してみると、流通台数はかなり減ってきたようだ。この原稿を書いている時点で全国に8台しか流通していない。価格は100万円以下もあれば200万円以上もある。パワートレインと走行距離によって相場は決まってくるようだ。
オススメはV6+MT+4WD
エンジンは直噴2.2リッター直4と直噴3.2リッターV6の2機種。だんだん思い出してきたけれど、どうにもこのGM由来のエンジンのうち、特に2.2が直前までのアルファロメオエンジンに比べて眠い、というか活力に欠けていて、そこが購入へと踏み出せない要因のひとつになっていたのかもしれない。
ミッションもMTとATの2種類で、V6は4WD、直4はFWDだった。ATはさほど印象に残っていないので、おすすめはMTということに。少しでも古いモデルはMTに限る。基本である。その方がじっくり長く安心して楽しめるはず。
というわけで、必然的に自分で乗るとするとV6+MTの一択である。検索すると2台あった、赤と銀。走行距離はいずれも5万km以下とまずまずリーズナブル。でもプライスは流石に高くて乗り出し250万円近い。気になるのはいずれもスカイウィンドウ。これ重いんだよね……。できればノーマルルーフが嬉しいのだけど……。そんなことを言っているから買えないのだ!
このブレラ、将来的には個性的なデザインとV6+MT+4WDという貴重なパワートレインの組み合わせで、びっくりするほど上がりはしないだろうが、そこそこ堅調に相場を保つと思われる。ジウジアーロのマスターピース、とまでは言えないけれど、怪作の1台。意外に実用的でもあるので、趣味と実益を兼ねたアルファロメオとしていかが?