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Maison Mistral Narrow Design
Mercedes-Benz G350d(MMND-Ver.2)
外面は40年以上でもメカニズムは現代流
メゾンミストラルナローデザイン(MMND)のGクラスを愛でる人が着実に増えている。これは昔ながらの旧いGクラス(W460/W461)ではなく、高年式のW463型だ。40年以上にわたるGクラスの歴史をたどり、各時代ごとの仕様を研究しながらその造形を落とし込んだ姿カタチである。たとえばこの個体はG350d。「外面は40年以上のものながら、内包されるメカニズムは現代流」というパッケージである。
これはMMNDが提案する数あるコンプリートカーの中でバージョン2に相当する。できるだけW460/W461の部品を使ってスタイリングを構築するものの、ブラックアウトしたスチールグリルや、五角形のヘッドライトシュラウド、ぎゅっとナローに絞り込んだフェンダーなどをオリジナルで製作した。G350dの冷却機能を保つためにフロントバンパーのみG350dプロフェッショナル仕様へ。ウインカー類や細いステーで支えるドアミラー、そのブラケットなどはW460/W461の純正部品。だがドアミラーは電動で角度調節ができるし、サイドビューカメラまで仕込んでいる。レーダーセンサーの類もすべてG350dのものを活かす。つまりはレーダーセーフティパッケージがそのまま使える。操作系を含めたインテリアもG350dのままであり、装備品やライドフィールはイマドキのGクラスである。
ホイールもまたMMNDオリジナルのBLS16だ。軍用車両に使われたホイールを参考にしながら、Gクラスに求められる耐荷重性能を満足させ、もちろん日本の道路交通法にも適合させている。サイズは7.0J×16インチであり、肉厚のオフロードタイヤが似合う。これならホイールだけでも取り入れることだってできそうだ。
オートクチュール体制で仕上げたクルマ
これらのパッケージは、40年近く基本骨格を踏襲してきたGクラスだからこそ可能となるもの。そこに目をつけて、巧みなパーツ選定術やオリジナルパーツ開発、モディファイ術を使って実現するMMNDのセンスがいい。今でもある一定の範囲で純正部品が手に入るのはメルセデス・ベンツの魅力であり、たとえないものであってもMMNDで自作する技術力も見逃せない。
なお、コンプリートカーとはいえベース車両の年式や仕様、またはユーザーの希望に即してオートクチュール体制でクルマを仕上げてくれる。現存しているクルマを振り返るだけでもその仕様は多種多様で、それぞれが異彩を放っている。今後はこの世界観を現行モデルであるW463A型にも持ち込みたいと考えているようだ。
MMNDが提案するいくつかのパッケージはあくまで出発点に過ぎない。真の狙いは乗り手の個性をリスペクトしたモノづくりであり、「一生モノとして愛でることができる自分だけの宝物を創る」ことである。その主義を貫くにあたり刹那な流行に惑わされないために、こんなクラシカルスタイルが適している。そして乗り手側はあれこれ蘊蓄を垂れることなく「ただカッコいいから」と乗り倒していれば、それが正解だと思う。
REPORT/中三川大地(Daichi NAKAMIGAWA)
PHOTO/山本佳吾(Keigo YAMAMOTO)
MAGAZINE/GENROQ 2024年6月号
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