目次
TWS
Exlete Exe Series
Gクラスと一致する方向性
TWS製ホイールを生産するTAN-EI-SYAは、いつ何時も愚直なまでに「最高峰の鍛造品」を追い求めている。日本刀に代表される鍛錬技法は、いまや大型の鍛造プレス機が担うようになり、職人の経験と勘に頼らざるを得なかった金属加工の多くは、最先端の解析および製造技術(インフラ)がカバーするようになった。それでも芯にあるものは何も変わらない。そこにあるのは鍛造にかける日本の職人魂であり、魂を受け継いだTWS(TAN-EI-SYA)は今日も、黙々と世界最高峰の鍛造製品を生み出している。
だからこそ、Gクラスが似合うと思う。同じような思想を持って40年以上も同じコンセプトを貫くGクラスとは見事に方向性が一致するからだ。Gクラス用を見渡せばExlete(エクスリート)シリーズのなかに、いくつもGクラスを狙ったものがある。1ピースで言えば110Mエグゼ・モノブロック、2ピースなら107Mエグゼが代表的だ。Gクラス用は22インチで、いずれも力強さと繊細さが同居する美しい鍛造ホイールである。
さらに注目作は23インチへと挑戦した310Mエグゼ・モノブロックだ。純正オプション、アフターホイール問わず巷では22インチが当たりまえになった最中にあって、その一歩先をいくかのような23インチを狙った。単に時流に合わせるのではなく、トレンドを自らで創り出そうとする意思を感じる。110Mエグゼ・モノブロック、107エグゼ、そして310Mエグゼ・モノブロックを含めて、こうした大径ホイール切削鍛造製法で具現するには高い技術が必要だ。単に高圧の鍛造プレス機があればいいわけではない。アルミ合金の成分配合や品質管理に始まり、すべて自社で賄ってきたという型の設計、鍛造工程での温度管理まで、すべて紐づいている生産条件を掌握して始めて、高品質な鍛造ホイールができあがる。
すべてを一気通貫でまかなう絶対的な信頼感
そして鍛造工程の後にこそTWSの真骨頂がある。鍛造ビレットをホイールへと昇華させる切削加工だ。ホイールのデザイン面は、最新鋭の大型NC旋盤やマシニングセンタによる切削加工で成型される。いまやそれ自体、決して珍しいものではない。これらの加工機を基にオリジナルホイールをつくるホイールメーカーは数多とある。
しかしTAN-EI-SYAは鍛造ビレット自体から作り出す完全なインハウスの製造メーカーである。素材メーカーと徹底的に協議して原材料から吟味している。素材を100%熟知し、あるいは自らの技術を踏まえた切削加工を前提とした素材設計をするところに強みがある。切削加工自体にしても数多くのノウハウが潜む。いかに優れた工作機械であっても、誰もが高性能かつ高品質なホイールを生産できるわけではない。機械の能力を活かし切るためには、経験とそれに伴う情報や技術が必要だ。基礎設計の秀逸さはもちろんのこと、工作機械へのプログラミング、切削するためのドリルや刃物の選定、工程に要する時間および温度管理など、検討すべき要素は多岐にわたる。さらなる品質の良さを追い求めて、熟練職人による手仕上げも欠かせない。最新鋭の生産体制と職人技術との融合が、TWS製ホイールを支える。
こうした工程のあとに同じく最高品質の塗装や仕上げが加わり、単に金属の塊でしかなかったものが、TWS製ホイールへと姿を変えていく。圧倒的な迫力と規模をもつ鍛造プレス機ばかりが注目されるが、真に優れたホイールを生み出すためには、これら前後にある生産体制の支えがなければ宝の持ち腐れだ。すべてを一気通貫でまかなうTAN-EI-SYA(TWS製ホイール)は、だからこそ絶対的な信頼感がある。高い強度や剛性、長期的な信頼耐久性などの“強さ”と、さらに見るもの心を捉えて離さないような美しさ。そのすべてがTWS製ホイールには宿っている。そのうえで310Mエグゼ・モノブロックが装着されたAMG G63を見る。それは世界最高峰の技術が紡ぐ「究極のタフギア」であるように思えた。
REPORT/中三川大地(Daichi NAKAMIGAWA)
PHOTO/中島仁菜(Nina NAKAJIMA)、TWS
MAGAZINE/GENROQ 2024年6月号
【問い合わせ】
TAN-EI-SYA WHEEL SUPPLY
TEL 0766-86-0117
https://www.tws-forged.com