964型ポルシェ911を最新技術で仕上げる「シンガー」がコーンズとパートナーに

964型ポルシェ911レストモッドの雄「シンガー」がコーンズとパートナーシップ契約を締結

510PSの最高出力でありながらロードカーとしての快適性も担保するという「Turbo Study」(右)と750PS/9000rpmを誇る「DLS Turbo」のレストア・サービス。
510PSの最高出力でありながらロードカーとしての快適性も担保するという「Turbo Study」(右)と750PS/9000rpmを誇る「DLS Turbo」のレストア・サービス。
空冷ポルシェ911のオーナーにレストア・サービスを提供しているSinger Vehicle Design(シンガー・ヴィークル・デザイン)は、コーンズ・グループと日本でのレストア依頼をサポートするパートナーシップ契約の締結を結び、2024年5月21日に発表した。

Singer Vehicle Design

夢は完璧な911を作ること

コーンズ・グループとのパートナーシップ契約締結のプレス発表会にはSinger Vehicle Design(シンガー・ヴィークル・デザイン)の創業者兼会長であるロブ・ディキンソン氏、マゼン・ファワズCEOが来日し、「Turbo Study」、「DLS Turbo」の2台とともに、シンガーのポリシーと日本市場への期待を語った。

シンガーは、自社がレストアしたモデルに対して、ポルシェに敬意を表し、「シンガーによって再構築されたポルシェ911」と表現している。シンガーは、日本でも好事家が多い、空冷ポルシェ911(タイプ964)をオーナーのニーズに合わせて個別にレストア。ラインナップは、NAエンジン車の「Classic」と「DLS」のレストア、その名のとおり、ターボ車のレストアである「Turbo Study」と「DLS Turbo」を設定している。

創業者兼会長のロブ・ディキンソン氏は、5歳の頃に家族旅行で初めて南フランスで出会ったという911に衝撃を受け、ロックバンドを組みながらも大学ではカーデザインを学び、完璧な911を作るのが夢だったという。幼い頃から「911といえば空冷式」という想いをずっと抱き、文化的にもレースの世界でも多大な影響を及ぼしてきたクラシックポルシェを理想的(芸術的にもエンジニアリングの面からも)に引き上げたいという願いを描き続けてきたそうだ。ロサンゼルスで自分の理想とする911を作り、乗っていたら周囲から声をかけられるようになり、今ではカリフォルニアに450人、イギリスに250人のスタッフを抱え、現在までに450台のオーダーを抱え、400台ほど納車してきたと語った。

ドアとシャーシ以外はカーボンファイバー製

「ポルシェ 911 Reimagined by Singer」という哲学を掲げるシンガーは、2009年にカリフォルニアに設立され、NA、ターボをレストアすることで、サーキットだけでなく、公道でも快適に走らせることを掲げている。つまり、速いだけでなく、乗り心地も良いことを重視しているという。

シンガーは、ドアとシャーシ以外をカーボンファイバーで作り替え、大幅な軽量化を果たした。ファーストステップと言える原点「クラシック」では、ウィリアムズとのパートナーシップのもと、30%の軽量化を実現するなど、走りへの情熱に満ちあふれている。デザインをのぞき、こうしたエンジニアリングの面など、専門外については、世界最高峰のエンジニアが参加することで実現してきたという。

なお、シンガーは初めて英語以外のウェブサイトを日本語で開設。その中で、フラット6の空冷や空水冷式のエンジンも排気の規制をクリアしながらも作り続けていると説明している。

コーンズ・グループの代表取締役社長兼CEOの林誠吾氏は、挨拶の冒頭で、数年前に初めてシンガーを自動車雑誌で「クラシック・スタディ」を見た時に「すごくカッコよく、クルマ好きの少年に戻った」とその出会いを振り返った。同社が日本で代理店契約を結ぶとは思ってもなかったという。2024年に60周年を迎えたコーンズ・モータースは、自動車の文化においてどのような役割を担えるか考えているという。

具体的には「クルマって楽しい」あるいは「クルマを走らせる」ことを伝えるため、サーキットトレーニングやグランドツアーなどにも注力。林CEOは「創業者であるロブさんの911へのオマージュ、元のモノを崩さず、1台ずつユーザーに合わせて作っていくという考えに共鳴した」と今回の代理店契約の経緯を説明した。さらに、約3000台の取扱いがあるコーンズにとっては、シンガーのレストアサービスはごくわずかであり、有り体にいえば、あまり儲からないかもとしながらも、シンガーにより再構築された911を日本に届けることに心躍ると締めくくった。

「DLS Turbo」は270万ドルから

今回、展示されたグリーンの「Turbo Study(4WD)」は、510PSを誇りながらもトラクションコントロールやボッシュ製ブレーキシステムなどの現代の装備が用意され、レカロやBBS、ウィリアムズなどの協力があって実現したモデル。なお、展示車両の価格は110万ドル(2024年5月21日現在、約1億7200万円)で、ベースモデルは83万5000ドル(同約1億3000万円)。

ゴールドにペイントされた「DLS Turbo」は、空力性能の最適化をはじめ、最高出力750PS/9000rpmというハイパワーを誇り、全幅は2mを超える体躯でありながらも運転も駐車もしやすいという。大型リヤウイングやフロントバンパーもパッケージ化されている。展示車両の価格は、310万ドル(同約4億8400万円)で、ベースモデルは270万ドル(約4億2100万円)。もちろん個別のオーダーをする場合は、プラスアルファの料金が必要になる。なお現在の納期は、2年半〜3年だという。希少性の高さはもちろん、価格も含めて、日本でその勇姿を見られるのは、決して多くはないだろうが、タイプ964の911オーナーにとって、高度にパーソナライズされたレストアモデルを手に入れるチャンスが日本でも巡ってきたのは間違いない。

シンガー公式ウェブサイト

「ポルシェ 911 リイマジネイテッド by シンガー DLS ターボ」のエクステリア。

シンガーの最新レストモッド「ポルシェ 911 リイマジネイテッド by シンガー DLS ターボ」は「934/5」をオマージュ

アメリカ・カリフォルニア州を拠点とし、空冷911に最新のメカニズムを組み合わせた独自のレストモッドを製作するシンガー・グループ(Singer Group)。今回、「ダイナミクス&ライトウェイティング・スタディ(DLS)」をベースにターボチャージャーを組み込んだ、「ポルシェ 911 リイマジネイテッド by シンガー DLS ターボ」を完成させた。

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著者プロフィール

塚田 勝弘 近影

塚田 勝弘

中古車の広告代理店に数ヵ月勤務した後、自動車雑誌2誌の編集者、モノ系雑誌の編集者を経て、新車やカー…