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Chevrolet Corvette ZR1
先代C7 ZR1を凌駕する圧倒的なスペック
8代目シボレー コルベットに待望の最強モデル「ZR1」が登場した。リヤミッドに5.5リッターV型8気筒「LT7」ツインターボエンジンを搭載し、最高出力1079PS、最大トルク1123Nmを発揮。最高速度は346km/h、1/4マイル加速は10秒を切るタイムをマークするなど、先代のC7 ZR1を大きく上回るパフォーマンスを実現している。
あらゆる走行域における最高レベルのエアロダイナミクスを確保すべく、専用のカーボンファイバー製エアロパッケージを装着。これらの空力デバイスはトップスピードにおいて1200ポンド(約137kg)以上のダウンフォースを生み出す効果を持つ。また、コルベットの歴史において象徴的なスタイルのひとつである「スプリットリヤウィンドウ」が復活を果たした。
シボレーの副社長を務めるスコット・ベルは、最強のコルベットのデビューに喜びを隠さない。
「ミッドシップアーキテクチャを採用し、コルベットの歴史に革命を起こした開発チームは、ZR1を次のレベルに引き上げるという新たな挑戦を行いました。 コルベット ZR1は、剥き出しのパワーと最先端のイノベーションで限界に挑戦しています。スティングレー、Z06、E-Ray、そして今回のZR1まで、コルベットC8ファミリーは進化し続け、世界最高峰のクルマに挑み続けているのです」
名機「LT6」エンジンをツインターボ化
コルベット ZR1に搭載される5.5リッターV型8気筒「LT7」ツインターボエンジンは、Z06の5.5リッターV型8気筒「LT6」自然吸気エンジンをベースにツインターボ化。コルベットの市販エンジンとしては初めて、2基のターボチャージャーが組み込まれている。
シボレーのエンジニアは、自然吸気エンジンが持つ美点を打ち消すことなく過給化を実施。ただ単にターボチャージャーを搭載した「LT6」を開発するのではなく、事実上すべてのシステムをターボチャージャー用に変更し、最適化したという。
今回、ツインターボ専用設計のバルブトレインタイミングとリフトプロファイル、専用チューニングされた全く新しいインテークシステム、CNC加工燃焼室、排気ポート、吸気ポートを導入。ドライビングスタイルに適応して反応する、ZR1専用のインテリジェントな「アンチラグ・エンジン・キャリブレーション」技術も採用された。
最高出力1079PS、最大トルク1123Nmという、劇的なパワーアップに合わせて、8速DCTもアップデート。インプットシャフトとアウターシャフトを強化、すべてのギヤにショットピーニング加工を施し、強度を向上させた。車両の縦方向と横方向の性能向上をサポートするオイルマネージメントを導入し、高いクラッチクランプ荷重に対応するためにコントロールバルブも増加している。
LT7エンジンは米国ケンタッキー州のボーリンググリーン組立工場内の「パフォーマンス・ビルド・センター」において、熟練したエンジンビルダーによってハンドメイドで組み立てられる。
専用エアロにより空力と冷却性能が大幅に向上
コルベット ZR1は、サーキット走行を想定したエアロダイナミクスにより、コルベット史上最大のダウンフォースを実現。また、足まわりにはマグネティック・ライド・ダンパーを導入し、2つの専用セットアップが用意された。
ドラッグを低減したスマートなボディシェルには、アジャスタブル式ショート/トールウィッカー付きスポイラーを装着。また、カーボンファイバー製フロントスプリッター、ロッカーモール、ブレーキクーリング一体型サイドインテーク、ストールガーニーディフレクター付きフロントアンダーウィングも導入されている。
クーリングに関しては、フロースルーボンネットにより、フロントグリルから導入されたフレッシュエアがインタークーラーを経て排出。エンジンの冷却だけでなく、フロントのダウンフォースレベルを増加させる効果も与えられた。また、クーペのリヤハッチ上部に設置されたカーボンファイバー製インレットは、ターボコンプレッサーの吸気温度を冷却するためにフレッシュエアを効率的に取り込む。
カーボンファイバー製サイドプロファイル・エアダクトは、キャビンドア後方のウィッシュボーンベゼルにすっきりと組み込まれたダクトを通してフレッシュエアを取り込み、リヤホイールトラベルに影響を与えることなくリヤブレーキを冷却する。
オプションとして用意された「ZTKパフォーマンス・パッケージ」は、アグレッシブなハイダウンフォース・リヤウィング、フロント・ダイブプレーン、ボンネット・ガーニーリップを追加。また、標準装備のフロントアンダーウィングに代わり、アンダーボディストレーキが装着され、フロントのダウンフォースを向上させる。
歴史的な「スプリット・ウインドウ」が復活
コルベット ZR1は、リヤに歴史的な分割式「スプリット・ウインドウ」を導入した。シボレーのデザインディレクターを務めるフィル・ザックは象徴的なデザイン要素の復活について、次のように説明を加えた。
「私たちは、スプリット・ウインドウが、コルベットの歴史の中で愛されてきたデザイン要素だと理解していました。今回のZR1こそスプリット・ウィンドウを復活させるにふさわしいタイミングだと感じたのです。走行性能を向上させるだけでなく、情熱的なデザインをそのフォルムに融合し、コルベットの歴史へのリスペクトを込めることができました」
2代目コルベットに採用され、レーシングカーの「コルベット Z06 GT3.R」で密かに予告されていたスプリット・ウィンドウは、カーボンファイバー製スパインを2分割されたリヤウィンドウ間に配置。スパインはグロスカーボンか、ボディ同色選ぶことができる。
ターボモデルをアピールするコクピット
コクピットには、インテリアプレート、シルプレート、ステアリングホイールに専用の「ZR1」バッジを装着。今回から導入された「3LZトリム」は、ZR1専用の新たなステッチパターンをドアに施すことができる。メーターディスプレイにはブースト計が追加され、コルベット史上初のファクトリー製ターボエンジン搭載モデルであることをアピールする。
コルベット ZR1では、エクステリアとインテリアのカラーをドライバーの好みに合わせてカスタマイズが可能。「コンペティション・イエロー(Competition Yellow)」「ヒステリア・パープル(Hysteria Purple)」「セブリング・オレンジ(Sebring Orange)」といった新色は、2025年型コルベットのラインアップと共通となる。セブリング・オレンジは、先代C7コルベット ZR1で高い人気を誇ったオレンジが復活したかたちだ。
インテリアは、新デザインの「ハバネロ・インテリア」と「ブルースティッチ・オプション」を導入。フルレングスのレーシングストライプ、専用ブルーペイントされたブレーキキャリパー、専用シートベルトカラーなども用意されている。