EVセダンのトップランナー「テスラ モデル3」に中国「BYD シール」が挑む

老舗EVメーカーの牙城を崩せるか⁉︎「BYD シール」と「テスラ モデル3」をスペックで比較

自動車メーカーとしては新興だが、EVメーカーとしてはすでに老舗のテスラ。中核となるDセグメントセダン「モデル3」は、このカテゴリのEVを牽引してきたが、そこに強力なライバルが登場した。それがBYDの「シール」である。モデル3とシールのスペックを比較してみよう。

BYD SEAL
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TESLA MODEL 3

ボディサイズは互角だが重量に大きな差

「BYD シール」と「テスラ モデル3」のボディサイズを詳しく見ていくと、シールのほうが全長で80mm、全幅で25mm、全高で20mm大きい。シールは独立したトランクを持つオーソドックスなセダンだが、モデル3は5ドアハッチバックのように見える。これはシールが80mm長い全長を活かしたトランク部分が長いデザインだからだ。

そしてサイズ以上に気になる違いが車重だ。モデル3は1700kg台だが、シールは2tを超えている。高速道路での巡航ならさほど問題にならないだろうが、加減速の多い市街地や坂道の多い環境を走ると、車重の違いは走行可能距離の違いとなってあらわれる。コーナリングの軽快感も異なるだろう。なお、バッテリー容量はシールが82.56kWh、モデル3 RWDは54kWだ。

ボディサイズ=全長4800mm×全幅1875mm×全高1460mm
ホイールベース=2920mm
車両重量=2100kg
タイヤサイズ=235/45R19

ボディサイズ=全長4720mm×全幅1850mm×全高1440mm
ホイールベース=2875mm
車両重量=1780kg
タイヤサイズ=235/45R18

シールは最新型のレアメタルフリーのバッテリーを搭載

モーターのスペックはシールがモデル3を上回る。後発のシールがモデル3を超えるべく開発を進めてきた形だろう。同じ後輪駆動という点にも対決姿勢が如実に現れている。

大きく違うのがシールは「リン酸鉄」のリチウムイオンバッテリーを採用している点だ。リン酸鉄式はレアメタルを使用しないリチウムイオンバッテリーで、熱暴走が起きにくく安全性も耐久性も高いとされている。

さらにBYDはバッテリーが自社生産という強みを持つ。また、シールは日本で一般的に普及している急速充電「CHAdeMO」に対応。テスラは「NACS」という規格を使用し、アダプターを挟まなければCHAdeMOを利用できないというハンデがある。

駆動用バッテリーの種類=リチウムイオンバッテリー
最高出力=312PS/ーrpm
最大トルク=360Nm/ーrpm
トランスミッション=1速固定
駆動方式=RWD

駆動用バッテリーの種類=リチウムイオンバッテリー
最高出力=264PS
最大トルク=340Nm
トランスミッション=1速固定
駆動方式=RWD

車両価格も互角だが日本での利便性はシールのほうが上か

両社が勝負しているのはプライスも同様だ。ただ航続距離はシールが640km、モデル3が573kmと大きな差がある(ともにWLTCモード)。航続距離の差や充電方式の違いを考えると、日本で利便性が高いのはシールのほうと言えそうだ。

車両本体価格

BYD シール 528万円
テスラ モデル3 RWD 531万3000円

BYD シールとBMW i4

ボディサイズがほぼ同じEVサルーン「BYD シール」と「BMW i4」をスペック面から比較した

2024年6月、BYDは現時点におけるフラッグシップモデルである「シール」をリリースした。すでに海外で一定の評価を得ているシールは、日本のBEV需要を喚起する1台となるのだろうか? シールと同クラスの「BMW i4」を比較することで、その可能性を探ってみたい。

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