改めて感銘を受けた「ロータス」など2024年の名車とは?

驚きの改善を受けた「タイカン」など知る人ぞ知る今年の名車3選【2024年個人的に感動した名車】

ポルシェ タイカン ターボS
ポルシェ タイカン ターボS
仕事柄、多種多様なニューモデルに触れてきたモータージャーナリストたち。2024年に試乗した中で隠れた名車を選ぶ本コーナー。当メディアにも多くの試乗記を寄稿した藤原よしおがセレクトしたのは、多様な方向性の3台だった。

ICE車の感覚に近いBEV

ポルシェ タイカン ターボS
ポルシェ タイカン ターボS

2024年のマイチェンで内外装のアップデートだけでなく、35%以上の航続距離向上、加速性能の向上、10秒間70kWのブースト可能な“プッシュトゥパス”の搭載、そしてアクティブエアサスペンションの標準装備など、様々な改良が施された「タイカン」。その中でも特に印象に残ったのが、ポルシェ・エクスペリエンス東京で乗った「タイカン ターボS」だ。

もちろんシステム最高出力952PS、そして前期型をさらに0.4秒上回る0-100km/h加速2.4秒というパフォーマンスは驚異的以外の何者でもないのだが、それ以上に驚いたのがドライバビリティがグッと洗練されて、よりナチュラルになったこと。デビュー当初、タイカンの中でも特にターボSは加速感とか、アクセルレスポンスとかが尖りすぎていて、個人的にトゥーマッチという印象だったのだが、新しくなったターボSはそうした「電気自動車感」が薄くなりICE車の感覚に近い、とても自然なフィーリングになっていたのだ。

しかも新たに装備されたアクティブエアサスペンションと、リヤアクスルステアリングを備えた足回りが絶品で、とても全長4962mm、ホイールベース2900mmの4ドアサルーンとは思えないほどフラットライドを維持しながらシャープによく曲がり、かつ乗り心地もいいのである! もしタイカン・ターボSに僕のようなネガな印象をもっていた人がいるのなら、ぜひもう1度乗ってほしい。そのくらい新型は全方位的に良くなっていた!

「バックヤードビルダーっぽさ」は皆無

ロータス エミーラ
ロータス エミーラ

登場以来、実はなかなか縁がなくて乗ることができなかった「ロータス エミーラ」。やっと乗れたのはV6の6速AT。エミーラといえば、やっぱりAMGメルセデス製のM139型2.0リッター直列4気筒DOHCターボに話題が集中しがちだが、個人的にはディメンジョン的にも、搭載しているトヨタ製2GR-FE型3.5リッターV型6気筒DOHCスーパーチャージャーも、エヴォーラとほとんど変わっていないエミーラV6が、果たしてどのくらい進化を遂げているのか? 最後期のエヴォーラがすごく良くできていただけに、とっても気になっていた。

で、結論からいうと、これが想像以上によくできている! もちろん車重が1458kgとエヴォーラ400より33kg重く、エンジンパワーはほとんど変わらないので、0-100km/加速や最高速度といったパフォーマンス的に特筆するところはない。しかしながらクルマ全体の作り込み、精度、遮音、剛性がワンランク上がっていて、エヴォーラにも若干残っていた「バックヤードビルダーっぽさ」は皆無。しっかりと手応えのある上質なスポーツカーに仕上がっていたのには驚いた。

それでいて一体感を味わえるハンドリングは紛れもないロータスそのもの。気になっていた6速ATとV6とのマッチングも良く、スポーツカーとしても、GTとしても成立する懐の深さも持ち合わせている。6速ATはもとより、今や貴重な3ペダル6速MTが選択できるという意味でも、エミーラV6はオススメの1台である!

俊敏で人車一体感のある走り

マセラティ グラントゥーリスモ
マセラティ グラントゥーリスモ

これは注目されなかったのではなく、乗ったけど、どこでもその良さを書く機会に恵まれなかったクルマが「マセラティ グラントゥーリズモ トロフェオ」。最初は先代のフェイスリフトくらいにしか思っていなかった(失礼)なのだが、550PSを発生する3.0リッターV6ツインターボ「ネットゥーノ」エンジンと8速ATからなるパワートレインと、フルタイム4WDのシャシーとのバランスが絶品で、ロングノーズ・ショートデッキの古式ゆかしいGTスタイルからは想像できないほど、俊敏で人車一体感のある走りを堪能できるのだ!

さらに驚くべきは、そうした走りを実現しながらも、しっかりとリヤシートに大人2人が座れる2+2GTであるということ。一体何をどうやったら全長4959mmもある立派な体躯でGTとピュア・スポーツを両立できるのか? 皆目見当がつかないのだが、とにかくそれが出来てしまっているスーパーGTが、マセラティ・グラントゥーリズモなのである!

60km/h以下であれば走行中でも開閉可能な電動ソフトトップを装備。開閉に要する時間は約20秒。

好事家も納得するブランド濃度200%の走りを持つ「CLE200 カブリオレ」と「600e」【伝えておきたい2024年の名車】

さて、2023年はアウディR8を推した編集部・石川ですが、2024年に伝承したいクルマはもう少しお買い得な、コスパに優れたモデルをチョイス。でもその走りは、通好みそのものなんです。

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著者プロフィール

藤原よしお 近影

藤原よしお

クルマに関しては、ヒストリックカー、海外プレミアム・ブランド、そしてモータースポーツ(特に戦後から1…