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ICE車の感覚に近いBEV
2024年のマイチェンで内外装のアップデートだけでなく、35%以上の航続距離向上、加速性能の向上、10秒間70kWのブースト可能な“プッシュトゥパス”の搭載、そしてアクティブエアサスペンションの標準装備など、様々な改良が施された「タイカン」。その中でも特に印象に残ったのが、ポルシェ・エクスペリエンス東京で乗った「タイカン ターボS」だ。
もちろんシステム最高出力952PS、そして前期型をさらに0.4秒上回る0-100km/h加速2.4秒というパフォーマンスは驚異的以外の何者でもないのだが、それ以上に驚いたのがドライバビリティがグッと洗練されて、よりナチュラルになったこと。デビュー当初、タイカンの中でも特にターボSは加速感とか、アクセルレスポンスとかが尖りすぎていて、個人的にトゥーマッチという印象だったのだが、新しくなったターボSはそうした「電気自動車感」が薄くなりICE車の感覚に近い、とても自然なフィーリングになっていたのだ。
しかも新たに装備されたアクティブエアサスペンションと、リヤアクスルステアリングを備えた足回りが絶品で、とても全長4962mm、ホイールベース2900mmの4ドアサルーンとは思えないほどフラットライドを維持しながらシャープによく曲がり、かつ乗り心地もいいのである! もしタイカン・ターボSに僕のようなネガな印象をもっていた人がいるのなら、ぜひもう1度乗ってほしい。そのくらい新型は全方位的に良くなっていた!
「バックヤードビルダーっぽさ」は皆無
登場以来、実はなかなか縁がなくて乗ることができなかった「ロータス エミーラ」。やっと乗れたのはV6の6速AT。エミーラといえば、やっぱりAMGメルセデス製のM139型2.0リッター直列4気筒DOHCターボに話題が集中しがちだが、個人的にはディメンジョン的にも、搭載しているトヨタ製2GR-FE型3.5リッターV型6気筒DOHCスーパーチャージャーも、エヴォーラとほとんど変わっていないエミーラV6が、果たしてどのくらい進化を遂げているのか? 最後期のエヴォーラがすごく良くできていただけに、とっても気になっていた。
で、結論からいうと、これが想像以上によくできている! もちろん車重が1458kgとエヴォーラ400より33kg重く、エンジンパワーはほとんど変わらないので、0-100km/加速や最高速度といったパフォーマンス的に特筆するところはない。しかしながらクルマ全体の作り込み、精度、遮音、剛性がワンランク上がっていて、エヴォーラにも若干残っていた「バックヤードビルダーっぽさ」は皆無。しっかりと手応えのある上質なスポーツカーに仕上がっていたのには驚いた。
それでいて一体感を味わえるハンドリングは紛れもないロータスそのもの。気になっていた6速ATとV6とのマッチングも良く、スポーツカーとしても、GTとしても成立する懐の深さも持ち合わせている。6速ATはもとより、今や貴重な3ペダル6速MTが選択できるという意味でも、エミーラV6はオススメの1台である!
俊敏で人車一体感のある走り
これは注目されなかったのではなく、乗ったけど、どこでもその良さを書く機会に恵まれなかったクルマが「マセラティ グラントゥーリズモ トロフェオ」。最初は先代のフェイスリフトくらいにしか思っていなかった(失礼)なのだが、550PSを発生する3.0リッターV6ツインターボ「ネットゥーノ」エンジンと8速ATからなるパワートレインと、フルタイム4WDのシャシーとのバランスが絶品で、ロングノーズ・ショートデッキの古式ゆかしいGTスタイルからは想像できないほど、俊敏で人車一体感のある走りを堪能できるのだ!
さらに驚くべきは、そうした走りを実現しながらも、しっかりとリヤシートに大人2人が座れる2+2GTであるということ。一体何をどうやったら全長4959mmもある立派な体躯でGTとピュア・スポーツを両立できるのか? 皆目見当がつかないのだが、とにかくそれが出来てしまっているスーパーGTが、マセラティ・グラントゥーリズモなのである!