F1のオフシャルカーを務める2台のメルセデスAMG、2022年版を発表

AMGが今年もF1の安全を守る! 2022年仕様のセーフティカーとメディカルカーの特徴とは

メルセデスAMGが2022年シーズンのF1に供給する、AMG GT ブラックシリーズベースのセーフティカーとメルセデスAMG GT 63 S 4マティックプラスベースのメディカルカー
メルセデスAMGが2022年シーズンのF1に供給する、AMG GT ブラックシリーズベースのセーフティカー(写真右)と、メルセデスAMG GT 63 S 4マティックプラスベースのメディカルカー(同左)。
メルセデス・ベンツは、F1の2022年シーズンで「メルセデスAMG GT ブラックシリーズ」がセーフティカーを、「メルセデスAMG GT 63 S 4マティックプラス」がメディカルカーを務めると発表した。レースの安全とドライバーの安心を守る2台の“はたらくAMG”には、どのような特別仕様が施されているのだろうか。

今年のセーフティカーはAMG GTブラックシリーズ!

メルセデス AMGが2022年シーズンのF1に供給する、AMG GT ブラックシリーズベースのセーフティーカー。正面ビュー
メルセデスAMGが2022年シーズンのF1に供給する、AMG GT ブラックシリーズベースのセーフティカー。これまでルーフ上にあったLEDシグナルをフロントウインドウ内に一体化することで、空力性能を向上している。

2022年シーズンのF1は、3月18日からスタートするバーレーンGPで幕を開ける。本年は“F1史上最多の全23レースを開催”するとあり、モータースポーツファンからも熱視線が注がれている。その注目のシーズンに、メルセデスAMGは「メルセデスAMG GT ブラックシリーズ」をセーフティカーとして、「メルセデスAMG GT 63 S 4マティックプラス」をメディカルカーとして投入すると発表した。

「ほとんど標準仕様のまま」

メルセデス AMGが2022年シーズンのF1に供給する、AMG GT ブラックシリーズベースのセーフティーカー。コクピット
メルセデスAMGが2022年シーズンのF1に供給するAMG GT ブラックシリーズベースのセーフティカー。コクピットには後方の映像やレースカーのポジションなど、種々の情報をチェックするためのディスプレイが複数設置されている。

F1のセーフティカーには、極めて高い信頼性と優れたパフォーマンスが求められる。雨や風、砂埃、暑さや寒さなどに左右されることなく、いかなる厳しい状況下にあってもモータースポーツ最高峰のレースカーを安全に、かつ“適切なスピード”で導くのがその使命である。

今回供給する2台について、メルセデスは「技術的な観点からいうと、両車ともにほとんどが“標準仕様”そのままといって良いでしょう。しかしながら、サーキット上においてそれぞれに与えられた役割を適切に果たすために、数多くの専用装備が与えられています」と公式資料に謳っている。加えて、アファルターバッハが誇るサスペンションのスペシャリストにより、ピレリ Pゼロタイヤに合わせて世界中の全サーキットとあらゆる天候状況を念頭に置いたセットアップが加えられているという。

空力を考慮してLEDシグナルを“一体化”

メルセデス AMGが2022年シーズンのF1に供給する、AMG GT ブラックシリーズベースのセーフティーカー。ルーフライナーのシグナルスイッチ
メルセデスAMGが2022年シーズンのF1に供給する、AMG GT ブラックシリーズベースのセーフティカー。天井のルームランプスイッチのそばには、LEDシグナル用スイッチが設置されている。グローブをつけていても操作しやすいように、大きくシンプルなスイッチデザインとしている。

2022年のセーフティカーを務めるメルセデスAMG GT ブラックシリーズで、もっとも目を惹くのがお馴染みのルーフマウント式LEDライトが無くなった点だろう。空力バランスを考慮した結果、アファルターバッハではフロントウインドウ上部にLEDシグナルを設置。後続車向けのLEDライトは、リヤウイング内にすっきりと収まる形で搭載されている。

ちなみに、セーフティカーのコースインが決定されると、オレンジのLEDライトが点灯。リヤのセンターセクションにオレンジライトが点滅、かつフロント両端のオレンジライトが点灯している場合は「追い越し禁止」。前後のグリーンライトが点灯している場合は、後続車にセーフティカーを追い越すよう指示していることを意味する。すべてのライトは夜間・日中など様々に変化する環境下でもはっきりと視認できる必要があるため、それぞれ調光が可能になっている。また、リヤのナンバープレート部分も、セーフティライトと協調してオレンジまたはグリーンに点灯。もちろん、コース上ではヘッドライトとテールランプも激しく点滅し、安全な運行をサポートする。

シグナル点灯用のスイッチは、ルームランプスイッチ後方に設置。レーシンググローブをしたままでも正確に操作できるように、シンプルな丸形スイッチになっている。バケットシートも通常のオプションと同じ仕様だが、サイドクッションにはウォーターボトルを収納できるように小さなカップホルダーを装着しているという。

車両後方には2台のカメラを設置

メルセデス AMGが2022年シーズンのF1に供給する、AMG GT ブラックシリーズベースのセーフティーカー。リヤビュー
メルセデスAMGが2022年シーズンのF1に供給する、AMG GT ブラックシリーズベースのセーフティカー。後続車向けのLEDシグナルはリヤウイング内に装備。ナンバープレート部もシグナルの色に協調して点灯する仕組みになっている。

リヤスポイラーの右側支柱部分には小さなビデオカメラを2基搭載。1台の映像は車内ディスプレイにリアルタイムで映し出され、もう1台からの映像はTV配信向けに送信される。また、“出動中”にはリヤサイドウインドウに“SC”の文字がオレンジで浮かび上がる仕組みとし、スタンドで観覧中の人々がなるべく状況を把握しやすいように配慮している。

キャビンには軽量なロールケージと、FIA基準に適合した6点ハーネスを配備。センターコンソールと助手席前方には、合わせて3つのディスプレイパネルを搭載している。各ディスプレイにはテレビ信号やレースカーのポジション、ラップタイムなどを表示することができる。ドライバーのベルント・マイレンダーが進行方向とリヤビューミラーを注視しながら運転に集中している間、コ・ドライバーのリチャード・ダーカーはレースコントロールと密にコミュニケーションを取り続ける。また、車内にはマイレンダーとダーカーの会話に使用するインターコム機能と、万一の際の予備用無線も搭載している。

トランスポンダーをはじめ、GPS、テレメトリーシステムなど、F1レースカーと同じくFIA規定に準ずる安全装備の数々も完備している。さらにインストゥルメントパネル及び助手席前方には該当区間で掲示されているフラッグのステータスを表示する「マーシャリングシステム」や、想定以上のGが発生した場合にLEDを点滅させる「メディカルワーニングライト」も搭載する。

最大3名の医療要員が乗車するメディカルカー

メルセデス AMGが2022年シーズンのF1に供給する、メルセデス AMG GT 63 S 4マティックプラスベースのメディカルカー。コクピット
メルセデスAMGが2022年シーズンのF1に供給する、メルセデスAMG GT 63 S 4マティックプラスベースのメディカルカー。キャビンには、ドライバーのバイタルサインなども確認できるディスプレイを用意している。

メディカルカーには、先任のAMG C 63 S エステートに代わり、AMG GT 63 S 4マティックプラスが着任。メディカルカーには最大3名の医師が搭乗し、緊急事態に対応する。FIAのメディカルレスキューコーディネーターであるDr. イアン・ロバーツに加え、サーキットごとに地元の専門クリニックの医師が1〜2名リヤシートへ乗り込むことになる。

メディカルカーはマシンが密集して事故が起きやすいファーストラップをレースカーと共に走った後、セーフティーカーと共にピットレーン上で待機する。ルーフには、空力を考慮して設計されたカーボン製の土台にLEDシグナルを設置。シグナル及び土台の形状は、広範な風洞実験を経て開発されたという。

F1ドライバーの脈拍をリアルタイムでモニター

メルセデス AMGが2022年シーズンのF1に供給する、メルセデス AMG GT 63 S 4マティックプラスベースのメディカルカー。リヤシート
メルセデスAMG GT 63 S 4マティックプラスベースのメディカルカーは、4座すべてがバケットシートで、前に6点式、後ろに4点式のハーネスを装備。シートコンソールもフロアに溶接するなど、安全を第一に考えた設計となっている。

荷室には除細動器や呼吸器、レスキューカッター、2本の消化器など、必要な救急機器のすべてを完備。トランクリッドには、開放時に後続車へ注意喚起を促す警告灯が点滅する仕組みも備えている。また、キャビンには4つのバケットシートを設置しており、前席には6点式、後席には4点式のハーネスを装備。安全を考慮し、シートコンソールはフロアへしっかりと溶接されている。また、シグナルや無線機器用のスイッチユニットはセンターコンソール上へ配置している。

すべてのF1ドライバーは、小指のバイタルサインをモニターできるセンサー付きの特別なグローブを装着している。緊急事態には、メディカルカー内の医療スタッフは該当者の脈拍数や血中酸素レベルをリアルタイムでスクリーンを通して確認することができる。医療スタッフはこの情報をもとに、最適な初期対応の方法を検討することが可能になる。

全シーズンを通じ、セーフティカーとメディカルカーにはAMGから3名の熟練テクニシャンが帯同し、健全な運用をサポートする。

2022年のF1グランプリで使用される、DBX メディカルカーとヴァンテージ セーフティカー。

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…