新型メルセデスSLは先代と較べてどう進化したのかを考察する

メルセデスを代表するスポーツカー「SL」は新型でどれほど進化したのか新旧モデルで比較する

専用プラットフォームに新開発の電動ターボを搭載するエンジンなど、大幅なブラッシュアップが施された新型SL。しかも先代では2シーターだったが新型では2+2となった。
専用プラットフォームに新開発の電動ターボを搭載するエンジンなど、大幅なブラッシュアップが施された新型SL。しかも先代では2シーターだったが新型では2+2となった。
長く愛されてきたモデルは、その歴史の中で研ぎ澄まされてくる。それはつまり、最大のライバルは過去の自分自身であることを意味する。メルセデス・ベンツの最高峰スポーツとして長い歴史を誇るSLにとって、最大のライバルと言えるのは、先代モデルなのかもしれない。

Mercedes AMG SL43
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Mercedes-Benz SL550 BlueEFFICIENCY

後席増設分全長がプラス

AMGの名を冠して生まれ変わった新型SL「メルセデスAMG SL43」。専用プラットフォームに新開発の電動ターボを搭載するエンジンなど、大幅なブラッシュアップが施され、シートレイアウトも後席が存在する2+2となった。そこでまずは、先代モデルとのサイズ差を見ていこう。今回はSL43(1648万円)と新車時の販売価格が近い先代SL550(1698万円)と比較した。

メルセデスAMG SL43

全長4700×全幅1915×全高1370mm、ホイールベース2700mm

メルセデス・ベンツSL550 BlueEFFICIENCY

全長4640×全幅1875×全高1305mm、ホイールベース2585mm

最も異なるのがホイールベースで、新型SLでは115mmも伸長されている。これは、後席をプラスするために必要な拡大だが、全長が伸びたおかげでより伸びやかなスタイリングとなった。また、全幅で40mm、全高で65mmとそれなりに拡大されて、サイズ感は先代とは大きく異なる。となれば、気になるのは重量差だが……

メルセデスAMG SL43

車両重量 1780kg

メルセデス・ベンツSL550 BlueEFFICIENCY

車両重量 1880kg

最大の重量物であるエンジンについて、新型が2リッター直4ターボなのに対して先代は4.7リッターV8ツインターボを搭載しており、新型が100kgも軽くなっている。

排気量差を吹き飛ばす運動性能

それでは新型の運動性能を旧型と比較するとどうなるだろうか。

メルセデスAMG SL43

エンジン形式=直列4気筒ターボ
排気量=1991cc
最高出力=381PS/6750rpm
最大トルク=480Nm/3250-5000rpm
0-100km/h加速=4.9秒

メルセデス・ベンツSL550 BlueEFFICIENCY

エンジン形式=V型8気筒ツインターボ
排気量=4663cc
最高出力=455PS/5250rpm
最大トルク=700Nm/1800rpm
0-100km/h加速=4.6秒(本国仕様SL500=435PS)

新型SLに搭載されるエンジンは2リッターながら、電動ターボを与えられて最高出力381PSと、先代SL550の4.7リッターV8に約70PS差と肉薄している。なお、V8エンジンを搭載する先代の本国仕様SL500の最高出力は435PS、0-100km/h加速は4.6秒。新型AMG SL43に対して2倍以上の排気量を活かし、ハイパフォーマンスを発揮する。

優雅なソフトトップも新型の魅力

新型になって、先代よりも大きくなったSL。しかし、レースシーンから生まれたDNAを失うことなく、より高度な運動性能を与えられたわけだが、新型の大きな特徴のひとつが、そのスタイリングにもある。

先代のメタルトップに対して新型にはソフトトップが採用されており、優雅な印象が際立つ。結局のところ、このスタイリングの違いが、新型と先代の最も大きな差と言えるかもしれない。

今回比較する新型メルセデスAMG SLが1648万円であるのに対して911カレラTは1640万円。価格面はほぼ同等だ。

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著者プロフィール

古川 裕 近影

古川 裕

新型モデルを比較することを信条とするフリーランスジャーナリスト。過去にはゲンロクWebを運営する三栄に…