アウディAGのマルクス・ドゥスマンCEOがトークイベントで語るサステナブル

「エンジン車は2033年までに段階的に廃止」アウディAGのマルクス・ドゥスマンCEOが語る「持続可能性への取り組み」

ドイツの日刊紙『ヴェルト』が展開するカンファレンスイベントに、アウディAGのマルクス・ドゥスマンCEOが登場した。
ドイツの日刊紙『ヴェルト』が展開するカンファレンスイベントに、アウディAGのマルクス・ドゥスマンCEOが登場した。
ドイツの日刊紙『ヴェルト(Welt)』が展開する様々な分野のトップが出演するカンファレンスイベント「ベター・フューチャー・カンファレンス(Better Future Conference)」に、アウディAGのマルクス・ドゥスマンCEOが登場した。今回、ドゥスマンCEOは、アウディが進める持続可能性を持ったモビリティの普及について、トークセッションを行っている。

持続可能性をテーマにしたトークセッション

政治家や経営者が登壇し、より良い将来について意見を述べる「ベター・フューチャー・カンファレンス」に登場したアウディAGのマルクス・ドゥスマンCEO。同社が進めるサスティナブルな取り組みについてプレゼンテーションを行った。
政治家や経営者が登壇し、より良い将来について意見を述べる「ベター・フューチャー・カンファレンス」に登場したアウディAGのマルクス・ドゥスマンCEO。同社が進めるサスティナブルな取り組みについてプレゼンテーションを行った。

「ベター・フューチャー・カンファレンス」は、ヴェルト紙が行う持続可能性をテーマに掲げたカンファレンスイベント。政治、ビジネス、社会の意思決定者が登場し、様々なトピックについてプレゼンテーションを行う。6回目の開催となった今回、自動車業界のトップとしてアウディAGのマルクス・ドゥスマンCEOが登場した。オンラインで行われたトークセッションにおいて、ドゥスマンCEOは持続可能性(サステナビリティ)を持った取り組みが、アウディの成長を後押しすると指摘している。

「あらゆる分野において、持続可能性が、アウディにとってますます中心的な役割を果たしています。例えば、ESG評価(企業の環境に配慮した取り組みに対する第三者機関の指標)を受けるなど、多くの分野で政府当局が求める以上の取り組みを実際に行っています。さらに、2029年までという、従業員の長期的な雇用保障も実現しました」

アウディが進める様々な取り組み

持続可能性を進めるため、アウディはフル電動モデルの積極的投入だけでなく、スクラップ車両から多くの素材をリサイクルするマテリアルループ・プロジェクトも進めている。
持続可能性を進めるため、アウディはフル電動モデルの積極的投入だけでなく、スクラップ車両から多くの素材をリサイクルするマテリアルループ・プロジェクトも進めている。

現在、議論となっているのがEU(欧州連合)が進める内燃機関(ICE)の禁止だ。ドゥスマンCEOはアウディの電動化への取り組みに加えて、eフューエルの可能性や循環経済について次のように説明した。

「2033年までに内燃機関モデルを段階的に廃止します。この決定を実現するには、アウディの製品、工場、サプライチェーンへの大規模な投資が伴います。クルマを購入する多くのお客様は、自分が正しいパワートレインを選択しているか知りたがっています。私たち自身も、どのようなテクノロジーを搭載しているのか、明確にしなければなりません」

「eフューエルは、特に既存の内燃機関車をカーボンニュートラル(脱炭素技化)とする上で、重要な役割を担っています。また、eフューエルは航空輸送や海上輸送に対応した唯一の脱炭素技術でもあります。フォルクスワーゲン・グループ内では、ポルシェがチリでeフューエルのパイロットプラントを展開しており、この技術が持つ可能性を証明しているところです」

「循環経済は、持続可能性を進める上で大きなテコになると考えています。すべての素材をリサイクルすることで、新たな素材を導入する必要がなくなります。現在、アウディでは循環型経済を実現するため、複数のプロジェクトが進行中です。私たちの 『マテリアルループ(MaterialLoop)』プロジェクトでは、今後数年間でスクラップ車両から、より多くの材料をリサイクルできるよう様々なトライを進めています」

持続可能性の鍵を握る中国市場

世界的に脱炭素化を進めるためには、巨大市場である中国市場が大きな鍵となる。アウディは写真のQ4 e-tronをはじめ、積極的にBEVの投入を進めていくという。
世界的に脱炭素化を進めるためには、巨大市場である中国市場が大きな鍵となる。アウディは写真のQ4 e-tronをはじめ、積極的にBEVの投入を進めていく。

先行するヨーロッパに続き、巨大市場の中国でも様々な状況が変化しつつあるという。

「現在、中国はサステナビリティ列車に乗りつつあります。プレミアムセグメントに関して、早ければ2026年に販売される自動車の半分以上がフル電動モデルになると予想しています。特に中国市場においては、ライバルメーカーの積極攻勢が顕著です。アウディは、今後2年間、10台のフル電動モデルを投入するという完璧なプランを持っています」

「欧州が電動モデルの普及に関する野心的な目標を設定することは、重要なだけでなく正しいことだと考えています。この目標が新しい技術を開発する後押しになりますし、それに対応するだけの技術が私たちにはあるからです」

ポルシェの911GT3カップカーによるワンメイクレース「モービル1スーパーカップ」には2022年シーズンからeフューエルを採用している。

「2035年以降も欧州でガソリン車に乗れる?」EUのZEV規制撤回報道の真相

3月下旬、欧州連合(EU)の執行機関にあたる欧州委員会が、ZEV(Zero Emission Vehicle)ではない内燃機関車販売を2035年以降禁止する方針をあらため、条件付きで認めるという方針を打ち出したことが報道された。使用可能な燃料は、CO2と水素を合成して作る液体燃料「e-fuel」で、e-Fuel使用車は販売を認めるという。ともすれば欧州の宗旨替えのように見えるこの動きを、清水和夫が「そもそも」論で切る。

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ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…