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失敗がない画期的な方法
「低温調理器がガジェット?」と思ったあなた。いや、ガジェット好きな理系人間こそ、低温調理器はピッタリとハマる。理詰人間にとって、これほど使いこなしがいのある道具はない。しかも使いこなすほど、美味しい料理を味わえ、さらに言えばヘルシーな食事にも繋がる。
様々な低温調理器があるが、その中でBONIQ 2.0を使っているのはアクセサリーも含め、使いやすさへの配慮がハンパないからだが、ではその“配慮”を知ってもらうために、低温調理の基礎をちょっとだけ話しておこう。低温調理は1979年、フォアグラのテリーヌを調理する手法として開発された。真空パック機で素材と調味液をパックにし、定温管理された湯の中に一定時間浸すだけ。仕上げに焼き目をつけることもあるが、基本的な調理は定温管理する道具にお任せでOK。
この方法が画期的なのは「焼く」「蒸す」「煮る」に比べて失敗がないこと。同じ温度の湯にパックを一定時間浸すだけなら、誰でも同じ品質を世界中で出すことができる。もちろん、料理なんか興味を持ったことがない人であってもだ。
魚でも肉でもなんでもござれ
しかもこの調理法は、ほぼ“理科の実験”的に楽しめるエンタメでもある。代表的な例が、僕が来客があると前菜に作ることが多い「サーモン・ミキュイ」。臭みを抜いた生食用サーモンを42度で30分。直後に氷水で急冷してから冷蔵庫で落ち着かせると、あとは塩こしょうとオリーブオイルを振ってディルを載せれば、不思議な柔らか食感の激ウマサーモンの出来上がり。タンパク質が変化しない低温と、40度以上で固まる海洋性コラーゲンの特徴を利用して新食感を引き出すというわけ。生食用以外の魚や豚、鶏肉を扱うなら63度。この温度は安全な火入れが可能な温度ながら、タンパク質が固まり過ぎて水分を失わせることがない(牛肉なら52度がベスト)。
魚なら西京焼き用の調味液、紅茶豚なら紅茶のティーバッグと酢や醤油、味醂、酒などで作った調味液と一緒に入れて寝かしてから低温調理。魚の皮はバーナーで焼き目を入れるといい。牛肉なら低温調理後に肉の重さの3%の塩をパックに投入して1時間、その後にフライパンの上で強火で表面を焼くといった具合だ。豚ヒレや鶏胸肉といった、ヘルシーながら別の調理方法なら水分を失ってパサつきやすい食材も低温調理ならしっとりジューシーさを保った上で、肉のアミノ酸が最も美味しい状態に火入れできるからダイエットにも最適。
スマホアプリで連動も可能
さてそんな低温調理器だがBONIQは2.0になって美しい外観を獲得し、本体を取り出すときの湯切れがよくなった。その上Pro版は通常版に対して2倍のワット数であっという間に目的の温度に達し、大量の食材を同時に調理する場合も温度が急に下がることもない。加えて専用に設計された長方形の大容量調理コンテナやフタ(調理によっては4時間以上調理するので水位を保つためにも必須)、食材を固定する治具など、調理を楽にするためのアクセサリーがたっぷり用意されている。専用スマホアプリは内蔵レシピと連動して本体の自動設定も行う。低温調理の調理段階で出る洗い物も劇的に減るし、面倒くさがりのあなたも、きっと挑戦できるはずだ。
REPORT/本田雅一(Masakazu HONDA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2023年7月号
PRICE
3万3000円
評価
低価格な製品も登場しているが、温度上昇の速さやWi-Fi経由でのスマホ連携、使い終わった後の片付けのしやすさなど、流石の使いやすさ。こだわりのアクセサリーたちも魅力だ。
コストパフォーマンス:3
デザイン:5
スマホ連携:4
加熱能力:5
使いやすさ:5
【問い合わせ】
BONIQサービスセンター
TEL 0800-700-6123
https://boniq.store