「マクラーレン MP4-12C」こそ今買いのスーパーカー

志の高いスーパーカー「マクラーレン MP4-12C」の衝撃的な価格【今買うなら、ひょっとしてコレちゃう?12台目】

マクラーレン・スーパーシリーズの特徴でもあるディヘドラルウイングドア。MP4-12Cも採用している。
マクラーレン・スーパーシリーズの特徴でもあるディヘドラルウイングドア。MP4-12Cも採用している。
クルマの流行廃りにあわせて大きく動く中古車市場。もしも中古車ライフを送るなら、その波を正確に捉えてお得な買い物をしたいものだ。そんな時代の羅針盤たるべく、西川淳が「今」買いのクルマを紹介する。第12回はマクラーレン・オートモーティブのデビュー作「MP4-12C」だ。

ロータスやフェラーリと並ぶ存在

今見てもスタイリッシュなエクステリア。タッチセンサーを用いたドアの開閉は衝撃的だった。

超久しぶりにワーキングMTC(マクラーレン・テクノロジー・センター)にやってきた。緑と調和したウルトラモダンなファシリティ。一歩中に入れば歴代マクラーレンマシンがずらり。

ちょうど今年は“マクラーレン”が誕生して60周年の節目。一部はすでにグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードに向け出発してしまっていたけれど、それでも歴代F1マシンに加えてロードカーのF1、P1、スピードテールなどが揃う様子は圧巻だ。それに今年はSLRマクラーレンの生産開始からちょうど20年ということもあって、特別なSLRも飾ってあった。最高のタイミングでやってきたというわけだ。

マクラーレンというレーシングチームは、ニュージーランドからやってきたブルース・マクラーレンによって設立された。彼は才能に恵まれたレーシングドライバーであり、エンジニアであり、経営者でもあった。若くして不慮の事故で亡くなりさえしなければ、ロータスやフェラーリと並ぶ存在になっていたことだろう。名前を残しただけでも現在の存在感なのだから、本人が生きていたとしたら……。

ブルースの思いを最もよく体現した量産モデル

マクラーレンというレーシングチームで、マクラーレンというクルマに乗った、ブルース・マクラーレンというドライバーが勝った。これを偉業と言わずして何という? そしてブルースの夢がレーシングカーのようなロードカーを作ることだった。その意志が今に引き継がれている。ブルースならどんなクルマを作るのか。マクラーレンのエンジニアにとって最後に問うべきはそこであると言っていい。

マクラーレンのロードカーといえばブルースが企画したカンナムマシンのロードゴーイング、M6GTがその嚆矢であったが、プロトタイプが完成した直後に当の本人が亡くなってしまい、計画はあえなく頓挫。トロージャンによって3台のM6GTが製作されたのみであった。

本格的なロードカーの誕生は1990年代、ゴードン・マレー設計の3シーター「F1」まで待たねばならなかったが、これとてレーシングカーを併せても100台余りしか生産されなかった。エンジンはBMW製だし。その後、メルセデスベンツSLRマクラーレンも生産されたが、あくまでもダイムラーとの合作でAMG製エンジンだ。

というわけで、マクラーレン・オートモーティブが誕生し、企画から生産まで全てを担った「MP4-12C」(以下、12C)こそがブルースの思いを最もよく体現した量産モデルであると言っていいと思う。だからマクラーレンのロードカー史における重要度という点ではある意味、F1ロードカーよりも上。もちろん金銭的な価値で言うとF1は今や12Cの200台分相当にもなってしまったけれど。

飽きずに長く乗れそうなスタイリング

MP4-12Cスパイダー。この手のスーパースポーツカーでは当然スパイダーが人気なので中古価格もややお高めだ。

さっそくカーセンサーEDGEでマクラーレンを選択してみれば、170台くらい掲載されていることがわかった。フェラーリの4分の1、ランボルギーニの2分の1程度だけれど、ロードカーの生産年数(わずか12年間)の流通量、生産量、販売量を考えれば選択肢は多いと言えるだろう。

例によって本体価格の安い順に検索する。最初に出てきたのが1360万円の540C。一瞬だけ存在した入門用モデルで、個人的にはあまり興味がない。いいクルマだけれどもあえて今、中古で乗る意味が見出せない。

で、その次がきた! 12Cで1380万円。エリートカラーのヴォルケーノ・レッドは当時好きだった色だ。ホイールがノンオリジナル、というのが嫌だけど、純正ホイールは探せば何とかなるか……。次はもう1500万円台の12Cスパイダーで、いずれも正規輸入品ではあるけれど正規ディーラー販売ではない。正規ディーラーの認定中古車(保証付)を買おうとすると1700万円台。いやぁ、コロナの間に随分と値上がりしてしまいましたね。コロナ前は1200万円くらいで十分買えたのに。

とはいえ、MP4-12Cは記念すべきピュアマクラーレンロードカーの1号車。シンプルなスタイリングは飽きずに長く乗れそうだ。そしてパフォーマンスは今でも十分現役と来れば、アンテナを十分張って良いタマが出てくるのを待っても良さそうだ。

SPECIFICATIONS

マクラーレンMP4-12C

ボディサイズ:全長4509×全幅1908×全高1199mm
ホイールベース:2670mm
乾燥重量:1336kg(ライトウエイト仕様:1301kg)
エンジン:V型8気筒ツインターボ 総排気量:3799cc
最高出力:441kW(600ps)/7000rpm
最大トルク:600Nm(61.2kgm)/3000〜7000rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション:F&Rダブルウイッシュボーン ■ブレーキ:F&Rベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):F235/35R19(8.5J) R305/30R20(11J)
パフォーマンス 最高速度:330km/h 0→100km/h加速:3.3秒(コルサタイヤ仕様:3.1秒)
環境性能 CO2排出量:279g/km

2代目ベントレー コンチネンタルGTの掉尾を飾ったスーパースポーツ。リヤウイングが特徴だ。

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西川 淳