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FERRARI FF
ミドシップよりも落ち着いた印象
先日、俳優の石田純一さんとドライブラリーに参加した。戦前のアルヴィスを交代でドライブしたのだけれど、インカム越しの会話は当然、クルマが話題の中心に。その日が初見とは思えないくらいに盛り上がった。これもまたクルマ好き同士の良いところ、というわけで、その時、石田さんの愛車話になった。
彼は芸能界でもクルマ好きとして知られている。イメージでは昔から4シーターのフェラーリに乗ってらっしゃる感じ(実際、その昔、456を駆っておられたシーンを芝浦あたりで目撃した)なのだけれど、実際には2シーターモデルの方が多かったみたい。モテる男は4シーターの跳ね馬に女性を3人乗せて、なんて、こちらの勝手な思い込みか。
けれどもやはりというべきか、現在、彼の愛車はフェラーリ・フォー(FF)だ。派手なミドシップモデルよりも落ち着いた印象で、ブサ可愛いところが気に入っているらしい。同感! 単に美しいだけのクルマはすぐに飽きる。長く付き合うなら味わい深い方がいい。
4シーターフェラーリファンとして
そういう意味では後期型というべきGTC4ルッソよりも前期のFFの方が断然いい。マラネッロの超VIP顧客にもFF愛好家が多いと聞く。そういえば年末恒例の跳ね馬サーキット祭「フィナーリ・モンディアーリ」のVIPパーキングを見るとFF率がかなり高かった記憶がある。しかもひと目でテーラーメードと分かる仕様で……。
かくいう私もFFが好き。否、4シーターフェラーリファンだと言っていい。過去には400iオートマチックや612スカリエッティに乗っていた。
4シーターなんて跳ね馬じゃないなどと蔑まれた時代もあったけれど、今じゃ2シーターの価格が上がりまくってしまったから4シーターもつられるように上がっている。跳ね馬史上最長の5m超えという365GT2+2なんてひと頃400万円で買えたのに、今じゃ軽く3000万円オーバーだ。
相場安定の今どう出るか?
実をいうと4シーターフェラーリの人気が低いのは日本市場に顕著な現象だった。2シーターであってもFR12気筒そのものの人気もなかったから、4シーターとなればなおさら。けれどもヨーロッパではV12・FR・2シーターこそ跳ね馬の伝統でありフラグシップであるという意識が強く、また、12気筒の4シーターモデルはブランドの最高級モデルとしてVIPカスタマーに愛用されてきた。
なんといってもエンツォ・フェラーリ御大が4シーター好きだったから本流だと認識されていた(だからプロサングエ企画が立ち上がった時、真っ先に賛成したのはエンツォの息子、ピエロ・フェラーリさんだった)。
というわけでFFをカーセンサーEDGEネットで検索。いつものように全量を安い順にソートしてみた。あらら、びっくり!高いじゃないの〜(笑)。ボクの勝手なイメージでは1000万円ちょいからあるんじゃない? だったのだけれど、今現在、最も安い個体で1400万円弱。うーん、元の値段を考えると半分くらいで悪くないけれど10年落ちだからなぁ。
おそらくこの数年は相場安定で、そうすると流通するタマが次第に減る分、価格は段々と強気になっていく。新車価格の上昇や供給量不足も加味すれば、モダンな4シーターといえどもある程度の相場を保って当然ということか。もしくはもうすでにFFの魅力に気づいているマニアも多いか。何しろフェラーリ初の4WDという歴史的モデルなのだから……。
クロウト好みのブサ可愛さ
個人的には跳ね馬なんだからシューティングブレークというよりブレッドバンと呼びたいFF。GTC4ルッソはよりわかりやすい格好をしているけれど、FFはちょっととっつきにくい。そこがいい。見ていて飽きない。
ドライブフィールはまだまだ現役バリバリだ。初乗りの跳ね馬で初めていきなり全開にできたという記憶が蘇る。そんなフェラーリはFFより過去にはなかった。
プロサングエが登場した今、FFやGTC4ルッソの中古車相場はおそらくもう少し下がるかもしれない。プロサングエは4ドアのSUVスタイルであるにも関わらず、FFよりも断然スポーツカーらしく走るからだ。けれどもボクは石田さんと同じく、FFのブサ可愛さが何より気に入っている。ある意味、史上最もシロウトには魅力のわかりづらい跳ね馬だ。クロウト好み、ツウを気取ってみるのも一興ではなかろうか。