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Cruise Origin
タクシー需要が拡大する日本
日本における自動運転タクシーサービスは、ビジネスチャンスが非常に大きいとされている。大都市ではタクシー需要が高いため、日本は世界最大級の自動運転市場のひとつになる可能性を秘めているからだ。また、大都市圏では、ドライバー不足が続いており、利便性の高い交通手段も求められているため、新しい交通形態へのニーズも高まってきている。
これらの需要に対応するために、新会社はGM、クルーズ、ホンダの3社が「人」を中心に共同開発した自動運転専用車両「クルーズ・オリジン」を活用。この車両は6名の乗客が向かい合って座ることができ、これまでにない新しい方法での快適な移動を実現する。
クルーズCEOのカイル・ヴォクトは、日本においてサービスを展開することについて次のように説明する。
「日本では、安全で利便性の高い交通手段に対する重大な社会的ニーズが高まっており、自動運転車両にはそのソリューションを提供できる可能性があります。社会的な影響に加えて、日本は世界最大の自動運転タクシーサービス市場のひとつになると、我々は考えています。日本には、交通手段が重要な人口密度の高い都市が多く存在するため、ビジネスチャンスも大きいと言えるでしょう」
電動自動運転実現に向けた3社の取り組み
GMは、同社が掲げるビジョン「事故ゼロ、排出ゼロ、混雑ゼロ」の未来に向けて、様々な取り組みを続けており、2016年から電動自動運転車両の開発で業界をリードするクルーズに投資を行ってきた。今回、クルーズ、ホンダと、2026年初頭から日本で自動運転タクシーサービスを開始するため、新たなジョイントベンチャーの設立に関する覚書に締結している。
GMの会長兼CEOを務めるメアリー・バーラは、今回の取り組みについて次のようにコメントした。
「GMは常に交通手段の未来を切り開くことに投資してきましたが、それが今回、これまで以上に現実に近づいたと言えるでしょう。安全性からアクセスビリティまで、自動運転車両がもたらす恩恵は、非常に大きくなっています。クルーズ、ホンダとの重要なパートナーシップを通じて、私たちはソフトウェアとハードウェアにおける最先端の専門知識を活用しながら、世界中のより多くの人々が必要な場所に移動できるよう、イノベーションを推進したいと考えています」
2026年に東京でサービスを開始予定
自動運転タクシーサービスは、自動運転専用車両クルーズ オリジンが指定場所まで迎車し、目的地に到達するまで全てが自動運転で行われ、配車から決済まで全てスマートフォンのアプリで完結するタクシー配車サービス。2026年初頭に東京都心部で開始予定となっており、まずは数十台からスタートし、500台規模での運用を見込んでいる。その後、順次台数を増加させ、サービス提供エリアの拡大を目指していくという。
クルーズ オリジンの開発にあたり、GM、ホンダ、クルーズは、製造・ソフトウェア・開発プロセスにおいて、それぞれ独自のスキルと能力を発揮。GMが、ミシガン州デトロイト・ハムトラミックのEV組立専用工場「ファクトリー・ゼロ」において、約500台のクルーズ オリジンを生産する予定だ。
ホンダの三部敏宏グローバルCEOは、今回の発表を受けて次のようにコメントした。
「ホンダが目指すのは『自由な移動の喜び』の創造です。今回のクルーズとGMとの協業による自動運転タクシーサービスを通じて、日本のお客様に新たな移動の価値を体験いただき、人々の移動の質を高め、移動の喜びを環境負荷ゼロで、さらにより安全に提供します。これは、先進モビリティ社会の実現に向けた大きな一歩です。この新しい価値創出の実現にむけ、クルーズとGMと邁進してまいります」
クルーズ オリジンは、10月28日〜11月5日にかけて、東京ビッグサイトで開催される「ジャパン モビリティショー 2023」のホンダ・ブースで展示される。