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装備配置が絶妙な運転席周辺 後席居住性と荷室容量は格別
日本の道にジャストなサイズ、使い勝手が魅力のコンパクトトールワゴン、プチバンの代表格がソリオ。5ナンバーサイズながらあえて幅狭のナローボディ(全幅1645mm)として、大開口両側スライドドア、低床、そしてスーパーハイト系軽自動車のスペーシアなどに見られる工夫による広大な室内空間といった生活密着型のパッケージが魅力となる。
エクステリア
四代目となる現行モデルは、扱いやすさを損なわない範囲でボディサイズを拡大。ボディ全長を伸ばした分は先代ユーザーの要望に応え、ラゲッジルームの奥行き(+100mm)に充てられている。ライバルの3気筒に対して4気筒となるアドバンテージをもつ1.2lエンジンは、コスト高かつラゲッジルームの床下が犠牲になりがちなフルハイブリッドではないマイルドハイブリッドが基本(1.2lガソリンもあり)。
乗降性
エクステリアデザインはボンネットが高く、今風の堂々としたフロントマスクが与えられたことで、車格感はクラスを超えている。標準車とカスタム系のバンディットを揃え、顔つきが異なるのはもちろんだ。スズキセーフティサポート装着車なら先進運転支援機能はまずまずの内容と言ってよく、6エアバッグを全グレードに標準装備している点は注目に値する。
運転席に乗り込めばセンターメーターはドライバー側に向けられ、視認性は文句なし。さらにカラーヘッドアップディスプレイも用意し、運転視界から目をそらさず視認できるだけでなく、各種インフォメーションのほか、ナビの簡易案内表示も投影。運転が不慣れなドライバーでもルート案内が確認しやすくなっている。
インストルメントパネル
そしてスズキの軽自動車づくりのノウハウが生きる運転席まわりの収納の豊富さも自慢だ。特に運転席左シートサイドのスマホポケットの便利さ、USBソケットとの位置関係は感動に値するほどである。ソリオは後席居住空間の広さも圧巻だ。
身長172cmの筆者のドラポジ基準で頭上に215mm、165mmのスライド量をもつ後席を最後端位置にセットすれば、膝まわりに最大360mmというMクラスボックス型ミニバン並みのスペースが出現。フラットフロアもあって、足がゆったり組める下克上的居住感覚が得られる。
居住性
また、スライドドア部分のサイドウインドウに備わるロールサンシェードと頭上にあるスリムサーキュレーターによって、1年中、快適にドライブを楽しむことができる。奥行きを100mm伸ばしたラゲッジルームの使い勝手も抜群だ。なんと定員分の機内持ち込みサイズのキャリーケース5個を積載できるほか、床下にも大容量トランクを完備する。
うれしい装備
月間登録台数 2900台(21年11月~22年4月平均値) 現行型発表 20年11月 WLTCモード燃費 19.6 km/l※「G」を除くFF車
ラゲッジルーム
ソリオは走りの面でもクラスベストと断言したい。ステアリングは軽く扱いやすく、微力とはいえモーターアシストをもつ〝4気筒〞エンジンならではのスムーズな出足、そこからのゆとりと静かさが際立つ動力性能、加速力の満足度は極めて高い。
ボディ剛性の高さを実感できる乗り心地はこのクラスとして例外的な上質さがあるもので、実にマイルドでしなやかな乗り味を示す。特にマンホールや段差越えでのいなし方は秀逸。ロングドライブでの乗員の疲れにくさもクラス最上級なのである。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.142「2022-2023 コンパクトカーのすべて」の再構成です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/142/