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往年のミッドシップレーシング 「718」の名を受け継いで
2021年にデビュー 25周年を迎えたボクスター。初代モデルはAピラーより前のフロントセクションを911と共通とし、ミッドシップでオープン、リヤサスペンションは911に比べると簡素なストラットでコストを抑えつつ爽快なポルシェのエントリーモデルとして生まれてきた。瞬く間に人気者となって、芳しくなかったポルシェの業績を見事に回復させた。
エクステリア
現在では718ケイマンとともに、911ベースのコストダウンモデルではなく、両雄並び立つスポーツモデルという立ち位置となっている。現行モデルは16年に登場。1950年代に活躍した4気筒エンジン+ミッドシップの718というレーシングカーにちなんだ数字をつけた車名にするとともに、時代の要請によりダウンサイジングターボ化されたのが特徴だ。
インテリア
フラット6NAに代えて搭載されたフラット4ターボは、不等長エキマニのため、昔のスバル車のようにドコドコドコッという独特のビートを発する。それをワイルドでやんちゃなキャラクターと好意的に受け止める向きもあったが、多くのファンは失望。それもあってか、19年には718スパイダー、 20年には718ボクスターGTS4.0の6気筒NAが相次いでラインナップに加えられた。ダウンサイジングターボは環境性能対応だったが、ピエゾインジェクターや気筒休止などの採用でフラット6NAでもクリーンにすることができたのだ。
走る楽しさは圧巻! 911より上かもしれない
フラット4ターボは、低回転から図太いトルクを発生。Sの2.5バージョンではガソリン・ターボには珍しいVTG(可変ジオメトリーターボ)を採用してレスポンスも抜群にいい。路面変化が激しく、アップダウンが多いワインディングロードなどを走らせると、いついかなる場面でもアクセルを踏み込んだ瞬間からグイッと頼もしく加速体制に移る性能に文句の付けようはない。ピックアップの良さは、直列も含めれば数多ある4気筒ターボの中でも異色の出来だろう。ただし、前述のようにフィーリングは好ましくないという人も少なくない。
うれしい装備
Country Germany Debut 2016年4月(ボクスターT追加:20年6月) 車両本体価格 807万円〜1404万円
それに比べるとフラット6NAは夢のように官能的だ。特有のビート感などはなく、上質で滑らかかつ鋭く吹け上がっていき、トップエンドでは突き抜けるような快感がある。フラット4ターボのレブリミットが7500rpmなのに対してスパイダーは8000rpm、GTS4.0は7800rpm。上限が引き上げられているだけではなく、回転が高まるに連れて尻上がり的にパワーとサウンドが盛り上がっていく。ハンドリング性能はミッドシップのメリットを活かして世界トップレベル。911よりもコーナリングでの楽しさは上といってもいいだろう。ただし、リヤサスペンションは911がマルチリンクなのに対してストラットなので絶対的な性能は一歩譲る。そういったヒエラルキーはあるものの、楽しさでは勝っているのだ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.143「2022-2023 スポーツカーのすべて」の再構成です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/143/