はじめて買ったイギリス車! 45万円の激安ジャガーSタイプは大当たり? 中古輸入車購入必勝法【ジャガーSタイプ・オーナーズレポート vol.2】

アシに使っているジャガーSタイプの記事が予想外に反響が大きく、少々戸惑いを感じている筆者。前回はジャガーSタイプの車両概要を紹介したので、第2回目となる今回は購入の動機と経緯についての話をしよう。激安ジャガーは絶好調! アシに乗るには価格も安く、信頼性・整備性も良好なのでかなりお気に入りの1台だ。

趣味車とアシ車の二刀流! 27台目の愛車にジャガーSタイプを選んだワケ

第1回は筆者がアシに使っている2004年型ジャガーSタイプ3.0V6(シリーズ3)の車両紹介をさせてもらった。そこで今回はなぜこのクルマを選んだのか? 購入の動機と経緯をお話したいと思う。

今、不人気モデルが狙い目? コミコミ45万円!で購入した中古の「ジャガー」は本当にドロ沼なのか!? 【ジャガーSタイプ・オーナーズレポート vol.1】

現在、筆者が愛用しているクルマが2004年式ジャガーSタイプ 3.0V6だ。2019年に走行距離4万7000kmの個体を車両価格35万円(総額45万円・車検2年付)で購入した。走り良く、快適で、大きなトラブルもなく、大変満足している。今回はそんな筆者のジャガーSタイプについてレポートしていこう。 REPORT:山崎 龍 PHOTO:MotorFan.jp

運転免許を取って32年。これまでの人生を振り返れば稼いだカネの7割くらいをクルマにつぎ込んできた。その結果、これまで乗り継いできたクルマは28台(ジャガーのあとにもう1台購入)。クルマを頻繁に買い換えているように思われるかもしれないが、複数所有が当たり前の生活なので買ったクルマのほとんどは短くても2年は乗っている。
愛車遍歴28台のうち新車は3台のみ。あとは中古車、それも大半が30万円程度で買える激安中古車で、その8割が輸入中古車だ。

はじめてのイギリス車、初めてのジャガー

これまでイタリア・フランス・アメリカのクルマを好んで乗り継いできたが、なぜかイギリス車と縁がなく、クラシック・ミニやMGなどは何度か買おう思ったのだが、狙っていたクルマが売れてしまったり、お金の都合がつかなくなるなどして購入に踏み切るところまで至らなかった。
そこでジャガーの前に乗っていたアシ車、10万円(!)で買った2005年型シトロエンC5が車検直前にエアコンが壊れたことをきっかけに、27台目の愛車として英国車を一度は買ってみようと心に誓ったのであった。

2017年に知人の中古車店の下取りで入ってきたシトロエンC5を車両価格10万円(総額20万円)で購入。久しぶりにハイドロ・シトロエンに乗りたくなり、手持ちのプジョー306カブリオレとルノー・シュペールサンクを手放して購入(どちらも捨て値で買ったので購入金額より高く売れた)。独特の乗り味には満足していたが、車検直前にエアコンが壊れたので、元々が安かったのもあり修理する気にはなれず5万円で手放した。

目をつけたのが中古車相場の安いジャガーだ。
じつのところ伝統の直列6気筒エンジンを積んだX300型XJが欲しかったのだが、たまたまそのときに良いタマがなかったので、次善の候補車としてSタイプに狙いを定めることにしたのだ。それがコロナ前の2019年夏のことである。

他店の軒先を借りて営業する怪しげなブローカーから購入

中古車サイトと睨めっこしつつ、当たりをつけたのが埼玉某所の中古車店。中古車店と言っても他店の軒先を借り、オッサンがひとりで切り盛りしている無店舗業者だったので、実質的には中古車ブローカーである。

ジャガーSタイプでいちばん気に入ったのはルーフから繋ぎ目なくなだらかに続くCピラー。サイドパネルとルーフを溶接後に繋ぎ目を埋めているのだろう。ジャガーらしいエレガント差を感じるポイント。

展示場で見せられた2004年型ジャガーSタイプはまずまずのコンディションだった。
店側は「記録簿はないけど実質ワンオーナー車」などと眉唾のことを言う。売り口上なだけに頭からは信じられないが、各部をチェックするとたしかに内外装は悪くないし、メカのコンディションはまずまず。ルーフトリムも当時は垂れ下がっていなかった。走行距離4万7000kmで車検2年付き、これで車両価格35万円(総額45万円)ならまあ悪くない。その場で購入を決め、書類にハンコを押して契約と相成った。

ホイールは17インチで、タイヤは235/50R17のレグノGT9000が装着されていた。攻めた走りをするわけでもないので、タイヤは購入時のまま。溝はまだあるが、古くなってきたのでそろそろ買い替え時か。

拍子抜けするほどトラブルがないジャガーSタイプとの3年半

それから3年半の間に約1万2000kmほど走ったが、マイナートラブルを除けば今のところ重大な故障は出ていない。
・電動パーキングモーターの故障
・ルーフトリム(内張り)の垂れ下がり
・バッテリー回交換
以上がその内容だ。
ただ、購入時に下回りをチラ見しただけだったので気が付かなかったが、買ったのがやはりロクでもない店だったようで、ブッシュやブーツが切れたのを黒いビニールテープで修繕しているのを後日発見(ワンオーナーという話が本当なら前オーナーの仕業ではないだろう)したが、これは前回の車検時に懇意にしている街の整備工場で汎用パーツを使って修理した。

メーカー純正カーナビの更新はとっくに止まっており、地図情報には新東名もマッカーサー道路(東京都市計画道路幹線街路環状第2号線。2918年供用開始)も表示されないが、頭の中で新しい道路を加味しながら運転しているので実用上は問題ない。カーナビは道路選択の参考程度。クルマの本質とは関係ないアクセサリーと思っているので、付いていればなんでもいいのだ。

前回の車検はブッシュとブーツの全交換を含めて20万円でお釣りが出た。ディーラーに修理に出したらサスペンションアームごとアッセンブリー交換になっていたはずで、下手すれば100万円コースの出費となっていただろう。
知恵と工夫と味方になってくれる街工場を駆使して安く愛車を維持するのも激安輸入車に乗る醍醐味である。

オイル交換など簡単なメンテナンスはDIYでこなす。整備性は良好。パーツへのアクセスも良いので簡単な修理ならDIYでも問題なくできる。こういうところはフォード流のDNAが入っていることを感じさせる。オイル受けに足を引っ掛けて廃油をこぼしたのは秘密だ(笑)

フォード資本時代のクルマであり、所謂「なんちゃってジャガー」などと揶揄されることもあるが、なかなかどうして乗り味は”ジャガーネス”がちゃんとあり、結構イギリス車している。
今となっては”枯れた”技術で作られたクルマなので構造も比較的単純。整備性も良好。最近のクルマと違って人間の感覚から離れた制御が入ることが一切なく、筆者的にはストレスなく運転できるのも美点のひとつとして数えられる。
また、昨今流行の直噴エンジンと違ってスラッジの問題に悩まされることもなく、タイミングチェーンを採用しているのでタイミングベルトの交換時期に煩わされないで済むのも維持する上でのメリットだ。

安く買って安く楽しむ! 壊れたらスッパリあきらめる!
激安輸入中古車は付き合い方を割り切ればパラダイスなのだ!

ジャガーの評判、ましてや激安中古車ともなれば評判は散々で「やれすぐに壊れる」だの「やめとけ」だの「修理代が購入金額の倍かかる」だの言われることが常なのだが、今のところ筆者のジャガーは大きな故障もほとんどなく、維持にさほどお金もかからず調子よく走っている。

■Specifications
全長×全幅×全高:4905×1820×1445mm ホイールベース:2910mm 車両重量:1720kg エンジン:2967ccV型6気筒DOHC24バルブ 最後出力:243ps/6800rpm 最大トルク:30.6kgm/4100rpm 燃料供給装置:電子制御燃料噴射 トランスミッション:6速AT 駆動方式:FR ステアリング形式:パワーアシスト付ラック&ピニオン サスペンション形式(前後):ダブルウィッシュボーン ブレーキ形式(前後):ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ(前・後):235/50R17・235/50R17 新車価格:690万円(税抜)

所詮は激安中古輸入車だ。初回の車検まで乗れれば問題はない。それ以上乗ることができれば充分元は取ったことになる。筆者のジャガーは大過なく一度目の車検は通したから文句はない。仮に今後、大きな故障が出たとしても、そのときはスッパリ諦めて別の激安中古車を買えばいい。中古車市場には捨て値で投げ売りされている中古輸入車がいくらでもあるのだ。激安中古輸入車の掘り出し物を見つけてを乗り継ぐカーライフも意外と楽しいのである。

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著者プロフィール

山崎 龍 近影

山崎 龍

フリーライター。1973年東京生まれ。自動車雑誌編集者を経てフリーに。クルマやバイクが一応の専門だが、…