高度な安全装備を搭載するコスパ抜群の軽セダン「スズキ・アルト」【最新軽自動車 車種別解説 SUZUKI ALTO】

2022年の国内販売台数2位の「スズキ」の“軽自動車はゲタがわり”のアイデンティティの象徴が「アルト」。1979年の初代の発売以来、コストパフォーマンスの高さは長く変わっていない。大きめのヘッドライトやピラーを立てたエクステリアなど、スタイリングは踏襲しつつ、シンプルながらも高いレベルの安全機能を装備。街中はもちろん高速や山道でも軽快に小気味良く走る。
REPORT:佐野弘宗(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:河辺ほのか

視界が良好な低重心フォルム 高速や山道も小気味良く走る

「軽自動車はゲタがわり」というスズキの軽自動車思想を最も端的に表現したのがアルトだ。

エクステリア

ミラー・トゥ・ミラーは1745㎜と実際の取り回し性能でも有利なボディなのはうれしい。ベーシックカーに上品な彩りを添えるツートーンカラーはエントリーグレード以外に設定される。最小回転半径は4.4m。

初代アルトは1979年に47万円の衝撃価格で世に出たが、21年発売の最新アルトのスタート価格は税抜きで86万円切り。当時と現在の大卒初任給には約2倍の開きがあるから、実質的には今のアルトの方が安い!

インストルメントパネル

助手席前に見えるブルーの大きなパーツはSRSエアバッグを納めたものだが、インパネ全体の立体感を表現したアクセントになっている。ボックスティッシュが収まるフロアコンソールトレーなど収納スペースも充実している。

また、宿敵ミライースに額面的にはより安価なモデルがあるのは事実だが、アルトはサイド&カーテンエアバッグや後退時の衝突軽減ブレーキなどミライースにはない安全機能が備わり、さらに電動可倒ドアミラーまで全車標準装備であることを考えると、アルトの方が買い得といっていい。つまり、現在手に入る乗用新車では最もコスパが高い。

居住性

太めの特徴的なヘッドライトやリヤクオーターピラーに先代アルトの雰囲気を残しつつも、ピラーを立てたパッケージレイアウトなので室内は広く、視界も良く、見切りもいい。内装も加飾を省くのを前提にデザインされており、最安価な「A」でも意外なほど安っぽさはない。

うれしい装備

透過ディスプレイを使うヘッドアップディスプレイはカラータイプ。視線移動を最小限とする安全装備だ。
ハイブリッドは運転席シートヒーターを標準装備。廉価グレードでも4WDならば助手席側も標準装備だ。
月間販売台数    2942台(22年7月〜12月平均値)
現行型発表      21年12月
WLTCモード燃費   27.7km/l ※「ハイブリッドFX」「ハイブリッドS」のFF車  

ラゲッジルーム

走りもいい。フロントスタビライザーがつかない街なか重視のフットワークだが、もともと軽くて低重心なので高速や山坂道でも活発に小気味よく走る。体感動力性能はハイブリッド=ISGの有無でほとんど変わりない。いやはや、こんなクルマが高度な安全装備込みで100万円を切るとは、昨今の物価高を考えてもありがたいというほかない。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。

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