高価な部品代はアフターパーツで対応! トラブルはDIYで修理できるか? 格安中古輸入車との付き合い方【BMW Z4オーナーレポート vol.6】

ついにBMW Z4を購入し駆け抜ける喜びを満喫するものの、そこはさすがに18年落ちの中古輸入車。諸々のトラブルが出るのは仕方ない。そしてさすがBMW、部品代が高いのも宜なるかな。とはいえ、いつまでも放置しておくわけにはいかないので修理していくことになるのだが……。

前回、メーター上にエラーが表示されたことから、テスター診断を実施。その結果、DSCプレッシャーセンサーとATニュートラルセーフティスイッチ(ATシフトポジションセンサー)の不具合が判明した。
DSCプレッシャースイッチがダメになると、ブレーキ作動には問題ないものの、ABSやDSCが作動しなくなってしまう。
そして、ATニュートラルセーフティスイッチが完全に故障してしまうと、エンジン始動ができなくなってしまう。

程度が良くても18年落ちの中古輸入車に故障はつきもの……しかも部品代がさすがBMWは高級車だった! DIYで直せるか!?【BMW Z4オーナーレポート vol.5】

ついに購入に至った98万円のBMW Z4。いよいよBMWの直列6気筒エンジンで「駆け抜ける喜び」を満喫……する前に、不調箇所ををチェック! 程度は良くても22年落ちの中古輸入車だけに油断は禁物だ。

いずれにしても早急な修理が必要だ。但し、部品代が高価なので、今回の修理はDIYに挑戦することにした。申し訳ないことに、PCトラブルのため当時の交換部品と作業風景が無いことを先にお詫びしたい。

部品代は1個3万円!? DSCプレッシャーセンサーを交換する

DSCプレッシャーセンサーはココ。

まずは、DSCプレッシャーセンサーの交換だ。
交換自体は簡単で、センサーのソケットを外し、センサー本体の六角形の部分にスパナ等を当てて、緩めて外すだけ。装着時は、逆の手順となる。ただ力を入れ過ぎると、ブレーキマスターシリンダーの取付部のネジ部やセンサー自身を傷めてしまう危険があるので丁寧な作業が大切だ。何しろセンサー1個で約3万円もするのだから……。

ピンクと紫の矢印が指しているあたりの黒いカプラーが繋がっているのがDSCプレッシャーセンサーで2個付いている。交換はカプラーを外して工具でセンサーを外すだけ。センサーが付いているシルバーの部分がブレーキのマスターシリンダー。写真奥の黒いのがマスターバック。写真左上がリザーバータンクという位置関係。

センサーの交換後には、ブレーキマスターシリンダーの装着部品のためエア抜き作業が必要にとなる。もしセンサー交換時にエアを噛んでしまうと、BMW専用診断機でないと作業が出来ないようだ。そこで前回診断を行ってくれた業者さんに協力してもらい、BMW専用診断機によるエア抜き作業を実施した。

テスターがブレーキ内部に圧力をかけるので、結構賑やかな音がする。エア抜き作業自体は10分ほどと記憶する。交換後は再び診断機でセンサーの計測値を確認して、数値に問題が無ければ修理完了だ。このため、ディーラーやプロショップで交換してもらう方がベターかも。ただし、その場合は工賃の負担軽減のためにも2個同時の交換となるのだろう。
ちなみに、ネットオークションで激安の中国製センサーも売っているが、すぐに駄目になることもあるそうだ。

ATニュートラルセーフティスイッチは車体下側からアクセス

続いて、ATニュートラルセーフティスイッチの交換。
これはトランスミッションの側面に装着されている部品なので、ガレージジャッキとリジットラックで、車体の下に潜り込むスペースを確保しなくてはならないが、最低地上高の低いZ4ではガレージジャッキを潜らせるスペースもないため、スロープが必須。

ジャッキで車体を持ちあげたらリジットラックで固定して、トランスミッション付近に潜り込む。スイッチ自体の取外しは簡単で、決まった向きにしか装着できないので迷うことはない。ただトランスミッションに繋がる太いケーブルの取り回しは確認して置いた方が良い。ケーブルが垂れ下がらないように、車両側にひっかける場所があるのだが、床下で見えにくいこともあり、探すのに少々手間取ったが、無事終了。
トランスミッションの周辺にゆとりがあるFR車で助かった。FF車だと手が入りにくいとか、他の部品を外す必要があるなど難易度も上がるようだ。

マイナートラブルだけど放置はできないのでボンネットオープナーを修理

オープナーの故障でボンネットが一人では開けられない状況に。

想定外だったのが、ボンネットオープナーの交換だ。ワイヤーが伸びており、室内側のレバーを引いても、ボンネットが持ち上がらない状況。現状では、レバーを引きつつ、ボンネットを持ち上げることで開閉できたが、二人いないと開閉できないし、いずれ開かなくなるのも明白だ。新品部品も入手できたことから、交換を決断した。

ウォッシャータンクと右側ヘッドライトの間にあるボンネットオープナーの接続部分。ここはまだアクセスしやすい。

ボンネットオープナーは、室内側とエンジンルーム側の二部品で構成されており、右側ヘッドライト後ろあたりに、互いを結ぶ接続箇所がある。エンジンルーム側は、目隠しとなるラジエーターコアサポート上のパネルを外せば、全体が見えるので作業は難しくない。

ケーブルは写真に追記した線の位置に張られている。

厄介なのは、室内側だ。レバーとワイヤーを外すためには、アクセルペダルや内張りを外すことが必要。さらにバルクヘッドには、室内とエンジンルームを結ぶ穴が開いているのだが、当然、水などが侵入しないように、頑丈なゴムカバーが付いている。そのゴムの穴の中にケーブルを通すのが、大変なのだ。基本的には、力業の一択。グイグイ押し込むしかない。大汗をかきながら、なんとか作業を完了した。特に技術は要らないが、もう一度は勘弁して欲しいというのが本音だ。

Z4の運転席レッグルーム。写真右のレバーがボンネットオープナー。ここからワイヤーがバルクヘッドを通ってエンジンルームに続いている。

トランクダンパーはアフターパーツで修理費用を圧縮

仕上げはトランクダンパー。
こちらもヤフオクで中国製の格安品が見つけられるが、取付こそ問題はないものの、ダンパーの力が強すぎて簡単に閉まらないなんて笑えない状況になることもあるとか。幸いにも、ネット通販のパーツ屋さんで、海外の大手サプライヤー製のアフター品を発見。嬉しいことに、値段も中国製とそう変らないので即注文。交換作業もドライバーがあれば即完了だ。
ダンパーがへたっているならば、費用対効果が高いので交換をお勧めしたい。ただトランクやテールゲートの重量があるものは、交換中に下がってきて危険なので、注意しつつ、片側ずつ交換していくようにしよう。

とりあえず、早急に必要な修理を完了したZ4。DIYが誰にもお勧めとは言えないが、自分で作業することで、より愛車の理解は深まったと思う。
さて、これですべて解決とならないのが中古車ライフのお約束? 次のトラブルが待ち構えていることを、この時の私は知る由もなかった。
続く……。

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著者プロフィール

大音安弘 近影

大音安弘

1980年生まれ、埼玉県出身。幼き頃からのクルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後…