ドライビングの楽しさは911を凌ぐ「ポルシェ 718ケイマン」【最新スポーツカー 車種別解説 PORSCHE 718 CAYMAN】

911よりも小さくて軽く、軽快に走る「ポルシェ 718 ケイマン」。16年の3代目のデビュー時には2.0ℓと2.5ℓの水平対向4気筒ターボエンジンのみだったが、19年には「馴染みのポルシェらしさ」に立ち返り、4ℓ水平対向6気筒自然吸気エンジンも加え3パターンのパワーユニットをラインナップした。トルクが太くリズミカルな加速感のターボ車、美しいサウンドをじっくりと楽しむ自然吸気と、どちらにしてもシャープな回転性とハンドリングは変わらず特筆に値する。
REPORT:石井昌道(本文)/工藤貴宏(写真解説) PHOTO:平野 陽

往年のファンも納得する6気筒NAの快感フィール

2シーター・ミッドシップ・クーペのケイマンの現行モデルは3代目で2016年にデビュー。このモデルから718が車名に付けられた。当初の最大の話題は、エンジンが従来の水平対向6気筒NAから水平対向4気筒ターボへ換装されたこと。パフォーマンスは上がったが不等長エキゾーストゆえに独特のビート感があり、そのフィーリングはあまり評判のいいものではなかった。

エクステリア

「オープン専用車『ボクスター』の固定ルーフ版」として捉えるのも間違いではない。しかし、スポーツカーという視点から見ると「911よりも小さくて軽く、軽快に走るポルシェ」という立ち位置も担っている。エンジンはシートの後ろかつ後輪の中心よりも前に積む。
ミッドシップの後輪駆動スポーツカーゆえに、ケイマンは全車とも後輪のサイズがひとまわり大きい。「GTS 4.0」は20インチの「718sportホイール」を標準採用。

それを受けてか、19年には水平対向6気筒NAのGT4(420㎰)、20年にはそのデチューン版のGTS4.0(400㎰)が発売され、往年のファンからも支持を受けることになる。21年登場のGT4 RS(500㎰)は別モノの水平対向6気筒NAを搭載し、ロードゴーイング・レーシングカーと呼べるほどスパルタンだ。RRの911よりも回頭性がシャープでハンドリングが楽しめるのが718ケイマンの美点ではあるが、リヤサスペンションがストラットで、マルチリンクの911ほどにはスタビリティやトラクションが高くないことで差がつけられている。とはいえ、あくまでポルシェ同士の比較であり、718ケイマンのシャシー性能は一級品だ。

インテリア

スポーツカーらしいT字型レイアウトのダッシュボードに、昨今のポルシェの定番となっているスロープ状のセンターコンソールを組み合わせる。メーターは中央を大きなタコメーターとする伝統的なスポーツカースタイルだ。カーボンのパネルやバックスキン調のステアリングなどはオプションにてコーディネート。
ケイマンのシートはいくつかの形状から好みに応じて選べ、「GTS4.0」は「スポーツシートプラス」を採用する。標準シートに対してサイドサポートの張り出しが大きい。フルバケットシートも選択可能だ。
撮影車両のトランスミッションは2 ペダルのDCT(ポルシェの呼び名は「PDK 」)だが、ほとんどのグレードでMTを選べるのも718ケイマンの魅力。
アクセルペダルは下側を支点とした、いわゆるオルガン式。低い運転ポジションに合わせて角度はかなり立っている。

ターボはフィーリングが好きになれないというファンが多いが、トルクが太くてリズミカルに加速していく躍動感がある。一方のNAは綺麗な吹け上がりをじっくりと楽しめる。前者はPDK、後者はMTをチョイスするのがオススメだ。

Country       Germany
Debut         2016年9月(スタイルエディション追加:22年11月)
車両本体価格     840万円~2024万円

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.151「2023-2024 スポーツカーのすべて」の再構成です。

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