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剛性向上や専用チューンング 俊敏な走行性や操舵感は別格
先代の後半には販売比率が極端に落ち込んだ時期があり、新型ではアルファードと統合されるとウワサされたのは本当だったことが、発表会の場でも明らかにされた。ところが、社内で猛反発の声が上がり計画は一転。かくしてヴェルファイアは、ヤングアットハートなユーザーに向けて、「素直にカッコイイと思える意匠や、ドライビングプレジャーを感じられる運動性能を付与しようと考えた」と開発責任者が述べるとおりの性格が与えられた。
エクステリア
アルファードがこれまでの路線を踏襲したのに対し、ヴェルファイアには「Zプレミア」のような個性が際立つグレードを設定したり、走りの味付けを明確に差別化したのは、歴代で初めてのことだ。ただし、見た目の違いはむしろ小さくなったように見受けられ、意外にもめっきの部位が従来型よりもだいぶ少なくなっている。走りに関しては、アルファードと同じく新たにTNGAのGA-Kをベースに開発したプラットフォームを用いるとともに、足まわりをしっかりと動かすために車体剛性を従来比で50%も引き上げ、サスタワーやリヤのホイールハウスなどの着力点についても30%向上させている。
乗降性
床下にはブレースを追加したほか、アンダーボディに従来比で5倍もの長さの構造用接着剤を施し、剛性を高めたいところと振動を吸収させたいところで硬さを使い分けて最適に配したという。また、タイヤを新規開発したほか、路面の入力に合わせて減衰力を変える周波数感応型ショックアブソーバーを採用することで、ロードノイズや乗り心地の向上を図っている。
インストルメントパネル
これらにより振動を従来の約3分の1まで低減させることができたという。また、新たにシートに防振構造を採用するとともに、2種類のパッドを適材適所で使い分けたことも効いて、2列目で従来は見受けられた微振動もかなり払拭されている。その上でヴェルファイアは、サスペンションを専用にチューニングしたほか、19インチタイヤを標準設定としたり、フロントにパフォーマンスブレースを追加するなどして、あえてヴェルファイアを選ぶユーザーが好みそうな俊敏な操舵応答性と接地感を追求したという。
居住性
アルファードと乗り比べると違いはすぐにわかる。ステアリングにしっかりとした手応えがあり、グリップ感が高く、操舵するとよりクイックに回頭する。足まわりが強化されたことで路面への感度が増していくぶん凹凸を感じやすくなっているが、不快には感じない程度の絶妙なさじ加減だ。さらに、ヴェルファイアの「Zプレミア」のみに設定された2.4ℓターボエンジンが伸びやかな加速を楽しませてくれる。同乗者への配慮からか唐突に加速しないよう、低〜中速域のトルクはやや控えめな特性とされているものの、踏み込んだときの吹け上がりは爽快だ。
うれしい装備
月間販売台数 1415台(23年5月~10月平均値) 現行型発表 23年6月 WLTCモード燃費 17.7 ㎞/ℓ※「Z Premie(r ハイブリッド)」のFF車
ラゲッジルーム
ハイブリッドとの車両重量の差は大きくないが、ドライブフィールはずっと軽やかで気持ちよく走れる。ヴェルファイアが存続し、こうしてより相応しい形でラインナップされたことを喜ばしく思うとともに、納期の問題が早く解消するよう願う。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.155「2024 最新ミニバンのすべて」の再構成です。