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「CONSORSO DI REPLICA CAR(コンソルソ・ディ・レプリカカー)」にエントリーされtレプリカマシンのうち、旧車は2台。1台がアドバンカラーのツーリングカー仕様のパブリカ・スターレット(KP47)。そしてもう1台がスバル360だった。
どちらかというとラリー寄り、時代的に1990年代〜2000年代がメインのエントラントの中でも、1960年代のしかもサーキットレース仕様のレプリカはやはり目を引くものがあった。
ダートトライアル静岡県チャンピオンは旧車好き?
1968年式スバル360デラックスは一桁ナンバー!!
オーナーのきょ〜と360さんは以前はスターレット(KP61、EP71改)やカローラレビン(AE86/2ドア)でダートトライアルに参加しており、1991年には静岡県シリーズのC1クラスチャピオンを獲得した実力派。それとは別に古いクルマも好きで、スバル360は学生時代にトミカをもらったり、「てんとう虫の会(スバル360のオーナーズクラブ)」で試乗させてもらったりしているうちに、静岡スバル沼津店に入庫したこのクルマを購入したそうだ。
購入したスバル360は1968年式のデラックス。子供が生まれる前に……との思いもあり、1993年に21万円で購入。以来、31年間スバル360ライフを楽しんでいる。
購入した静岡スバル沼津店て来歴を訊いているみると、驚いたことに近所の床屋さんが所有していた車両だということがわかったそうだ。そのために、前オーナーからナンバーを引き継いでおり、今では希少な一桁ナンバーを保持している。
きょ〜と360さんのスバル360デラックスは1968年式で、モデルライフとしては最終型にあたる(1970年生産終了)。しかし、好みに合わせてフロントフードやテールランプを中期型に換装しているという。
というのも、スバル360のデザイン的な特徴ともなっているボンネット前端のスリットは、初期型が9本(1958年〜1966年)、中期型が11本(1966年〜1968年)だったが、最終型では消滅(1968年〜1970年)している。やはりスリット付きのフードと、丸型のテールランプが好きなのだそうだ。
きょ〜と360さんはイベントに参加する際など、こうした愛車のカスタムポイントをスバル360の豆知識として紹介するリーフレットを配布していたりするという。
当時モノを維持しながら好みに合わせてカスタムしたインテリア
室内に目をやると、スバルワールドラリーチームカラーのシートカバーや、スバル360車名入りクッションなどが鮮やかに目に映る。また、ステアリングも当時の細いステアリングホイールのものではなく、ダートトライアル時代に使用していたインターゲット製をR2/レックス用のステアリングボスを介して装着。ホーンボタンはSTIロゴのものをセレクト。
他にもタコメーターを追加していたり、カセットプレイヤーを追加したり、シガーソケット電源を追加するなどカスタムされているが、空気感はまったく当時のままだ。
できることは自分でやる! コンディション良好で自走で参加!!
きょ〜と360さんが参加したJMSの2日目は晴天に恵まれ絶好のドライブ日和でもあり、自走で会場にまでやってきたという。50年以上も前の旧車で長距離移動が可能なコンディションが維持されているのは流石。大きなトラブルといえば、このクルマでジムカーナに参加した際にクラッチを踏み抜いたことくらいだそうだ。
とはいえ、周囲の360cc軽自動車スペシャリストや仲間の協力も不可欠。パーツの調達に関してもオーナー間のネットワークやスバル360に強いショップに頼りながらも、メカニカルな部分は自分でできることであれば自分でやってしまうのは、競技経験も生きているのだろう。
そもそもシンプルなエンジンまわりは好調で、カストロールの2ストロークオイルにハイオクガソリンを使用することでコンディションを維持している。
実はこれもレプリカマシン?第2回日本グランプリのウィナーカー仕様!
スバル360でレプリカ?と思う読者もいるかもしれないが、これも歴としたレプリカ仕様。しかもスバルワークスのレーシングカーのモノなのだ。
その元ネタは1964年に鈴鹿サーキットで開催された「第2回日本グランプリ」。式場壮一選手のポルシェ904と生沢徹選手のスカイラインGTの名勝負で有名な一戦だ。
レースはクルマのカテゴリーと排気量ごとに全11クラスに分かれており、件のポルシェ904とスカイラインGTはGT-II(1001cc〜2000ccのGTカー)クラス。スバル360は最小排気量のT-I(400ccまでのツーリングカー)クラスだった。
スバルチームはスバル360の性能に自信を持って臨んだ1963年の第1回日本グランプリでスズキ・スズライトに惜敗。雪辱を期してドライバー陣容も車両も万全の体制で第2回日本グランプリに臨み、見事1-2フィニッシュで優勝を飾った。そのウィナーがゼッケン9の大久保力選手である。
そしてなんとボンネットフードの裏側には大久保力選手の直筆サインが記されているのだ。イベントで大久保力選手にこのクルマを直接見てもらう機会があり、サインしてもらったそうだ。
ヘッドライトやテールランプなどの灯火類飛散防止テープも当時のレースカーを模したもの。それとは別に、リヤのピラーにあるインテークダクトに導風カバーを付けたり、ウインドウ上部にひさしを追加している。しかも一見カーボン製に見えるが、これはダイソーで売っているプラスチック板にカーボンステッカーを貼り付けたもので、自称「調カーボン」だそうだ。レーシーな雰囲気を演出するニクイ遊び心と言えるだろう。
スバル360スーパーDX(1968) サイズ:全長2995mm×1300mm×1360mm ホイールベース:1800mm トレッド:前1140mm/後1070mm 車両重量:420kg エンジン型式:EK32型強制空冷並列2気筒2ストローク 排気量:356cc 最高出力:25ps/5500rpm 最大トルク:3.5kgm/4500 トランスミッション:3速MT+オーバートップ サスペンション(前後):トレーリングアーム独立懸架/ラジアスアーム独立懸架 ブレーキ(前後):2リーディングドラム/L&Tドラム タイヤ:145SR10 最高速度:110km/h 価格(発売当時):38万円