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街なかでの取り回しや機能性の高い装備群
初代の登場が1992年。インプレッサWRXという名前で、モータースポーツ界でも大活躍した歴史をもつ、世界的に有名なモデルだ。
エクステリア
出した前後フェンダーを採用することにより、力強さと安定感を表現した。最小回転半径は5.3m。
しかしインプレッサは、歴史を振り返っても、立ち位置や性格や形状が、かなり変化したモデルでもある。現行型は6代目となり、5ドアハッチバックのみの展開となった。コンパクトカーとツーリングワゴンの間の、シューティングブレーク的なイメージで使えるクルマと捉えるのが、いちばんわかりやすいかもしれない。デザイン的にも、よりアウトドア方向に振った兄弟車種、クロスオーバーSUVのクロストレックのおかげもあってか、日常の利便性+スポーティ方向に、わかりやすい性格付けがされている。
乗降性
ボディサイズは、純粋なスバルラインナップの中で、いちばんコンパクトなモデルとなるが、全長4475㎜×全幅1780㎜と、正直なところコンパクトカーと呼ぶには少々大きめ。パワートレインも、水平対向4気筒2.0ℓエンジンのモーターの有無×FFまたはAWDという組み合わせ。カテゴライズ的には、もはやコンパクトカーの領域には入りにくいクルマとなってしまった。しかし、使い勝手の面では、コンパクトカーの主舞台である街なかで十分使いやすいものとなっている。例えば、AWDで17インチタイヤを履いているにもかかわらず、最小回転半径は5.3m。日常の利便性に重きが置かれているのがわかる。
インストルメントパネル
加えて、スバルと言えば「アイサイト」と言われるほど、すっかりお馴染みになった安全運転支援装置ももちろん装着されている。とはいえ、それに頼り過ぎることなく、デザイン力の高さで普通に視界の良さが確保されているのが美点だ。ちなみにアイサイトと言われると、イメージ的にほぼハンズフリーで操作可能な最上級のアイサイトXを思い浮かべがちだが、そちらの設定はインプレッサにはない。ベーシックなものと、セーフティプラスという運転支援装置が加わったものが、グレードにより用意されている。つまり、最上級ではないけれど、基本的にはこれで十二分だ。
居住性
そして乗り味。誤解を恐れずに言ってしまうと、実は先代もかなり良かったので、完全なる正常進化と言っていい。先代から採用された、スバルグローバルプラットフォームの素性のレベルが高いからというのが大きいのだが、クルマのカタマリ感、一体感がしっかり伝わってくるのが最大の美点。ドライバーと対話できるクルマづくりが、きちんとなされているのがわかる。乗り心地に重点を置くと、路面によって街なかでは少々カタメかな? と感じられるところもあるが、操縦安定性の高さはもちろん、ワインディングロードや高速道路では、乗り心地を保ったまま気持ち良くスポーティに走らせてくれる素直さにつながっているのはお見事だ。
うれしい装備
新規デビュー 23年1月13日 月間販売台数 934台(23年6月~11月平均) WLTCモード燃費 19.4km/ℓ※「ST- G」のFF車
ラゲッジルーム
スバルの場合、クルマを設計する上で、独自のBOXERエンジンとシンメトリカルAWDの組み合わせを採用するとなると自由度は少ないのかもしれない。しかし、低重心に仕上げられるという素性の良さを活かしドッシリとした乗り味は他には代えがたいものがある。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.156「2024 最新国産新型車のすべて」の再構成です。