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巧みなモーター制御で高まった走行安定性能
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2022年の新型車の中でも、技術的注目度の高い一台がエクストレイル。可変圧縮比機構を備えたVCターボエンジンと、前後のモーターを個別制御するAWDシステム〝e-4ORCE〞を搭載しているからだ。
エクステリア
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なぜ圧縮比を可変にしたのかといえば、高効率(=低燃費)とハイパワーを両立させたいから。圧縮比を高めれば、膨張する比率も同じ割合で大きくなるから、膨張エネルギーが長く使えて熱効率が高くなる。ところが圧縮比を高めていくと、圧縮された空気がシリンダー内の温度を必要以上に高めてしまい、〝ノッキング〞という異常燃焼が発生してエンジンを壊してしまう。
しかもターボを付けると、過給で圧力が高まった分だけノッキングが起きやすくなるから、圧縮比はさらに下げる必要があり、燃費は諦めざるを得ない。それを両立できるのがVC機構。詳細は日産のウェブサイトで動画を観てほしいのだが、圧縮比を8〜14の間で自在に変化させる仕掛けだ。圧縮比が8なら高過給をかけてもノッキングせず、1.5ℓの排気量から2.5ℓ並みの最大トルクを発生。圧縮比を14にして過給をやめれば、熱効率40%超で稼働できる。
乗降性
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このエンジンを発電専用に使い、起こした電気でモーターを駆動するのが、シリーズ式ハイブリッドの〝e-POWER〞。起こした電気をリヤモーターにも送り、四輪を駆動するのが〝e-4ORCE〞だ。今時のAWDの多くは、前輪の駆動力を摩擦クラッチで後輪にも配分するシステムだが、この機構では、速く回っている車輪から遅く回っている車輪へしかトルクは伝わらない。
遅い速度で旋回しているときは、内輪差で前輪の方が速く回るので後輪にもトルクが伝達できるが、速度が上がってくると車体にスリップ角が付くため、後輪軌跡の方が長くなり、トルク伝達は成立しなくなる。こうした理由で、中高速域での旋回性向上には使えないのだ。
インストルメントパネル
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それがe-4ORCEなら、前後の駆動力(と回生ブレーキ力)配分を、いつでも自在に制御できる。だから旋回性向上はもちろん、発進する際にリヤの沈み込みを抑えたり、減速する際にノーズダイブを抑えたりといったことも可能になる。
居住性
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2WDも用意されており、フロントモーター出力は150kW/330Nmと強力。e-4ORCEはこれにリヤモーターの100kW/195Nmが上乗せされる。最高出力は電力供給能力(エンジン発電+バッテリー出力)で決まるため、2WDもe-4ORCEも150kWだが、前輪に330Nmかけてはホイールスピンしてしまうため、後輪のグリップ力も使えるe-4ORCEの方が加速は2割ぐらい速い。
うれしい装備
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フルモデルチェンジ 22年7月20日発表 月間販売台数 1858台(22年7月~12月平均値) WLTCモード燃費 19.7km/ℓ※FF車
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ラゲッジルーム
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より大きな違いが出るのは、滑りやすい路面での旋回加速。2WD車はカーブの後半で前輪が外へ膨らんで行くが、e-4ORCE的なガソリン車よりずっと曲がりやすい。エンジンは普段は黒子に徹しており、ロードノイズや風騒音が大きくなる速度域を中心に稼働するので、存在感はほとんどない。ところが強めに加速すると、V6エンジンのような澄んだサウンドで吹け上がるという二面性を見せる。
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※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.147「2023 国産新型車のすべて」の再構成です。