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取り外し不可の純正ナビの代わりにパイオニアのNP1を導入
旧車オーナーにとって、地図の更新もできない純正ナビは、最早、飾りも同じ。DVDナビ搭載する私のBMW Z4も同様だが、その表示を行う格納式純正モニターは、ナビ画面だけでなく、オーディオやドライブコンピューターの表示を兼ねているため、取り外しは不可。さらにダッシュボード中央に配置されているので、オンダッシュモニターを追加すると、ダッシュボード周りがうるさくなってしまう。
そこで音声ナビ機能付きの個性派ドライブレコーダーのパイオニア「NP1」を導入した。今回は、その使い勝手についてレポートしたい。
まずはナビを使ってみる……音声操作が基本モニターレス仕様
まずは、ナビ機能についてだ。写真からも分かるように、NP1は本体だけで全てを完結できるのが大きなメリット。その操作は、音声だけでも行えるように設計されている。音声操作の最初に、「NP1(エヌピーワン)」と呼びかけるだけ。iPhoneのSiriやメルセデス・ベンツの「HI! mercedes」と同様に問いかければ良いのだ。本体前面にある白いライトが点灯すれば、音声認識が起動しているので、「コンビニに行きたい」や「東京駅にいきたい」など目的地を伝えると検索してくれる。
ここで注意したいのが、音声認識は通常のカーナビに近いこと。なので、ざっくりと認識できるコマンドを覚えておくと良い。ただ目的地の設定は、「目的地+に行きたい」と簡単なので、正確な施設名や住所を伝えることさえ、気を付けておけば良いだろう。
自宅や勤務先、登録地の検索もできるので、良く使う目的地は登録しておくと便利だ。もちろん、目的地への途中にあるコンビニやガソリンスタンドなどの周辺施設検索といった通常のカーナビと同等の案内機能を備えている。音声案内のみなので、直進が続くルートでは、次の右左折位置が心配になるかもしれないが、その点も問題はない。ルート途中で、目的地までの距離、時間、次の右左折の箇所、次のジャンクションやサービスリアまでの距離なども尋ねることが出来るので、使いこなせば、音声操作だけでナビとして機能を十分満喫できる。
肝心の音声のルート案内だが、長年カーナビを手掛けるメーカーと感心させられる出来栄えだ。余裕を持って運転できるように、「3つ目の交差点を右です」など少し早めから案内をしてくれるほか、しばらく同じ道を直進する際には、「このまま〇km、○○分程度、道なりです」といった具合に教えてくれるので、道案内を不安を感じたことは、ほとんどなかった。
音声だけで不安なら専用アプリでスマホに表示
モニターレスのNP1だが、実は表示機能も備えている。それが専用アプリ「My NP1」だ。同アプリには、NP1と機能の設定に加え、ナビ画面表示機能もあるのだ。アプリのナビ画面は、サイズこそコンパクトだが、パイオニアのカーナビと同等の表示で、見やすい地図となっている。Google Mapなどのスマホナビとは異なり、地図上には周辺施設も分かりやすく表示されるのも良い。
NP1の操作も、音声操作に加え、アプリ上での検索も可能なので、スマホにカーナビをインストールしたような感覚なのだ。案内画面も、地図表示に加え、走行の指示を文字と図で示したカード表示が選べる。また自動車専用道路上では、カード表示で行われるのもカーナビらしい配慮である。
つまり、スマホアプリを活用するとNP1はコンパクトなカーナビになるのだ。やはり、音声案内だけの時と比べると、直ぐにルートや現在位置を目視で確認できる安心感があるのは正直な感想だ。Z4でも、スマホホルダーをダッシュボード中央に設置することで、カーナビ化させている。
ドラレコ録画データのクラウド保存やナビのアップデートが可能な通信機能
NP1の最大の強みとなるのは、通信機能を備えていることだ。クラウド上のドラレコの録画データの自動保存やナビ機能の進化が大きな魅力となっている。
まずはメインとなるドラレコ機能だが、衝撃検知による録画は、自動的にクラウドに保存されるため、駐車監視機能を活用している場合は、そのデータをスマホアプリで確認することができる。より魅力的なのが、リアルタイムでドラレコ映像を見ることが出来る「マイカーウォッチ」機能だ。いつでもアプリでライブ映像を確認できるから、自宅から離れた駐車場や出先などでの愛車確認に便利。
もちろん、位置情報も確認できるので、うっかりと駐車位置を忘れた場合にも便利だ。但し、電波が届く場所に限られるので、その点だけはご注意を。またマイカーウォッチ中には、音による警告も行うことが出来るので、車上荒らしや自動車窃盗の際の抑止力にも繋がるだろう。
そしてカーナビだが、こちらも通信機能を備えることで進化していく。地図データはもちろんのこと、私が愛用し始めてからは、各都道府県の警察が公表している取り締まり情報に基づき、取り締まり地点に近づくと知らせる「取り締まり通知」や固定式及び半固定式オービスの設置位置を知らせる「オービスナビ」などが追加された。今や通信機能付きのカーナビが増えてはいるが、地図データだけでなく、機能が増えていくのも、ナビメーカー製である事の強みといえよう。
使ってわかったNP1のメリット・デメリット
もちろん、NP1にも弱点はある。まずは自車位置の補足だ。ほとんどのシーンで問題になることはなかったが、自動車専用道路の地下トンネルでは自車位置をロストするシーンも見られた。これは、NP1のGPSと6軸モーションセンサーのみで、自車位置を判定しているため。車両側の車速センサーなどの接続が無いため、簡単に装着できるゆえのデメリットのようだ。しかし、その対策も練られているというので、今後の改善に期待したい。
もうひとつはランニングコストだ。購入時は1年もしくは3年分の通信料込みとなっているが、その期限が切れると1万5840円/1年の利用料が必要となる。通信機能付きのドラレコなので費用負担が発生するのは仕方ないが、クルマにかかるコストが増えることに抵抗がある人もいるはず。もちろん、更新せずともドラレコとしての利用は出来るが、クラウド保存や遠隔監視機能、ナビ機能は使えなくなってしまうので、NP1の魅力は薄れてしまう。要するに、月額1320円の出費をどう捉えるかだろう。
私の場合は、駐車監視機能を取り付けたことで、ドラレコを監視カメラとして活用できる遠隔監視機能「マイカーカーウォッチ」を活用できるので、年額負担も決して高くはないと思う。一時は沈静化を見せた自動車窃盗や車上荒らしも、再びテレビで取り上げられるほど被害が拡大している。もちろん、盗難防止には他の対策も必要となるが、何処にいても愛車の状況を確認できるのはオーナーにとって大きな安心に繋がるだろう。
実は、NP1を取り付ける前に駐車中のアクシデントに遭遇した。もしNP1を装着していれば、急ぎ、現場に駆け付けることも出来たと思う。不幸中の幸いで、その時は、大きな問題にはならなかったが、ドラレコの必要性を感じた瞬間でもあった。自宅と離れた場所の保管や出先での駐車中の状況を確認できるNP1は、旧車や趣味車にも最適な存在と思う。何よりもドラレコとナビの取付問題を1台で解決できるのは嬉しいところ。。次なる進化は本体のさらなるコンパクト化だろう。そうすれば、より多くのクルマに取り付けやすくなる。愛用している現行機の使い勝手を高める定期的なソフトアップデートへの期待も大きいが、NP1自体の進化も楽しみだ。