レクサスに新しい風を吹き込むコンパクトSUV「レクサスLBX」【最新コンパクトカー 車種別解説 LEXUS LBX】

「レクサス」の重厚感のあるラインナップの中では軽快感とシンプルなスタイリングが際立つ「LBX」。最小回転半径が5.2mという国産コンパクトカーの概念に収まるサイズはまさに日本の環境に寄り添う「レクサス」と言える。とはいえパワーシートやパワーウインドなどそこここにハイクラスの気配りが施され、間違いなく「レクサス」そのものの一台だろう。
REPORT:島﨑七生人(本文)/工藤貴宏(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:新 唯

従来のレクサス基準から進化 静粛性や乗り心地も期待以上

今やレクサス車の半数を超える車種がSUV。そのうちのボトムレンジを担い、アルファベット連続3文字と、他のレクサス車とは車名の〝法則〞が少し異なるのがLBXだ。〝レクサス・ブレークスルー・クロスオーバー〞を意味するという。

エクステリア

「5ナンバーの呪縛」から解き放たれた設計で全幅が広く、プロポーションの美しさが魅力。共通設計が多くヤリスクロスと兄弟関係と言われるが、サイズはホイールベースまで異なる。最小回転半径は5.2m。

クラスで言うとBセグメント、事実で言うとトヨタ・ヤリスクロスと同じGA-Bプラットフォームを使う。ちなみにホイールベースはLBXの方が20㎜だけ長い2560㎜、ボディの外形寸法はヤリスクロスに対して全長は+10㎜の4190㎜、全幅は+60㎜の1825㎜、全高は45㎜減の1545㎜と、3サイズ的にはLBXの方が幅広く低いのが特徴だ。グッと張り出したリヤフェンダー部が印象的だが、トレッドもヤリスクロス比で、前後とも55㎜拡幅されている。

乗降性

スタイリング自体も新しい。レクサス車といえば……のスピンドルグリルのあのめっきのフレームがなくなり、ユニファイドスピンドルと呼ぶ、ボディとより一体化したデザインへと姿を変え、スッキリとした顔つきに。他車ではボディ全体にそこかしこに走っているプレスラインもかなり整理され、パネル面の豊かな抑揚で表情を出す、新しい〝作風〞が見てとれる。

インストルメントパネル

大型ディスプレイの採用といったハード面から、表面の仕立てまでコンパクトカーらしからぬつくり。まさに「小さな高級車」を感じさせる。シフト操作やパーキングブレーキは電子式で、ヘッドアップディスプレイも備える。

一方でインテリアも設えの良さはレクサス基準ながら、今までのレクサス車に対して、上質であるも加飾やデザインが出過ぎない、シンプルで居心地の良い雰囲気。シートの表皮素材はセミアニリン本革×ウルトラスエード「Cool」またはセミアニリン本革「Relax」が採用される。運転席のパワーシートも1モーターのヤリスクロスに対し静かで作動もスムーズ(アシスタント側にも備わればなおいいが)。車外に降りる場合、ドアは〝電気仕掛け〞のスイッチを押してロックを解除する方式。ついでながら、パワーウインドウを操作すると、ドアガラスが閉まる直前でスピードを落とす上品な所作で作動する。

居住性

パワートレインは、1.5ℓの3気筒(M15A―FXE型)ガソリンエンジンとモーター1基(4WDは2基)を組み合わせたハイブリッドシステムのみの設定。これに高出力のバイポーラ型ニッケル水素バッテリーが組み合わせられる。実車はヤリスクロスに対してドライバー席のヒップポイントが15㎜下げられ、ステアリングポストも起こされつつ手前に寄せられ、さらにアクセルペダルがオルガン式とされるなどしたおかげで、上級クラスのクルマのようなゆったりと自然な運転姿勢が取れるのが印象的だ。

うれしい装備

レザー張りのダッシュボードでスイッチなどの仕立てもいいLBXは「車体は小さくても内装の質感は上級車に引けを取らない上質さが欲しい」と考えるこだわりユーザーに向けた車種と言える。
月間販売台数        1420台(23年12月~24年4月平均値)
現行型発表    23年11月
WLTCモード燃費  27.7 ㎞/ℓ※FF車

ラゲッジルーム

ナックルアームはヤリスクロスが鋳鉄なのに対しアルミ製としてジオメトリーを見直したり、許容重量の50%程度という余裕をもたせて使うための大径/幅広化タイヤの採用など、LBXとしてのこだわりの箇所は随所に見られる。その結果、コンパクトカーながら高速走行でもフラットな乗り味、コーナリング時の期待どおりの舵の効き、走行中にエンジンが作動した際の皮膚で小さく感じる程度の振動と音の小ささなど、LBXならではの仕上がりはなかなかのものだ。乗り終えてクルマから降りてから〝二度見〞したくなるタイプのクルマと言えばいいか。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.159「2024-2025 コンパクトカーのすべて」の再構成です。

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