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「少しくらいの雪だったら大丈夫……」の油断がトラブルに繋がる
毎年冬になると発生しているクルマの立ち往生だ。2020年12月には関越自動車道で大規模な渋滞が発生。ドライバーが丸2日クルマにとじ込まれる事態に陥った。また降雪地のみならず、都市圏でも突然の降雪や凍結による事故は数多く発生している。JAFや警察、消防への出動要請は2倍以上、降雪状況によっては10倍に達するというデータもあるほどだ。
「残念ながら、少しぐらいの雪だったらノーマルの夏タイヤでも大丈夫じゃないかと誤った認識を持たれている方が少なくありません。協会としては、まず夏タイヤは積雪路や凍結路での走行を想定したタイヤではない。危険ですよということを、しっかり啓発していく必要があると考えています」(JATMA・山本会長)
雪道を夏タイヤで走ると法令違反になる!?
日本自動車タイヤ協会(JATMA)ではチラシやポスターを作成し、関係団体との連携をはかりながら、より多くのドライバーの目に触れるように広く啓蒙活動を行ってきた。降雪地域ならびに非降雪地域ともに冬用タイヤの装着をうながす内容となっているが、加えて記載されているのが法令違反の警告だ。
じつは積雪や凍結道路で冬用タイヤを装着しないで運転した場合、道路交通規則違反となり反則金は普通車で6千円となる。
「違反であることをしっかり伝えていくことで冬タイヤの早期装着をユーザーにうながそうと、昨年は啓発動画を制作しました。これについてもYouTubeやTVerなどのウェブ媒体を活用しながら啓蒙活動をさらに拡大し、冬タイヤに履き替えることの重要性を周知徹底していくことが必要だと強く感じています」(JATMA・山本会長)
冬タイヤへの交換タイミングは早めがオススメ
しかし、都心部を中心とした非降雪地域では、降雪予報が出たところでユーザーがタイヤ販売店やガソリンスタンドに殺到しがち。
「最近は季節感が異常というか昔とは変わってきているので、冬タイヤへの交換タイミングをはかるのもなかなか難しいですよね。数年前にすごく早く積雪予報が出たことがありましたが、一斉にお客様が冬タイヤを出してと殺到し、対応しきれないような事態もありました。そういうことも想定しながら、しっかり季節感を見ていただくというか、日頃からクルマへの関心を持ってもらうことも大切だと思います」(APARA・小林会長)
冬道における安全を確保するためのJATMAの啓蒙活動を、積極的にバックアップしてきたのが自動車用品小売業協会(APARA)だ。
日頃からクルマと接することが安全確保に繋がる
「現代におけるクルマ社会はどんどん変化しています。例えば先進安全装備。クルマには沢山のセンサーやレーダーがついています。そうした装備をちゃんと機能させるためには、日頃からクルマに接することが重要だと思います。そこで協会として洗車の日を策定し、クルマをキレイにしましょうという啓蒙活動を続けてきました。クルマをキレイにすればボディに傷が付いてないか分かるし、センサーの汚れも落せます。タイヤの溝の減り具合もぜひ一緒に点検していただきたいですね」(APARA・小林会長)
夏タイヤ、冬タイヤに限らず、残り溝が少なくなれば、せっかくの先進安全装備も本来の性能を発揮できず、制動距離は伸びてしまう。日頃の洗車や点検を習慣づけすれば、冬タイヤへの交換タイミングもはかりやすいし、摩耗の状態も見極めやすい。
冬タイヤへの交換時期は初雪予報の1ヵ月前がひとつの目安
「小林会長もおっしゃられている通り、やはり意識として早めにやはり準備して、冬タイヤに交換していただくことが重要だと思います。いつ降雪があっても大丈夫という心構えですね。あくまで一例ですが、タイヤメーカーのホームページでは、初雪が降る1ヵ月をひとつの目安として、冬タイヤへの履き替えを推奨しています。自分が住んでいるエリアではいつ頃に初雪が降るかご確認いただき、初雪予報の1ヵ月前ぐらいを意識して冬タイヤに履き替えていただけば、いざ雪が降っても慌てることもないし、クルマがスリップして動けなくなる心配もありません。早めの交換が、冬道における安全、安心に繋がっていくんじゃないかなと思います」(JATMA・山本会長)